回して生まれる味がある <御節の煮物>

正直、御節の煮物には細心の神経を遣います。

 

と言うのは、御節の中でも最大の面積を使って詰め込む品だからです。

 

芋や海老を、4~5本並べて盛り込み、場所を埋める・・・と言う考え方では坐唯杏の御節は語れません。

 

「吹き寄せ」と呼ばれる、スペースを自由に使って乱盛にする訳ですが、実は綿密な計算の上に詰められています。

 

法則性が無いような盛り付け・・詰め方ですが、大きな素材を基点に置き、その起点に沿って、色合いや形を選んで詰め込んでいきます。

 

形や大きさに狂いがあると、最後の品を詰める頃には空間が無くなったり・・毎年、小さな事件が起きるのも煮物の仕事の楽しさの一部です。

 

 

 

さて、そんな煮物ですが、実はある特殊な手法を使って味の乗せていきます。

 

その手法は「回し」と言われるテクニックで、魚や海老、蒲鉾を炊いた出汁には旨味が出るので、その出汁を漉して野菜を炊きます。

 

色の薄いものから始めて、徐々に色の濃いものへと出汁を使い回し、最後の煮物を炊く頃には濃厚な旨味の出汁となります。

 

これは修行時代、皿鉢の煮物を炊くときに習った手法で、旨味を無駄なくしかも出汁も無駄なく使う優れた手法と感じ入っていましたが、御節の煮物にはこの手法を使うのが、基本と知って納得しました。

 

修行時代は、魚の仕事には本当に多種多様、細かいテクニックまで教えて頂きましたが、この煮物の仕事も実に良い仕事を教えて頂いた事に感謝しています。

 

おそらく樂旬堂・坐唯杏の御節を召し上がった方は、この煮物の

豊富さ、味わいの乗り方にプロの仕事を感じて頂いていると思います。

 

濃い味と、味乗りは違う。

 

最も楽しんで頂きたい一品が御節の煮物です。

 

 → 御節重詰のご予約は