佃煮浪漫 <佃煮のお話>

御節料理自体が、本来は保存食です。

 

災害の多い日本と言う国で、お正月の節目にあらためて災害に備えると言う意識を確認する。

 

そんな想いも、御節料理には込められています。

 

ですから、佃煮の手法は御節料理の中にも、随所に生かされています。

 

さて、佃煮の煮汁には、色々なパターンがあります。

 

佃煮は保存食ですから、かなり醤油ッ気を強くするパターンが主流でしたが、最近の低塩分志向で、ずいぶん変わって来ました。

 

武内の過去の仕事を記した手帳にある佃煮のパターンを少し抜き出してみると、

 

・酒:2、醤油:5 (梅干) 

・酒:1、醤油:1、味醂:5 

・醤油のみ 

・醤油:2.5、酒:1.5 

・酒:4、味醂:3、醤油:2

 

 

 

数々のパターンが出てきますが、季節にあわせてアサリや蛤を炊いたり、木の芽を炊いたり、ゴリやワカサギ、山菜やキノコなど素材に適したパターンを駆使して、色々な味わいの煮物に仕上げます。

 

 

一昔前は醤油のみだったり、1番上の酒:2、醤油:5と言うパターンが主流でしたが、最近の市販の佃煮を見る限り、酒:4、味醂:3、醤油:2や酒:1、醤油:1、味醂:5と言う割合に近いものが多いです。 

 

昔の主流だった割合で、普通の濃口醤油を使って仕上げると現代の味覚では、かなり塩分が強く感じる事と思います。

 

だから武内が昔風に仕上げる時は、たまり醤油を使う様にします。

 

たまり醤油と言うのは醤油の成分は濃いですが塩分濃度は低い。

 

例えば伽羅蕗と言う、料理があります。 

 

これは、一昔前のレシピなら、1番上のパターン、酒:2、醤油:5とか、醤油だけを使って煮ます。 

 

皮付のまま、23cmの長さに、切ってから茹でて水に晒し、たまり醤油の煮汁で真っ黒に炊き上げます。 

 

香木の伽羅に例えて、伽羅蕗と呼ばれますが、しょっぱい、この佃煮がおにぎりやお茶漬けには、とてもよく合います。

 

 

でも、現代の感覚では普通の濃口醤油で炊くと、さすがに塩気が強過ぎる・・・と言う、感覚があります。

 

素材と煮汁の量のバランスで調節しながら味わいを調えますが、それでも味覚のセンスは時代と共に、移り変わります。 

 

上に挙げた、佃煮の煮汁の割合は、やや古い感覚です。

 

でも、いつの時代にも変わらないものがあります。

 

温故知新、古きを温めて、新しき知る。

 

一度、昔のレシピで佃煮などを炊いてみてはいかがでしょうか。

 

 

子供の頃には、たいして興味の湧かなかった味わいだった筈なのに、今味わってみると、じわっと心に沁みるのを感じるかもしれません。

 

それこそ、時季ごとに田舎から山菜などが送られてくる、なんて方にはぜひ、オススメ致します。

 

天然物の山蕗や、蕗のトウ、山椒の若芽、アサリ、ハマグリなど、クセが強い山菜や、季節には安く出回る魚介類が、こう言う料理には向きます。

 

 

ぜひ、挑戦なさって下さい。