味蕾へのラブソング<鯔の白子酒>

白子酒・・と言えば、ふぐの白子で仕立てる鰭酒や骨酒の中でも最高峰と言われる非常に美味な仕立て方の燗酒です。

 

ふぐの白子と言えば天然物ならkgあたり2~3万円していても、全然驚かないと言う「超」がつく高級な食材です。

 

その白子を素焼きにして、蕎麦猪口や湯のみサイズの大きなぐい飲みに放り込み、綺麗な割り箸を使って、ひたすら突き崩します。

 

ペースト状になった白子に熱々の燗酒を少しずつ注ぎ、だまにならないように伸ばしていき、ちょうど良い濃度になったときに深呼吸。

 

 

気持ちを落ち着けて、熱々の酒が持った時にも感じられる様なぐい飲みを口の前まで持ってきたら、目を閉じてゆっくりとひと口・・・啜る。

 

 

舌の上に広がるまったりとした味わい、かつて経験したことが無い驚きとあまりの味わいに脱力感を感じながらも、神経は味蕾にと集中していく。

 

舌の上を転がし、含まれるあらゆる味わいを堪能したら、ゆっくりと飲み込む。

 

飲み込んだ直後に訪れる至福のひと時。

 

戻り香、余韻、心の中では上質な音楽が流れているかのような陶酔感に包まれる。

 

 

ふぐの白子酒を最初に味わったときの感動は、未だにこんな想い出となって深く記憶に残っています。

 

 

高価な食材を使っての、贅沢な一杯と言うことも微かにスパイスとなって感動の一部になっていたのかもしれません。

 

そんな感動を気軽に味わえるのが、鯔(ボラ)の白子酒です。

 

ふぐの白子酒の二番煎じ・・・そんな感覚を持たれている方もいらっしゃいます。

 

でも、それは人間のエゴと言うもの。

 

ふぐの白子酒の方が単に最初に知られるようになっただけの事です。

 

ふぐにはふぐの美味さがあり、鯔には鯔の美味さがある。

 

単なる、その事実がある中で我々料理人、居酒屋店主は素材に最も適した仕立て方を検討し、考案し、創造していかなくてはいけない。

 

それは白子の焼き加減であったり、使う燗酒の銘柄であったり、いくらでも鯔の白子を最高の味わいに仕立てるために工夫する点は残っています。

 

現に昨夜のお客様は「ふぐよりも美味い」との嬉しいお言葉を頂戴しました。

 

 

安価な分、量は使えるし・・・提供する価格も1/5、1/10 と抑えられるのもほんの少しのスパイスです。

 

鯔の白子酒、頻繁にお出しできる一品ではありませんが、適した白子が入荷した時は今後も提供したい一品です。