零余子(むかご)のお話

「むかご」って、何ですか?

 

昔、働いていたアルバイトの女の子に質問されて、ムカデの卵だよ、って答えたら、お客様に笑顔で、

 

「ムカデの卵ですぅ!」

 

って、伝えていました。

 

お客さん、「ポカ~~ン」の瞬間でした。

 

そんな笑い話も坐唯杏の歴史にはありましたが、山芋の蔓にできる、子供です。

 

この小さな芋が地面に落ちて、また山芋になっていくと言う事です。

 

田舎の子供なら、必ずむかご採りに行った記憶があるのではないでしょうか。

 

そう言う武内も、東京で育った割には、むかごの付いた蔓が容易に思い出されます。

 

と言うのは、東京でもちょっとした所で、よく見かける物なんですね。

 

線路際の、柵に絡まった山芋の蔓には、練馬区あたりでも良く見かけられたものでした。

 

 

 

少し苦味がある様な鄙びた味わいの、小さな芋です。 

 

修業時代は、このむかごを六方に剥いたり、松茸の形に剥いて含め煮にしたりと細かい仕事にも使いました。 

 

今では、そんな細かい事よりいかに地のままの味わいを生かして坐唯杏の無濾過生原酒との調和を図るかの方が、楽しくなってます。 

 

むかごを、そのまま肴にするならフライパンへ放り込んで、空炒りするのが1番です。 

 

中はねっとり、そして少し焦げた風味が、元の苦味と相まってお酒を進めてくれます。 

 

ただし、生で持って置いてご注文が入るごとに、空炒りするのは坐唯杏のオペレーションでは至難の業でして・・・

 

加えて、生のまま置いておく事も、素材の為には良い事ではありません。 

 

だから仕入れたらすぐに、昆布出汁に塩を加えて、炊いておきます。 

 

この時の塩は、かなり強めです。 

 

むかごと言う食材は、本当に味が乗りにくいです。 

 

普通の煮物なら、1~2%ぐらいの塩分濃度で充分ですが、

この昆布出汁の塩分濃度は2~3%ぐらいに仕立てます。 

 

もう漬物の様な出汁ですが、これで丁度良いです。 

 

そのむかごを最後に空炒りして仕上げます。

 

相性の良い、トウチを一緒に加えて・・・ 

 

もちろん、大徳寺納豆や、浜納豆、寺納豆と呼ばれるトウチ

そっくりの日本の食材の方が、気分的には旨い気もしますが、 

 

単に食べ比べたら、99%の方には差が分かりません。 

 

少しでも安価に、同じ仕事が早く綺麗に出来るのであれば

これは効率を求めても良いと言う事です。

 

と言う事で、トウチと空炒りしたむかご、むかごの豆鼓焼。 

 

 

秋満喫の素材・メニューです。