窓辺に花を、食事に春を <筍ご飯>

さて、筍ごはんと言う事で、ずいぶんシンプルなお題だから、拍子抜けだったかもしれませんが、こう言った料理も誰かからの背中への後押しがあると挑戦しやすくなるものです。 

 

ぜひぜひ、気軽に取り組んでみて、炊き立ての季節の味わいをお楽しみください。

 

でも、料理ってシンプルな物ほど、複雑に。

 

豪快な物ほど、繊細に。

 

大胆な物ほど、緻密に ・・・で、成り立っているものです。 

 

と言っても、それはプロのお話。

 

今日は本当にシンプルに、1番基本的な手法でお伝えします。

 

 

筍はやはり、生のものを買ってきて茹でて使う方が良いです。

 

茹でて、真空パックで売られている物もありますが、断然!風味が違います。

 

まずは練習で、茹でてある物で挑戦してみて、上手に炊ける自信が付いたら生の筍に挑戦する。

 

そんな手もあります。

 

まずは、下手にこだわりを持たず、手近にある素材で取り組んでみてください。

 

生の筍の場合は、先を斜めに切落とし、縦に切れ目を入れたら糠と鷹の爪を加えた湯で茹でます。

 

大きさや鮮度にもよりますが、沸いてから1時間と言うのが坐唯杏の基本です。

 

ただし、その時の筍によっては2時間、3時間と茹でる事もあります。

 

ご家庭ではそれほど大きな筍を茹でる事はないでしょうから、まずは1時間を目安にして下さい。

 

そして、そのまま糠の湯の中で冷まします。

 

 

素材にも僅かなえぐみを残すのが坐唯杏流・・・なんて言うのは、酒肴の一品でのお話で、筍ご飯はアクが少ない方が良いです。

 

冷める時にアクが消えていくので、1時間茹でたら、1時間以上冷ますのを目安にして下さい。

 

そしてそのまま、水にさらします。

 

茹でた湯を捨てて、流水を注ぎ入れ、水の中で皮を剥いてしまいましょう。

 

その時に、頭の穂先の所は残すようにします。

 

柔らかくて1番美味しい部分ですから。

 

周囲についた糠を良く洗う様にして、皮をむいたら根本の硬い所を切り落とし、同じく根本の周囲、硬い所を剥きとってしまいます。

 

残った穂先の先端の部分を、真っ直ぐに切り落としたら、何枚か穂先を剥いて、柔らかい所だけを残します。

 

 

そこまでやったら、筍の下準備は完了です。

 

我々プロが、丁寧にする時は清湯と言って、さらに清水で茹でこぼす行程があるのですが、しっかりと水で洗っておけば省略しても構いません。 

 

複雑にするには、色々な行程が挟まってきますが、シンプルな仕事の中にも、決して単純だけではないノウハウがあります。

 

削ぎ落として、シンプルに・・シンプルに、仕立てていても、美味しく

作るためには、色々気づく事があります。

 

さて、下準備の終わった筍をカットします。

 

丁度よい長さで穂先の方から輪切りに、どんと落としてしまいます。

 

 

そして元の方は、繊維と垂直に、穂先の方は繊維と水平に切ります。

 

穂先の方の柔らかい所は、やや厚めに。

 

そして元の硬い部分は薄めに包丁しましょう。

 

大きな筍がごろごろ入っている筍ごはんも、ざっくりとしていて趣があると思いますが、我々の様な料理屋の仕事だと、けっこう細かめに切ります。

 

ご飯を箸で掬った時に、ぴんぴん跳ねていては食べづらいですから。

 

だから、厚さに気を遣って、そして長さはほどほどに。

 

 

アバウトな説明ですが、あとはお好みです。

 

薄く切り過ぎても物足りないし、厚く切り過ぎてもご飯との一体感が消えます。

 

そう言う所は、料理屋の仕事を参考にして頂けると分かりやすいと思うので、外食で筍ご飯を食べる時など、注意してご覧になると良いかと思います。

 

さて、お米は普通に研いで、ザルに揚げておいたものを出汁で炊きます。 

 

濃口醤油の入った、茶飯系の炊き込みも、田舎っぽくて良いですが、筍の風味を楽しむなら、塩と淡口醤油で炊くのが断然、良いです。

 

 

 

鰹出汁を用意したら、酒と味醂を、僅かに加えて、出汁の5%ぐらいの淡口醤油を加えます。

 

そこに塩を、加えて味をみましょう。

 

吸い物よりも、かなりきつめです。

 

炊き込みご飯って、案外強い味で炊いてあります。

 

それでも、ぴったりに味を付けるより、やや引いた味付けが好ましいですから、塩は控えめが良いです。

 

矛盾した説明ですが、このくらいの出汁の味で炊くと、このぐらいの仕上がりになると言う経験を積まれるのが、1番の近道です。

 

そして水加減ですが筍は、殆どが水です。

 

 

米と出汁と筍しか入りませんから、米に合わせて水加減したくなりますが、米の量に対して、出汁と筍を合わせた水加減が必要です。

 

筍が入る程、出汁は減らして下さい。

 

分かりにくいですが、炊き込みご飯を炊いてべちゃべちゃになった、そう言う失敗は、殆ど・・この具材から出る水を計算しない事で起こるミスです。。

 

出汁の量に、筍の重さを合わせたものが釜の中に入る水分と言う事です。 

 

後は普通に炊き上げて蒸らしたら完成。

 

お茶碗に盛り付けて、梅肉をちょんと乗せたり、木の芽をあしらったりすれば、完璧です。 

 

季節の味わいを、存分にお楽しみください。