純白のメッセージ <酢蓮・酢蕪>

素材の持つ色には、それぞれ意識せずとも印象があります。

 

「赤」には情熱や温かさを感じて、「青」には知性や几帳面な規則性。

 

「黒」には全体を引き締める効果と高級感、「黄色」には朗らかな親しみやすさで、「緑」には癒しや安心感と言う具合に、視界に入る色合いで何となくの印象を誰もが持ちます。

 

その中でも「白」と言う色の役割は大きいです。

 

どんな色も受け止める寛容さを持ちながら、清廉にして、どんな色にも変えがたい包容力を持った色です。

 

その「白」と言う色を、存分に活用するメニューの代表格が「酢蓮」「酢蕪」です。

 

御節の中では、この二品による効果は絶大です。

 

見た目の印象はもちろんの事。

 

その爽やかな酸味と、心地よい歯応えが他の料理を生かし全体の完成度を引き上げます。

 

さて、その仕立て方ですが塩分と甘酢のバランスと言うことに集約されます。

 

小角に包丁した蕪を、昆布を入れた塩水に漬けて、しんなりとさせたら水気をよく絞って甘酢に漬けかえる。

 

 

甘酢には鷹の爪を加えたり、柚子を利かせたりもしますし、場合によっては柑橘の酢で仕立てた甘酢を使う事もあります。

 

柑橘の酢が入ると、色合いはさらに白く仕上がります。

 

酢蓮の場合は、細めの蓮根を、程よい厚みを持たせながらスライスして湯通しし、塩を振ります。

 

しばらく時間を置き、その塩を洗い流して・・と言っても浸透した塩が抜けない程度に表面の塩だけを流し、よく水気を拭き取って甘酢に漬けます。

 

職人によっては、洗い流さずにこの塩が加わることも計算して、そのまま漬け込む人も居ますが、その辺は好みです。

 

 

 

甘味と酸味、僅かに利いた塩気が味わいをキリッとまとめます。

 

酢蕪は菊の花に仕立てたり、蓮根は花の形に剥いたりと様々な手法があります。

 

仕立て方にしても、もっと複雑にした多くの要素が絡み合う手法もありますが、もっともシンプルな仕立て方をご紹介しました。