素材ごとの出汁

上等な昆布を使い、本枯れの鰹節をかき立てで使った1番出汁、

たしかに圧倒的な美しさを感じる、最高級の仕事です。

 

とは言え、その最高級に匹敵する味わいを持つ素材も、和食の

仕事には、あまたあります。

 

例えば、今の時季・・天然物の桜鯛の中骨やアラに塩を当てて

2~3時間寝かしてから仕立てる潮出汁。

 

夏場の暑い盛りに、鱧の骨を炙り、そこから引いた鱧出汁。

 

鮎や北寄貝を焼いて干した後、じっくりと煮出した味わいの汁はひと口吸えば忽然となるほどの、高いレベルの味わいです。

 

鰹節、昆布の完成度は高い、この事実には何の疑問もありませんが、素材によって、適した方法で正しい仕立て方をすれば、高いレベルの味わいが、実現する。

 

我々、プロの中でも忘れている者がいるかもしれませんが、ご家庭でのお惣菜の仕事にこそ、生かして頂きたい手法です。

 

鮮度の良い魚のアラを、塩を当ててしばらく置き、水からゆっくりと

煮出して、淡口醤油で味わいを調えれば、それだけで・・・

 

かなりの美味を堪能できます。

 

 

 

日本料理にはすっぽん仕立てと言う手法があり、お酒を2割ほど加えて、昆布1片とともにさっくりと煮出して、淡口醤油で仕立てる。 

 

仕上がりに、卸し生姜のツユだけをキュッと絞って仕立てる方法ですが、こんな仕立て方をすると、素材の良し悪しに、多少の振り幅があっても対応できます。 

 

魚に限らず、鶏肉や豚肉でも、綺麗に仕立てた汁物、出汁の味わいは決して、高級な鰹出汁にも引けを取らない感動が味わえる。 

 

日本では、肉・魚、全てにおいてレベルの高い材料が簡単に手に入ります。 

しかも素材の味わいを生かして、薄味で味わう日本の食文化にはお金持ちでも庶民でも、格差を感じません。

 

素材の味わいを大切にして、しみじみと味わう。

 

そんなお食事を、強く奨励します。