サエズリのお話Ⅰ

 

サエズリと言うのは鯨の舌の事です。

 

厚い硬い皮に覆われていて、中は脂身です。

 

調査捕鯨で捕獲されるイワシクジラのサエズリを仕入れていますが、

イワシクジラのサエズリは・・・使いやすいです。

 

これが例えば、ミンククジラだと小型の鯨の為、厚みも無く、皮を掃除したら幾らも身が取れない時がありまして。

 

それは単なる鯨の大きさの問題ですが、もうひとつ事情があります。

 

ミンククジラの様な小型の鯨だと、当然ながら舌も小さく、薄くなると言う理由に加えて、現在、ミンククジラは増えすぎている状況です。

 

 

 

 

ミンククジラは小型の割には食欲が旺盛で繁殖力が強いのです。

 

ミンククジラの過剰な繁殖が原因で生息域がかぶっているナガスクジラやシロナガスクジラが増えません。

 

餌の取り合いになるとミンククジラの方が強いのです・・・が、それにしても増えすぎたミンククジラにさえ餌が十分に供給されない状況で、鯨体が痩せ細っているのです。

 

この様な状況で、ミンククジラのサエズリを仕入れている店も多いのが現状ですが、その質と言う点に関すると、やや難ありと言う訳です。

 

さて、このサエズリですが、茹でて酢味噌で食べるのが一般的な食べ方で、あとはハリハリ鍋に使ったりもします。

 

武内は酢味噌よりもハリハリ鍋に入っている方が好きです。

 

 

と言うのは、そのまま食べるよりも煮込んで出汁を味わうのが、サエズリの最も美味しい食べ方の様な感覚がありまして。

 

人それぞれとは思いますが、それだけ面白い食材とも言えます。

 

 

武内の若い頃は、サエズリと言うと10㎏とか20㎏とかのケース単位で仕込みをしていました。

 

 

まずは丸のまま、大きな塊で茹でてしまいます。

 

 

茹でている途中で、表面の厚い硬い皮を包丁で取り去り、サクにしてさらに茹でます。

 

 

 

この時に出る皮の部分も、刻んで味噌で煮込んで使います。

 

 

そして昔のサエズリなら、皮さえ剥けば殆どが真っ白い脂身の部分で、大部分が酢味噌掛け用のサエズリとして使えましたが、最近のサエズリは赤身の部分が大量についてます。

 

 

肉が付いてる方がお得な感じもしますが、実は牛タンのタン先やタン元と同じように、赤身の方が価値が低いのです。

 

 

肉の部分が付いている場合は、ざっくりと落として刻んでから、皮の部分に混ぜて煮込んで使います。

 

 

 

さて肝心のサエズリその物の味わいですが、好きな人は堪らなく好き、嫌いな人には全く・・・と言う好みの別れる食材かもしれません。

 

 

脂の食感なので、豚肉や牛肉の脂身の味わいが好きな方なら、確実に美味しく感じる味わいです。

 

 とは言え、鯨の脂分は、魚の脂の成分に似てますから、肉の脂身とは若干違います。

 

獣肉に比べたら融点が低く、豚や牛の様にはしつこく感じません、獣肉の特徴と魚肉の特徴を併せ持つ…と言うと、余計にややこしく感じますか。

 

 

 

 

 

いずれにせよ、豊富な旨味を持つ脂身と言う認識で間違いありません。

 

とにかく、一度召し上がってみる事を強くオススメいたします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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コメント: 1
  • #1

    ZAIAN (火曜日, 09 2月 2016)

    依然、絶滅の危惧があるシロナガスクジラは、日本の調査捕鯨にあっては1頭も捕獲されません。

    でも、ご存知の様にシロナガスクジラが最大の鯨ですから、この鯨のサエズリは厚みもあって絶品

    だったと、師匠から聞いてます。

    一刻も早い、科学的根拠に裏付けられた商業捕鯨が再開される事を、切に願います。