バランスは冬が食べ頃 <簡単火鍋>

さて、火鍋の仕立て方ですが、本格的な中華で仕立てるには専用のスパイスを揃えなければいけません。

 

我々、和食の人間は、案外あっさりと仕立てます。

 

海老や脂のある魚、貝類や、烏賊、蛸など、出汁の出るものを豊富に使って、やや刺激があるような野菜、例えばニラや葉玉葱とか青葱、山菜などを使って、濃口醤油の醤油味に仕立てます。 

 

こう言う時には砂糖は使いません。

 

甘味が多ければ多いほど、田舎の味わいに近くなります。

 

田舎の方に行くと、茶碗蒸しなんかにも砂糖が入っていて驚く事があります。

 

鍋の出汁としては、出汁を10、酒を1、醤油を1に味醂を0.5ぐらいが妥当でしょうか、そんな感じで普通の鍋を仕立てます。

 

 

ここに、唐辛子を加えます。

 

唐辛子、そのまま入れても、大量に使えばドンドン辛くなりますが、唐辛子を使う時の基本は油で辛味を抽出してやる事です。

 

種を取って粗く刻んだ唐辛子を油で煮ます、、、「煮ます」と言う言葉をわざと使いましたが、炒めるまで高温にしないで、じんわりと焦がさないように、辛味を抽出してやると良いです。

 

 

 

その油を最後にフレーバーオイルのように鍋に加えれば、和風の火鍋が完成です。

 

厳密にいえば、麻辣の辛味、つまりは山椒の痺れる様な辛味を足し、スパイスも何種類かをブレンドして、複雑な味わいを出す料理ですが、すっきりと仕立てて、素材の味わい、出汁の醤油味、唐辛子の辛味をバランスよく味わうのが和食です。

 

そして、これでもしつこいと感じるようなら、最後に垂らす油を唐辛子油ではなく、少量の胡麻油に留めて、直火で炙った唐辛子を加えると言う手法もあります。 

 

炙ると香りがたって、辛味も出易くなる印象です。

 

この程度のあっさりした辛味の鍋も香りが良く美味しいです。

 

 

そして、もっとガッツリと辛い火鍋を作るなら、出汁を仕立てる際にしっかりと辛味をつけてしまいます。

 

辛い料理の難しいところは、単に辛いだけでは不味くして食べているのと同じと言う事です。 

 

なんでも、七味を大量に振ったり、タバスコを大量に掛けたりするのは愚の骨頂、バランスの悪い料理には美味は無い、と言うのが持論でして。 

 

 

 

では、どうするかと言うと、脂・辛味・味わい・旨味・香りのバランスを考える事です。

 

そのバランスを念頭に、仕立ててみましょう。

 

まずは、やや多めの油で、水で練った唐辛子粉、ニンニク、豆板醤を炒めます。

 

これも焦がさないように、じっくりと香りと辛味を抽出して下さい。

 

炒めると言うよりは、煮る感じに近いです。

 

そして魚介系の、火を余り通さない物をこの油で表面だけさっと炒めます。

 

軽く塩・胡椒で下味もつけたら、一度引き上げます。

 

次に、じっくりと煮ても良い食材を炒めます。

 

そして、そのまま昆布と酒、水を加えてスープを仕立てます。

 

魚介だけで、物足りなかったら鶏のスープを割って使っても良いですし、鶏肉や豚肉、牛脂を加えて旨味を加算しても良いです。 

 

さて、そこに味を付けます。

 

濃口醤油、味噌、などコクのある調味料が合いますね。

 

酒粕を使っても、調子が良いです。

 

 

 

隠し味醂と醤油または味噌、汁物よりも若干しつこいぐらいで留めて下さい。

 

それで鍋出汁が完成です。

 

この出汁に、最初に炒めておいた火をあまり通さない食材と野菜を加えて、通常の鍋の様に楽しめば良いです。 

 

と言う事で、最後のガッツリ系は和食の仕立て方とは、少しかけ離れてしまいましたが、唐辛子の辛味を油で抽出して使う手法や、唐辛子を炙って使う小技が、案外色々な場面で役に立ちます。 

 

例えば茄子の煮物に、炙った唐辛子=鷹の爪を加えると、風味が良い、アクセントの利いた一品に変わります。

 

 

 

唐辛子のフレーバーオイルは作っておけば、うどんや蕎麦、素麺、けっこう何にでも使えますし、炒め油やドレッシングの油としても使えます。

 

ただ、こう言う時の油はブレンドの油では無く、単一の油が良いです。

 

例えば胡麻油、それも太白の胡麻油や、ピーナッツオイルや胡桃油、大豆の白絞油が良いですね。

 

サラダ油は、こう言う時には向かないと覚えておいて間違い無いです。

 

お好みで、粒の実山椒や粒胡椒など加えると、更に風味の良い鍋が出来上がります。

 

そして、矛盾しますが実は砂糖の甘味も、調和する時があります。

 

他の素材がしつこい時や、味わいに幅や奥行きが欲しい時、さほど感じない位の砂糖を使うと、味が引き立つ時があります。

 

甘味が旨味と言うのも真理。

 

これは隠し技です。