もう一つの出世街道 1斗~1俵ブリ <鰤のお話>

正月の魚、「鮭」と「鰤」。

 

東日本の「鮭」、そして西日本の「鰤」は長野県を境界にするといわれます。

 

鰤はご存知のとおり回遊魚で、正月の頃に西日本の海に現れます。

 

その鰤が長野県の北安曇辺りでも正月魚として珍重されるのは、塩の道を通って、塩や塩魚を運んだ商人の影響とされています。

 

寒ぶり一本、米一俵

 

鰤は出世魚とよばれる縁起のよい魚であると同時に、流通の段階で値段がどんどん高くなっていくという出世もします。

 

 

獲れた浜では鰤1本が米1斗(約15キロ)で取引されたので「一斗ぶり」と言われました。

 

消曹地に届く段階で、「二斗ぶり」、「三斗ぶり」となり、遠い都会まで運ばれてくるものは、「1俵(四斗)ぶり」とまで出世します。

 

現在でも寒ぶりは.1本で少なくとも23万円ほどで、やはり米1俵分にあたります。

 

そして関西の正月には、鰤・・しかも塩を当てた塩鰤が必ず使われます。

 

その塩鰤の切り身を、そのまま使い焼物に仕立てたり、酢を用いて膾(なます)に仕立てるのも、よくある手法です。

 

ただし塩気の強い鰤は、塩抜きをしてから用います。

 

 

 

 

このときの塩抜きは真水ではなく、呼び塩を加えた薄い塩水を使いますが塩の抜け過ぎを防ぐ意味と、真水で身が荒れてしまうのを防ぐ効果があります。

 

「鰤網を敷きし祝いの茶碗酒」   杉山葱子

 

鰤の漁には、大きな敷き網を使います。

 

大きな網を張るだけでも巨額の投資が必要で、不漁の時は倒産する網元もあったとか。

 

鰤の豊漁を祈願する、漁師たちの真摯な願いのこもった茶碗酒です。

 

鰤の中でも、特に有名・・味が良いとされるのが富山湾の寒ぶりです。

 

 

11月末から1月に掛けて、俗に「ぶりおこし」と言われる霙交じりの嵐を運んでくる雷が鳴ると、驚いた鰤の群れが富山湾に押し寄せます。

 

この寒鰤こそが、脂も豊富で型も良く、身が締まっていると言う事です。