米を炊く午後 <古式・鶏雑炊>

武内の料理の愛読書、辻嘉一翁の「懐石傳書」の御飯と味噌汁の巻に葱鴨雑炊と言う一品があります。

 

雑炊の中では、すっぽん雑炊に並ぶ豪華な一品と言うことで、その仕立て方をご紹介されています。

 

そして、確かにこの仕立て方なら旨いものが出来上がると言う感触が、文面からも伝わってくると言う一品です。

 

と言うのは、武内は粥が大好物だからでありまして。

 

雑炊の話に何故、粥が出てくるのかと、疑問に思われる事かと思います。

 

でも実は、この鶏雑炊も葱鴨雑炊も生米から雑炊を炊き上げるというレシピです。

 

 

つまりは、味をしっかりつけた出汁で粥を炊くと言うイメージで、お読み頂けると理解も早いと思います。

 

そして、「おじや」と「雑炊」を混同している方も多いかと思いますが、

和食の料理人の中では別物です。

 

と言うのは、「おじや」と言うのは御飯から味付けの出汁で仕立てて

時間をかけて煮込み、粘り気を出した料理。

 

雑炊と言うのは、洗った御飯を出汁で煮立てて粘り気を出さずにさらっと仕上げる料理を指します。

 

ただし、これは料理人の認識であり、厳密には「おじや」と「雑炊」は同じものとする意見が正しいのかもしれませんが、こうして区別する事で料理の指示や伝達がスムーズになるので便利に使っています。

 

 

 

さて、話が逸れましたが、鶏雑炊はさらっと仕上げる雑炊です。

 

しかも生米から仕立てるので、粘り気を出さずに仕上げる粥の炊き方が必要となります。

 

以前、粥の炊き方をお伝えしているページもあります。

 

ご参考までに。

 

 → https://goo.gl/pmCqwy

 

さて、鶏雑炊の具体的な仕立て方です。

 

鶏肉は皮目をフォークなどで指して穴を開けたら薄く塩を当てます。

 

皮目には若干多めに、身の方には薄い塩です。

 

 

肉に塩を当てて時間を置くと、肉質が締まって固くなると言うのが多くの方の認識でしょうが、ブロイラーの場合はさほど気になりません。

 

タレに漬け込んだ唐揚でも、ご理解頂けると思います。

 

塩を当てて、3時間ほど置いたら小角に切りつけておきます。

 

さて、お米を普通に研いだら、昆布を加えた水に塩と薄口醤油で加減した出汁で粥を炊きます。

 

「粥を炊きます」と言う表現は、分かりやすい様に使いました。

 

米を加えて鍋底に、お米が付かないようにケアしつつ煮立ったら、その後はかき混ぜません。

 

混ぜれば混ぜるほど、粘り気が出てしまいます。

 

これは御飯から「おじや」を仕立てるときは、かき混ぜつつ炊きますが、鍋の締めで仕立てる雑炊の時にはかき混ぜないと言う作り方にも繋がります。

 

さて、生米がふっくらと水分を含み、普通の御飯並みの柔らかさに煮えてきた頃合を見計らって、先の鶏肉を湯通しして加えます。

 

 

 

じんわりと鶏肉から旨味が出て、出汁が美味しくなった所で葱を加えます。

 

長葱を鶏肉より、やや小さめに切りつけたコロコロした形が食べやすいです。

 

そして葱に火が通ったら、これで完成。

 

すぐさま、お茶碗に盛り付けて熱々の所を召し上がってください。

 

風邪気味・・・なんていうときには、この鶏雑炊に卵黄でも落としてもらって、精をつけると良いかと思います。

 

生米から炊く鶏雑炊、ぜひぜひ!お試し下さい。