秋茄子・納豆挟み揚げ

以前の、武内がオススメメニューを考えていた時は・・・考えすぎてました。

 

いや、厳密には考える事は良い事ですが、こねくり過ぎと言うか味を複雑にし過ぎの、「潔さ」と言う点では実にお粗末な一品だったかと思います。

 

例えば「煮穴子とクリームチーズのサラダ仕立」や「鴨の山椒焼と柿の風呂吹き」とか。

 

良く言えば、複雑な味わいの組み合わせで、深みのある楽しみ方が

出来る料理とも言えない事はないですが、

 

年齢を重ねて、もっと削ぎ落とされたシンプルにして立体的な味わいを目指すようになりました。

 

 

そういう意味では、今回のオススメメニューは、斬新さには欠けますが、分かりやすい素直な一品です。

 

秋茄子の形の良いものを、縦半割りにして中をくり抜き納豆を詰めて

紫蘇で蓋をし、天ぷらの衣をかけて揚げる。

 

天ツユを添えてお楽しみ頂く・・・だけの一品です。

 

「・・・だけ」が、多くの方には理解できないかもしれませんが、手を掛けているようで、実はシンプルな調理です。

 

味わいの重ね方も、さほど複雑ではありませんし・・また、手法としても斬新な部分はありません。

 

かと言って、この料理の価値が低いかと言うと、そういう意味ではありません。

 

ご注文を受けて、すっと茄子をくり抜き納豆を詰めて揚げる仕事は

我々の様な一気に忙しい時間を迎える店としては、かなりの勝負、

段取りと、その場での要領が求められます。

 

敢えて、この一品で勝負をかけるのは、お客様が安心して注文できる

オススメメニューを提供したいからに他なりません。

 

揚げたての熱々の茄子の中からふわっと火の通った納豆が現れて

大根おろしと卸し生姜の利いた天ツユで召し上がって頂く。

 

メニューの名前だけで、大方の想像が付くのではないでしょうか。

 

料理屋のメニューは、前に進みすぎてもいけません。

 

若い頃の武内の様に、攻めて・攻めての料理も同世代の人には

受け入れられるでしょうが、料理に詳しくない若い方や、落ち着いた

一品を好む年配の方にも安心して召し上がって頂ける料理。

 

抜群の刺身や、鰹たたきのサイドメニューとしてご活用下さい。

 

華のある一品と組み合わせると、より真価を発揮しますから。