彩り小物が目に匂う <御節の脇役>

樂旬堂・坐唯杏の御節重詰の、ひとつの特徴として小物の数の多さがあると思います。

 

彩りを加え、食感や、味わいの対比において、本当に食べて頂きたいメインの素材をより美味しく召し上がるための脇役として、小物の存在は不可欠です。

 

例えば、長芋を酢に漬けた酢取長芋は純白の小角の長芋、それも生のシャキシャキした食感を楽しんで頂き、脂気の多い焼物や八幡巻との対比を鮮明にします。

 

柔らかい酸味が合間に挟まる事で、舌がより敏感になり濃厚な旨味の一品を飽きずに食べられる効果があります。

 

同じ様な効果を狙うものに、酢取人参などもあり、珍しいところでは萵苣薹と言う食材もお節の中では貴重な存在です。

 

 

萵苣薹(ちしゃとう)の薹は、蕗の薹などで知られるように、「薹が立つ」の薹です。

 

元々は葉を食べる萵苣という野菜の薹という意味で、葉は焼肉の時に出てくるサンチュのことです。

 

でも、このサンチュの茎が日本料理では安定した緑色を持つ、高価な食材です。

 

単に昆布出汁に塩を加えたものに漬けたり、味噌に漬けて歯応えと、その彩りがお節に花を添えます。

 

他にも蜜に漬けた百合根や、くちなしで色づけして茹でた長芋を蜜に漬けたりしたもの、塩を振って昆布に挟んだ菜花や、色が飛ばないように手早く炊き上げた蕗など。

 

会敷と呼ばれる、下に敷く葉や添える葉を加えたら、小物の数だけでも十数種の品を用意します。

 

 

その小物たちが、それぞれにメインの食材を、より引き立て、よりくっきりと存在を明らかにしてくれると言うことです。

 

脇役あっての主役、主役あっての脇役・・この関係が大切なのは人間の世界と同じです。