イイダコの煮物

真蛸の柔らか煮と言えば、生のうちに繊維を叩いて壊してとことん柔らかく炊いて仕上げるのですが、イイダコの場合は絶妙な火の入れ具合を目指して、柔らか煮とします。

 

つまり火が入るか、入らないかのギリギリのところを実現する訳です。

 

だから煮ている時間は、ほんの一瞬。

 

そして煮汁の味を調えて、漬けこむ事で味を入れます。

 

真蛸の場合と真逆の考え方で仕上げます。

 

また、イイダコは吸盤の中に墨を吸っている場合がありますからまな板の上に塩を置いて頭を持って、吸盤の中までしっかりと塩を揉み込んでから洗い流します。

 

 

目とくちばしを掃除して、頭と足を切り離し頭の中は卵がしっかりと詰まっていますから、やや長い時間炊きます。 

 

足は8本を2本ずつに切り離して、穴あきのお玉にいれたら煮汁の中に沈めてさっと火を通します。 

 

後にザルに揚げておくと、蛸から旨味の強い汁が落ちてきますから

煮汁に戻して、さらに味を調えます。

 

職人の中には、この汁を戻すと出汁が濁ると言って嫌う者もいますが、素材の旨味は十二分に利用する方が理に適った考え方です。

 

ザルに揚げて冷ました足を、やはり冷ました出汁に漬けこんで味を

染みさせると言う訳です。 

 

出汁の味わいは酒と砂糖と味醂と醤油、醤油は淡口でも濃口でも

好み次第ですが、坐唯杏では淡口醤油を使います。 

 

なんとなく、綺麗な色合いに仕上がっている気がする・・ぐらいの

感覚なんですが、東京で売っている淡口醤油は、全体的に色が濃い目

ですから丁度よい気がします。 

 

昔の料理屋仕事なら色の薄い淡口醤油を使っていましたから、淡口と

濃口を割って使う位が丁度良いかもしれません。