【古典料理】 鰯の南蛮漬

昔の仕事を一品紹介しましょう。

 

新酒にも抜群に合う良い肴、鰯の南蛮漬けです。

 

鰯の南蛮漬けなど、ありきたりの肴では?・・・と、

感じる事でしょう。

 

一般的には、焼いたり揚げたりした鰯を合わせ酢で漬けこみ

ますが、本日紹介する南蛮漬けは味噌で漬けます。

 

 

味噌と言うよりは、酢味噌に漬けこむ南蛮漬け。

 

早速紹介しましょう。

 

鰯は、背黒鰯を使いましょう。

 

 

真鰯に比べて、流通量が豊富な時は一気に値が安くなり、

ケースで何百円なんて言う事も、しばしばある素材です。

 

とは言え、小さな魚ですからケースで仕入れて何十本・何百本と

なると仕込みの手間を掛けなくてはいけない素材ですから、

 

なかなか、忙しい店の献立には乗らない素材かもしれません。

 

その背黒鰯の鱗を丹念に取り去り、腹を開けて指で内臓を

しごき出します。

 

流水で綺麗に洗い流し、強い塩を当てて30分から小1時間ほど、

置いたら生酢で洗います。

 

実は、これだけでも良い肴になります。

 

背黒鰯の場合は、繊細な仕立てが良く合いますから、手開きに

したものを塩水に浸して、割酢に漬ける仕事の方が多いのですが、

塩と酢で締める・・

 

 

この塩梅が鰯と言う素材には抜群に調和します。

 

そして、下準備した鰯の水気を拭き取り、昆布出汁で伸ばした

緩い酢味噌に漬けこみます。

 

タッパやバットに鰯を並べて、甘味控えめな緩い酢味噌を

たっぷりと掛けて、鰯が隠れる位に調えます。

 

これで仕込みは完了。

 

半日から1日で、食べごろとなります。

 

中骨も付いたままの鰯ですが、酢の作用で骨も柔らかく

食べられます。

 

そうですね、岡山のママカリを想像して頂ければ感触は

分かりやすいかと。

 

酢味噌に漬ける時に、焼葱や唐辛子の小口切を鰯と共に

並べて貰えたら、さらに風味の良い旨い肴となります。

 

今では、ほぼ見かけなくなった仕事ですが、酢味噌で仕立てる

南蛮漬け。

 

鯵や鯖、真鰯でも充分に美味しい一品が出来上がりますが、

背黒鰯の様に骨付きと言うのは、ちょっと無理があります。

 

三枚に卸して、腹骨も漉き取り小骨も抜いて・・・

 

鯵や鯖なら、皮も取り去った方が食べやすいです。

 

何かの機会がありましたら、また・・どこかの店で出会ったら

ぜひ!楽しんでみて下さい。

 

往年の和食料理人の味わいを堪能できると思います。

 

鰯を何本か並べて盛り付け

漬けこんだ酢味噌をたっぷりと掛けて、焼葱を添えたら

天に唐辛子を載せて完成です。

 

葱の風味も、また格別。

 

唐辛子の可愛らしい色合いが良いアクセントになって、

思わず箸が出る、そんな肴になります。

 

昔の仕事の中には、今では見られなくなった良い仕事も

沢山あります。

 

53歳になって、若い世代と、我々が学んだ昔の職人の

仕事を繋げること、結びつけることも、ある意味、使命では・・

 

そんな感覚も芽生えています。