気分、ゆたかに <餡かけ豆腐>

武内家の食卓でも懐かしい一品を紹介しましょう。

 

若い頃は修業中の身と言う事もあり、本当に少ない食費で家族が食事を楽しむべく、色々な工夫をしました。

 

その中でも、<贅沢な冷奴>は思い出に残る一品です。

 

何のことは無い、氷を敷いた器に豆腐を盛り付けるだけの事なのですが、青もみじをあしらって、涼し気な一品に空調のない武内家としては、非常に嬉しい品でした。

 

そして冬の食卓では、この「餡かけ豆腐」が喜ばれた記憶があります。

 

昆布出汁に、少々の塩を加えて片栗粉で、薄いトロミを掛けた湯で豆腐を中心まで熱々に、温めます。

 

 

 

 

厳密には、中心は仄かに温かいぐらいの温め方が美味しいのですが、その辺は気分的な表現です。

 

そして餡を掛けるのですが、鰹出汁、味醂、濃口醤油を511で合わせます。

 

味醂を最初に煮切って、出汁と醤油を加えてひと煮立ち。

 

そこでまた、削りを加えて漉します。

 

その出汁に、やや強めにドロッとしたトロミを掛けて、皿に盛り付けた熱々の豆腐にかけます。

 

柚子や生姜などを天に留めたりすると料理屋風の一品ですが、当時はそのまま直球の餡掛け豆腐を楽しんでいました。

 

トロミが掛かっているので、冷めにくく・・・そして醤油の餡ですから、ご飯にもピッタリと合います。

 

こんな豆腐料理がメインディッシュでしたから、鰹節や豆腐には少し贅沢をしました。

 

それが、とても豊かな気分になる。

 

「食」の価値と言うのは、こう言う物ではないでしょうか (笑