好奇心、コカンへ <石鯛のお話>

「石鯛」はイシダイと読みます。

 

イシダイ科の海水魚で「鯛」とありますが、真鯛とは別種の魚です。

 

釣り人たちには人気の磯魚でもあります。

 

分布は北海道以南に棲む沿海魚でどちらかといえば暖海魚で、白と黒の横縞を走らせた姿は大変に個性的だから、記憶にある方も少なくないのでは。

 

その外見から、ズバリ「縞鯛」の名もあります。

 

でも実は、この縞模様は成長するにしたがって薄くなり成魚になると雌雄を問わず模様は殆ど消えてしまいます。

 

そして、もうひとつの特徴。

 

それは嘴(くちばし)。

 

餌を噛み砕くための多数の臼歯の間に石灰質が沈積して出来た鋭い嘴があり、口自体は決して大きくありませんが歯の威力は凄まじく、

 

 

 

殻の付いた貝などもバリバリと平気で噛み砕くと言う、餌になる生き物にとっては恐怖の存在です。

 

産卵は春から夏にかけてで、0.9mmと言う小さな卵を産みますが、孵化が速い事で知られていて、35時間もすれば稚魚となります。

 

稚魚になって1cmになるともう口の内側に歯が並び始めます。

 

この時は針状のものが1列あるだけですが体長3cmになると5列に増えます。

 

この頃の稚魚時代はモクと呼ばれる海藻類が海面を漂う時期なので、モクと共に外洋を漂流します。

 

藻の中は身を隠すのに絶好の場所であると同時に、餌が豊富で、稚魚にとって必要な甲殻類の小海老や蟹が沢山いると言う楽園です。

 

3cm程に成長した頃は、特に好奇心旺盛で泳いでいる人間の股間を突いてきたりもする。

 

「チンポカミ」なんて言う呼び名もあるとか。

 

 

 

と言うのは、余談が過ぎました。

 

体長が8cmになる頃、歯は8列・・遊泳生活から磯での生活に移ります。

 

雑食性の時期でもあります。

 

13cmで完全に石鯛特有の歯が生え揃い、サザエやフジツボを本当にバリバリと音を立てて食べると言うから圧巻のエネルギーです。

 

体長が30cmで完全な成魚。

 

美しい縞模様は消えて、全体的に灰白色に褪色します。

 

以上が、石鯛の成長ですが、性質の特徴では人なつこいと言う一面も持っています。

 

水族館でやっている輪くぐりのショーなどは、その典型でしょう。

 

土佐では、石鯛を「コーロー」と呼びます。

 

「シマゴロ」などと呼ぶ地域もありますが、若い頃の縞をつけて「縞コーロー」から訛ったものかと。

 

武内が、真っ先に思い出す「コーロー」の一品と言えば、「コーローたたき」。

 

 

 

鰹のたたきのように炙ってチリ酢で食べる一品ですが、頑丈な厚めの皮がバリッとするまで炙って、切れる包丁でスパッと切りつけ、

 

塩とチリ酢をうって、薬味で食べる・・・・ただそれだけの事ですが、鰹のたたきにはない、上品さと力強さを兼ね備えた一品です。