カマスのお話

「本カマス」というの呼び名は、実は正式ではありません。

 

我々が一般的に食用とするカマスは二種類で、ひとつは「水カマス」。

 

そしてもうひとつが「油カマス」とか「本カマス」と呼ばれるアカカマスのことです。

 

水カマスはアオカマスとも呼ばれます。

 

水カマスに対しての本カマスという表現が、市場などで根付いた

ものです。

 

そのほかにもカマスには種類があってオニカマス、毒カマスは別名バラクーダと呼ばれていて、よく知られるところです。

 

その名の通り、強いシガテラの毒があって食用にはなりません。

 

 

さて、アカカマスとアオカマスですが、市場価値としてはアカカマスが上です。

 

5~7月に掛けて産卵をするアカカマスは、秋から冬に掛けて味わいを増します。

 

対して、アオカマスは夏の魚です。

 

夏場に極端に味わいを落とすアカカマスと時季を変えてアオカマスは夏に旬を迎えます。

 

市場の価値は別として、アカ・アオ共に旨い魚です。

 

ですが、カマスの特徴としては、やや緩い身質で水分が多い。

 

その特徴を掴んで調理すると、実に旨味豊富な本来の味わいが堪能できます。

 

伝統的には干物に仕上げて、炙って食べる・・・というのが最もポピュラーな楽しみ方ですが、最近は昆布締めに仕上げて皮目を炙った握りで楽しむのも流行になってます。

 

関東ではカマスの干物というと高級感があり、旨い魚と認知されて

いますが、関西ではさほど人気がないのは、不思議な気がします。

 

産月の海女が魳を並べ干す  大嶋志葉

 

魳焼くほどよく焦げし化粧塩  仁子

 

いずれも、残暑から朝晩の涼しい風が吹き始めた頃の情景を

詠んだ句です。

 

また芭蕉のライバルとされた上島鬼貫(うえしまおにつら)の句には、 

 

米泥に魳ねざめへ徳利蚊屋 鬼貫 

 

米泥とは糠床の事でして、カマスを糠床に漬けてから炙って

食べた文化を物語っています。