キノコのお話

温暖にして湿潤な気候の日本は、キノコの宝庫です。

 

季節の変化、朝晩の温度差、キノコが発生する条件を理想的に揃えていますから、その種類や質においても最高のキノコ産出国と言えます。

 

キノコを食べる歴史は古く、万葉集には松茸と見られるキノコが詠まれていたり、日本書紀にも・・

 

「わが古里の名物は栗茸とあゆ」 と、現在でも充分に通用するお国自慢が記されていたりします。

 

また江戸時代、大のキノコ好きで有名だったのは松尾芭蕉です。

 

芭蕉が亡くなる年、無名庵の落成を祝って尽力した門人を八月の

十五夜に招き、労をねぎらったとあります。

 

その時の献立が芭蕉の自筆で残っていて、松茸、初茸、シメジ、木耳などが供されたそうです。

 

 

松茸や知らぬ木の葉のへばりつく   芭蕉 

 

また、椎茸の栽培が盛んになったのは明治時代。

 

江戸時代末期から明治初期にかけて、静岡の伊豆や九州を中心に指導者達が全国各地に出向いて、指導したとの事です。

 

椎茸の原木は、当時炭焼きに使用していた木と同じだったため、炭焼きの人々に受け継がれたのが今日に至った理由です。

 

 

椎茸と言う名ですが、第十二代・景行天皇が筑紫を訪れた際に農夫が天然に産するキノコを献納し、そのキノコが椎の木に発生していた事から「椎茸」と呼ばれるようになりました。

 

いずれにしても、古くから人々に親しまれてきたキノコ。

 

本当の天然物なら、当時と同じ味わいが楽しめる。

 

遠く古の時代に想いを馳せて、召し上がってみてはいかがでしょう。

 

 

遠来の客にのみ出す土瓶蒸し  鷹羽狩行

 

月の出て浮き足立ちし茸かな  岸田稚魚

 

盃にとくとく鳴りて土瓶蒸し  阿波野青畝