筍について

春の一品。 

 

筍について、お話しましょう。

 

筍は茹でて、水に晒します。 

 

職人によっては、何時間も茹でて、茹でた時間と同じぐらい

茹で汁に漬けたままアク抜きをして、えぐみを全く感じない様に

仕立てる人間もいます。

 

 

かと思うと、武内の様にえぐみを多少、残した方が素材の味わいが

良く出る・・・と言う人間もいたりして、職人にその仕上がりは

まちまちと言う事です。

 

 

 

と言うのは、以前もお話しましたが、昔の職人は素材の味わいをいかに封じ込めて、綺麗な味わいだけを表に出すかに集中していました。

 

 

だから素材を、しっかり茹でてしまい、その後から味を絡めるように

炊く手法も多用していました。

 

 

でも、我々が扱っている酒は無濾過の生原酒です。

 

 

綺麗に仕上がった、炭素濾過の利いた酒なら、確かに良いかも

しれませんが、一般で考えられる素材の嫌な味わいや、一見マイナスに感じる味わいが旨味を増す事も多々あります。

 

 

 

・・・なんて書くと、宗玄の坂口杜氏には怒られそうですが、

苦みやえぐみ、渋みといった味わいも日本酒には絶対に存在します。

 

 

その味わいと旨味、甘味、酸味、その他、美味しく感じられる味わいとの

バランスなのです。

 

 

そう言うお酒を扱う中で、筍や春の山菜にも同じ事を感じるのです。

 

 

苦みや、えぐみの存在する自然な旨味をいかに引き出すかが、無濾過の生原酒と絶妙の調和を生む、秘訣かもしれません。

 

 

と言う事で、勝手な事を書いてしまいましたが、坐唯杏の山菜や筍の

料理を酒なしで味わうと、全く魅力が感じられない人もいるかと思います。

 

 

でも、これが、ぴったり調和するお酒と共に召し上がって頂ければ

疑問や、否定は解けるかと。

 

そうありたいと言う・・・希望でもありますが。

 

 

 

 


孟宗竹の嫩芽(どんが)が一般に「筍」と言われる品種です。

 

そして季節の進行により、孟宗が徐々に姿を消し、淡竹の嫩芽・・

「破竹」にとって代わります。

 

と言うのは、故辻嘉一翁の「懐石伝書」にある解説です。

 

嫩芽(どんが)などと言う言葉を、武内は初めて目にし、漢字辞典で

調べてしまいました。

 

意味は若い芽という、なんとも日常にありふれたものですが、

辻翁の教養の高さには、本当に感服します。

 

孟宗と言う竹は江戸時代に鹿児島県に中国から来た外来種ですが

淡竹、若竹、篠竹は日本に古来からある在来種です。

 

 

 

さて、この筍の栄養価には、実に驚くべき効果があります。

 

脳の働きを活発化させ老化防止に役立つ・・との事。

 

茹でた筍を切ると、中から白い粉の様なものが現れる時があります。

 

それがチロシンと言う成分ですが新陳代謝を活発にして、脳を活性化。

 

そして、それがもちろん老化防止に効果があるのです。

 

 

またカリウムの豊富さは野菜の中でもトップクラスで、体内の余分なナトリウム(塩分)を排出して血圧を安定させるので、高血圧の予防になります。

 

一般的にカリウムは調理で失われやすいのですが、筍の場合は

茹でても、その量が減らないのが特徴です。

 

 

また不溶性の食物繊維「セルロース」も豊富に含んでいて、

便秘解消に効果があります。

 

腸にある有害物質を一緒に排出するため動脈硬化や癌の予防にも

効果があるとの事。

 

 

季節には豊富に食べたい食材のひとつです。

 

煮物や、炒め物、炊き込みご飯・・・、

 

季節の食材や料理を欲すると言う事は、健康に向けての

積極的なステップです。

 

伝統の食文化には、きちんとした理由があるのです。