茶わん蒸し・失敗しない不思議 <金波仕立て>

金の波と書いて「きんぱ」と読みます、金波仕立てはお椀で誂える吸物や小茶碗に仕立てる、小吸物に良く使われる手法です。

 

また、寒天やゼラチンを使って固めて切り出す、金波寄せ(きんぱよせ)と言う手法もあり・・・こちらは、夏の暑い時季には嬉しい一品です。

 

熱々で仕立てるものと、冷やしで仕立てる場合がありますが、基本は熱々で仕立てます。

 

夏の暑い盛りには、冷やしの金波汁は、よく使われる手法なのは冷やした玉子料理にも抜群の魅力がる。

 

感覚では充分にご理解頂けるでしょう。

 

では、どんな仕立て方かと言えば、乱暴に言わせて貰えれば・・崩した茶碗蒸しです。

 

流し缶に緩い茶碗蒸しの出汁を流し込み、一度蒸し上げたら崩して椀物に仕立て直します。

 

薄く葛を引くと、とろみが付いて玉子が沈むことはありません。

 

ベースにする出汁は、鶏のスープと鰹出汁を割って使ったり、蟹や海老の出汁を加えて濃厚な旨味を感じる仕立て方にすると、より印象的な味わいとなります。

 

 

 

また、冷やしで使う時には旨味が薄く感じますから、より濃厚な出汁を仕立てる事が多いし、豆乳などを割って使うと、さらに旨味が増して印象的な一品となります。

 

椀種には、豆腐や葛で練った胡麻豆腐、冬瓜や茄子と言った柔らかい野菜、生麩や湯葉など・・他にもジュンサイと言った彩りの良い、口当たりの優しいものが良く合います。

 

吸い口には、青柚子の皮を卸してささらで落とした振り柚子や、木の芽、花山椒などが使われます。 

 

実は、この一品を知ってからと言うもの玉子豆腐や茶碗蒸しで失敗して、苦労を無駄にすることが無くなりました。

 

簾が立ってしまった玉子豆腐などは、そのままでは使い物になりませんが、崩して使う金波仕立てなら、リカバリーにはもってこいと言うところです。

 

とは言え、きちんと金波用に仕立てた蒸し具合でないと本来の味わいは、実現しません。

 

 

 

そこを妥協せず、きっちりと作りきるか否かが料理人のプライドでもあります。

 

でも、そんなリカバリーの引き出しを持つことで、むしろ失敗の回数は減る。

 

不思議なことですが、平常心に近い緊張感と言うのが良いのでしょうか。