刺激的な素朴 <手綱蒟蒻>

御節重詰には「手綱蒟蒻」と言う献立名で、入れている蒟蒻の煮物。

 

それは、短冊に包丁した蒟蒻の真ん中に1本の切れ目を入れ、そこから裏返す様に片方の端を通すと斜めに筋が立ちます。

 

その筋が、その昔・・馬を乗る際の手綱の柄に似ていた事から、この名があります。

 

見た目を重視した仕事ですが、蒟蒻を本当に美味しく食べるならちぎったり、お猪口の縁などで、食べやすい大きさに揃えた方が切り口の表面積が増えて味が乗りやすくなります。

 

カットの方法は、お好みに合わせて頂き、その煮方を紹介しましょう。

 

まずは蒟蒻には石灰臭がありますから、たっぷりの湯で茹でこぼし、臭みを抜きます。

 

塩で揉んだりする方法もありますが、武内は塩分が利いてしまうのは好みではありません。

 

 

と言うのは、後に紹介する醤油煎りの手法を使うから、この工程で塩は必要ないと理解しています。

 

茹でこぼして水に落とし、周囲の匂いを完全に抜き取ったら、鍋で空煎りします。

 

油で炒める方法も使いますが、油も何も使わずに空煎りする方法が、表面の水を抜きつつ、食感を良くする一つの方法です。

 

しっかりと表面の水分を飛ばす気持ちで、少し気長にじっくりと空煎りしてください。

 

その後、濃口醤油で煎りあげます。

 

炒め物にする要領で濃口醤油を注ぎ、表面に醤油が絡み水分の飛んだ部分にじんわりと醤油を染みさせる気持ちで煎って下さい。

 

 

その後、被るぐらいの鰹出汁を注ぎ、好みの味を付けます。

 

甘味と醤油味の両味なら、目安としては出汁が56に対して、醤油が1、それに合う様な砂糖を加えます。

 

甘味など不要、醤油だけで炊き上げた素朴な味わいが好み・・と言う事でしたら出汁が8に対して、醤油を1ぐらいで調えて、隠し味程度に味醂を垂らすのが程よい味付けです。

 

あらかじめ醤油煎りしていますから、食べた時の味の乗り具合は、さほど時間を掛けて煮込まずとも蒟蒻に沁みこみます。

 

とは言え、我々が炊く時でも少なくとも30分ほどは、火に掛けてジンワリと炊きあげます。

 

そして、そのまま出汁の中で冷まして、もう一回火を入れたら完成です。

 

食べる時に、七味でも振って貰えたら刺激があって、さらに美味しいです。

 

また塩分が薄く、醤油の風味の強い「たまり醤油」で炊くのも、昔からよくある仕事です。

 

アラ煮や豚の角煮を炊く時にも、重宝する醤油なので、見かけた時にでも

1本用意すると、料理の幅が広がります。