唐墨のお話

震災以来、鯔の回遊コースが変わってしまい、子持ち鯔・鯔子ともども坐唯杏的には深刻な品不足でした。

 

加えて、大小の居酒屋・和食の専門店での自家製・唐墨の仕込み率が、我々が始めた当初より格段に上がり、需要が高まって相場が釣り上がったのも、我々の仕入れにかなり影響してます。

 

最盛期の僅かな期間、鯔子の相場が崩れて、格安の鯔子が出回るのを、毎年・・虎視眈々と狙っていました。

 

それが、ここ数年相場が崩れない。

 

需要と供給のバランスがとれていて、安定した高値で取引されていたのが2~3年続きました。

 

 

我々が大量に仕込んでいた頃は、それこそ鯔子の仕入れだけで100kg近い仕入れをしていたのですが、そんな量は全く確保できずほんの5kgほどを、申し訳程度に仕込む。

 

そんな年が続いたのです。

 

ですが、今年は少し量が確保できました。

 

それでも、ようやく30kg程度ですが、徐々に戻ってくれれば希望が湧きます。

 

樂旬堂・坐唯杏の唐墨を仕込むレシピは、古典的です。

 

水漬けして、血抜き・・・なんて事はしません。

 

 

 

丹念に、丁寧に1本ずつ血管の血を押し出してなるべく手早く塩漬けまで進みます。

 

水に漬けて置けば、自然と血が抜ける・・・なんて事で、この手間を掛けない職人も多いですが、塩漬けまでの時間は短ければ短いほど、仕上がった時の風味は良い。

 

これは師匠直伝の、我々の鉄則です。

 

そして塩漬けはたっぷりの塩を回して1週間。

 

それから酒に漬けて塩抜きも1週間。

 

その後、干しに入ります。

 

成型をしながら日光に当てたい所ですが、流石に池袋で天日干しは

厳しいので店内での陰干しで仕上げます。 

 

この時のケアの良し悪しは、仕上がりの形や味わいに直結するので、

神経を遣う所です。

 

そして最近は「生カラスミ」みたいな仕上げが流行っていますが、

我々が目指すのは古典的なネットリ食感の唐墨。 

 

きちんと干して伝統的なスタイルでの仕上げです。