煮物・二種類の食感

先日、自宅では厚揚げや蒟蒻、人参、里芋、牛蒡、竹輪麩などを田舎風に炊いた煮物で、食事を楽しみました。

 

酒と砂糖と醤油と言う、日本人が最も好む味わいの煮物。

 

こういう煮物が嫌いな人間はいない・・と言うのが師匠の言葉です。

 

武内としても、普段のお惣菜には最も好む一品となってます。

 

本日のお題は、こういう煮物でも少し工夫すると、さらに面白い一品となる一例をお伝えしましょう。

 

二通りの火の通し加減が、ポイントです。

 

 

 

いつもの様に仕上げた煮物でした。

 

それぞれの素材が、しっかりと味を含み、柔らかく、しかも素材の味わいをきちんと残して、全体的なバランスも非常に良好に仕上がった煮物でしたが・・・

 

そこに、何となく物足りなさを感じてしまいました。

 

と言うのは、歯応えのある素材が無かったことです。

 

例えば、ポリポリと硬めに茹でたアスパラやブロッコリー、モロッコインゲンなどを、下味を付けて添えたら色目もあり、歯応えのリズムも出来て非常に調和したと思います。

 

筑前煮や煎鶏の様な煮物には、青味をやや硬めに茹でて歯応えを

出しつつ、彩りを添える手法は和食の世界では、定番です。

 

 

とは言え、ご家庭での煮物にきちんと青味まで揃えて、盛り付ける度に温めるまでしなくても添える方は、非常に少ないのでは推察してます。

 

と言うのは、自分でも家庭での煮物には滅多に青味までは用意しない事が多いからです。

 

そんな中で、先日使った牛蒡は新牛蒡の柔らかい物でした。

 

こういう牛蒡は、ポリポリと食感を残すぐらいで使っても良かったと

反省したのです。

 

とは言え、柔らかく煮上がった新牛蒡もえぐみが全く感じられず、

非常に美味しい。

 

 

 

そこで思い立ったのが、先の細い所をギリギリで火を通して食感を残しつつ、元の方の太い所を柔らかく炊いてしまう二種類の火の通し方です。

 

和食の世界では、ひとつの野菜に火の通し方を使い分ける手法が多いです。

 

例えば、蓮根や蕪、独活や大根などやっと火が入った瞬間の、芯に

歯応えが残る様な茹で方をして甘酢に漬ける。

 

そんな料理は、良く接する機会があると思いますが、その食感の煮物を仕立てます。

 

そしてもちろん、じっくりと炊いて柔らかく煮含ませた煮物。

 

これをひとつの煮物の中に混在させる。

 

 

野菜の部分・部分によって使い分けると言う事です。

 

大根でも人参でも牛蒡でも、元の方は柔らかく風味も優しい物が

多いのでじっくりと炊いてしまいます。

 

先の方は野菜自体の風味も強く、身質も詰まっていて食感も締まって感じる物が多いので、ギリギリで茹でておいて、最後の煮汁でさっと温めるぐらいで盛り付ける。

 

そうすれば、一皿の料理の中に同じ素材であるにも関わらず、多様なリズムが出てきます。

 

全ての煮物をこんなやり方で…と言う訳ではありませんが、ふとした

時に織り交ぜて、一皿の料理、一鉢の煮物を仕上げてみたら、料理の幅も広がるのではないでしょうか。

 

二種類の火の通し方の提案でした。

 

何かの時には、ひとつお試しください。