メニュー作成のトラップ

或る例があります。

 

とても儲かる食材があります。

 

1円で仕入れて、1000円で売れる素材です。

 

でも、この素材を仕入れるのに歩いてしか行けない場所に

片道3日間、かけて行かなくてはいけません。

 

そして1回に仕入れる最大の量が10人前だとします。

 

この素材でメニューを提供しますか?

 

そう問われれば、間違いなく多くの経営者や料理人は「NO!」と、

言います。

 

 

 

ところが、陥りやすいトラップと言うのは、こんな現実が実際に

起こっています。

 

少しでも安い仕入れをして、手を掛けて最高の一品に仕上げる。

 

理念は素晴らしいです。

 

でも、その調理時間や、調理に掛ける人手や手間、提供可能量の

計算が出来ていない例を、よく聞きます。

 

かく言う、武内も東長崎時代から、こんなトラップの中を散々彷徨って

いたからこそ、良く分かります。

 

営業時間中に、1人前ずつ仕上げて何人前の量を提供できるか、

そんな事は肌で感じ、本能的に分かっている・・・つもりでした。

 

 

所が、よくよく計算してみると冒頭の例の様な状態に陥っていた。

 

いくら良い料理でも、商売的に全く採算が合わない料理は経営を

圧迫するだけです。

 

それが名物となり、数多く出れば出るほど、首を絞められる。

 

手間を掛けて、丁寧に一品を仕立てる事を否定するものでは全然、

ありません。

 

でも腕自慢の職人や、知識・技術に長けた者ほど、こういうトラップに

嵌ります。

 

幸い、和食と言うのは素材の持ち味を引き出す事を念頭に置いた

引き算の料理との見方もあります。

 

同じ仕上がりなら、出来るだけ簡素な仕立てにこそ、その本質が

現れる。

 

メニュー作成の際は、最も気を付けたいポイントでした。

 

 

 

…とは言え、メニューは確かに大事ですが、1番先に思い浮かぶから

とはいえ、本当の商品は、そのお店自体の空間であり、

 

お客様にお過ごし頂く時間こそが、最も貴重な商品である事。

 

そこは、絶対に押さえておくべき理念であり、使命です。