チリ酢のお話

チリ酢、聞きなれない言葉かも知れませんが、土佐料理のたたきに

掛ける、ポン酢醤油の土佐流の呼び名です。

 

チリと言うと、ちり鍋などで、聞く機会もあるかと思いますが、火を通したものを酢で食べる様な料理をチリと呼びます。

 

だから、ポン酢で食べる薄造りなどのお刺身を「生チリ」と呼んだりも

します。

 

高知の亀泉の蔵元さんが、時たま・・ぶらっと立ち寄って下さって、鰹のたたきとお酒を召し上がりながら、色々とお話させて頂きます。

 

坐唯杏としては、取り扱いのない銘柄にも関わらず、土佐料理

出身の武内とは懇意にさせて頂いてるわけなんですが、

 

そう言う時に、土佐の人が良く使う言葉を聴く機会があります。 

 

「酢が効いちゃぁせん」 

 

土佐の人は、酸っぱい料理が好きな人が多いです。 

 

冷奴にも、チリ酢をかけて召し上がるし、;焼物、蒸し物、炒め物など

それこそ生活の中で自然に、しかも頻繁に使われます。 

 

そして土佐の人が、この言葉を発する時に酢と表現するのは、殆どの場合、柚子の絞り汁の事です。 

 

 

 

 だから、鰹たたきのチリ酢にも、タップリと柚子の酢が入っています。

 

この柚子の酢が、若干足りない、もしくはチリ酢の量が足りない、

締まりのない味わいだ・・なんて言う場合には、前出の言葉。 

 

「酢が効いちゃぁせん」に、なるわけです。 

 

実は坐唯杏のチリ酢には柚子の酢は入っていない時期もありました。 

 

では、何を入れているかと言うと、橙の絞り汁、まぁ、これはポン酢を

漢字で書く時は「橙酢」と書いたりするので、たいていの場合は

入るのですが、柚子の代わりに、もう一種。 

 

酢橘の絞り汁を加えていました。 

 

 

徳島の美人酢橘農家のマユミさんからの直送品。 

 

縁あって、直送で手絞りの酢橘果汁を送ってもらえるので、

柚子の代わりに、使っていたと言うわけです。 

 

柚子は柚子で、丸みのあるふくよかな酸味と甘い香りがあり、

酢橘の場合は上品な香り、シャープな酸味で、面白いチリ酢が

出来上がります。 

 

「柚子より酢橘」なんて言う言葉があります。

 

これは「氏より育ち」をもじったもので名家の出と言う事よりも育った

環境が物を言う・・と言う様な意味です。

 

柚子と酢橘の関係をよく表した言葉です。

 

とは言え、現在はマユミさんから柚子の搾り汁を送って貰って酢橘酢と

柚子酢を使い分けてチリ酢を仕込んでいます。

 

土佐料理出身の武内としては、やはり柚子の方がしっくりくる。

 

氏より育ちの・・・育った環境が柚子を選ばせたと言う事です。 

 

夏は夏でスッキリとした使い方でチリ酢を楽しみ、冬なら鍋物で、

楽しめる。 

 

ひとつの調味料を通して感じる季節の移り変わりも、楽しいものです。