鮮やかなトキメキに満ちた黄色いダイヤ <数の子の仕立て方>

古くは乾燥の数の子なども出回っていましたが、今では扱う料理人も少なくなり、塩漬けの数の子一辺倒です。

 

塩漬けの数の子で、ご説明いたします。

 

まずは塩抜きです。

 

流水で塩抜き・・・と言うと、実は我々でも塩を抜き過ぎて失敗する事があります。

 

がっちりと塩が利いていて、なかなか抜けない気もしますが、抜け始めたら流水塩抜きは速いです。

 

最初の水洗い・・位の感覚に留めて、あとは水に漬けての塩抜きをオススメします。

 

 

呼び塩といって、僅かに塩を加えるとスムーズに浸透圧が始まり塩分の濃い方から薄い方へと移動します。

 

少し時間を置くと、漬けていた水が塩辛くなります。

 

そうしたら、また薄い塩水に替えると徐々に塩抜きが進んで失敗する事が少ないです。

 

この時の失敗とは、塩の抜き過ぎを指します。

 

塩漬けになっている数の子ですが、その塩分を全て抜いてしまうと味わいまでもが抜けてしまいます。

 

程よい塩分を残す感覚、数の子の旨味を残す感覚で塩抜きをします。

 

 

そして、頃合いを見計らって米の研ぎ汁に漬けます。

 

たっぷりの研ぎ汁に漬けてしまうと、この時も塩抜きが進みますからタッパなどの容器に数の子を並べたら、ひたひたに張るのを目安にして下さい。

 

その時点で、数の子の薄皮を掃除し始めます。

 

白くて薄い膜が、表面を覆っています。

 

この膜をすべて取り除きます。

 

この作業が、数の子の仕事で最も時間の掛かる所ですが、ここをきっちりと仕上げないと後からの食味・食感に強く影響します。

 

 

薄皮をすべて取り除き、米の研ぎ汁に半日ほど漬けた所で、引き揚げて水洗いです。

 

表面の米ぬかを洗い流す事に徹底して、細かい切れ目の中までしっかりと洗い流して下さい。

 

そこで、酒塩漬けに移ります。

 

研ぎ汁に漬けた時の様に容器に隙間なく並べたら、程よい塩分の酒塩を注ぎます。

 

酒塩は、料理酒に塩を加えた物です。

 

日本酒を、大量に使うのでもったいない気持ちもありますが、我々の様に御節に詰めて、お客様にお渡しする場合は、この仕事が必須です。

 

 

ご家庭なら、少し簡略に小さなボールに酒塩を仕立てておいて、数本ずつを洗うだけでも、効果があります。

 

我々の場合は、今まで漬けていた水や米の研ぎ汁・・中の水分を酒と交換するぐらいの気持ちで半日から1日、酒塩に漬けておきます。

 

先ほどの洗う手法なら、表面についた水分を酒と交換するつもりで臨んで下さい。

 

さて、ここまでの仕事を進めながら、数の子を漬ける出汁を仕立てておきます。

 

漬ける出汁の味は、職人によって、その店によってまちまちではありますが、一般的な所では、出汁が56、味醂を1、淡口醤油を1程度の割合です。

 

 

淡口醤油ではなく濃口醤油に漬けて、醤油色に仕上げる場合もあります。

 

これは好みの問題ですが、一般的に売られている真っ黄色な数の子を、その色合いを活かして仕込むなら、淡口醤油がオススメです。

 

味醂を煮切り、出汁と醤油を加えてひと煮立ち、鰹節を加えて漉します。

 

それで冷ましたら、出汁は完成です。

 

ご家庭なら、白だしの様な合わせ調味料が売られているので、それをご利用になっても問題はありません。

 

ただし、鰹の香りが少なかったりするので、ひと工夫が必要です。

 

うどんの付けツユ位の味に仕立てた出汁を、数の子の容器に注ぎますが、一回・・出汁で洗うように少しの出汁を注ぎ、ざっくりと絡ませたら捨ててしまい、新しい出汁を注ぐと薄まらずに出汁の味が生きます。

 

 

そして数の子の上にキッチンペーパーを広げて鰹節を広げて出汁の中に散らない様に包んでおくと、香りも出て旨味も足せるので効果的です。

 

この手法を「鰹蓋」と言います。

 

ご家庭なら、これで充分完成です。

 

我々の仕事の場合は、実はこの出汁漬けの工程を二回繰り返して、二度漬けとします。

 

数の子の中の水分を全て出汁と交換する。

 

それで、旨味を載せて日持ちを良くすると言う手法です。

 

最後の出汁に漬けて、やはり半日から1日程度置いたらコリコリとした食感の数の子が楽しめます。

 

また、出来るだけ信頼できる所で数の子はお買い求めください。

 

外国産の数の子の中には、大きくて色も良く立派な姿をしていても、拍子抜けの様な歯応えの、柔らかい物もあります。

 

数の子は、やはりあの食感が<命>ですから。