しかくさんかく(視覚・サンプル・確認)

我々の若い頃に、新ポジションに就くと言う事は、すなわち

出世でした。

 

段階を踏んで、上のポジション・上のポジションへと進みますが

基本的なレベルをクリアーしていない者には、絶対に回って来ません。

 

 

では、その基本とは何かと言うと、やはり最初は包丁のキレと

段取りの要領です。

 

 

包丁のキレ…と敢えて、カタカナを使いましたが、単純に「切れ」

とは違います。

 

 

 

包丁をいかにして生かすか、包丁の特性を理解し把握して

逆に包丁に使われる職人、包丁の意のままに使える持ち手に

ならなければ、高度な包丁技術へは進めません。

 

また段取りも、調理行程全てが頭に入っていて次の用意・次の用意へと

工程ごとに、先の見通しを立てて進まなければスムーズに料理が

仕上がる事はありません。

 

 

この二点をクリアーした上で、新しいポジションの仕事を進めて

行くのですが、基本的には「ほうれんそう」です。

 

 

報告、連絡、相談・・と言う事ですが、厨房の仕事には独特の

ルールもあります。

 

 

 

敢えて名づけるならば「しかくさんかく」でしょうか。

 

 

厨房の仕事は見て覚える…なんて言うのが、基本でしたから

まずは視覚です。

 

 

その見て覚えた仕事を、自分なりに仕上げてサンプルを作ります。

 

 

そしてサンプルを持って親方の所へ確認に行くわけです。

 

 

視覚・サンプル・確認で、「しかくさんかく」と言う訳です。

 

 

このシステムは絶対的な基本でして、このシステム以外には

厨房では新しい仕事の進行はあり得ません。

 

若い頃から、この体系の中で厳しく・厳しく指導を受けますから

割烹や料亭と言った、高度な技術を駆使する厨房であればあるほど、

身体に沁みこむシステムです。

 

もちろん、最後の確認を一発でOKされる事など珍しい事で、

サンプル・サンプル・サンプルと造り直してOKが出る…なんて言うのが

常です。

 

 

厨房の世界でもピラミッドの底辺では、この体系が緩いです。

 

緩い厨房で仕事をしていた人間は、この辺のOKの取り方が

いい加減になり、最終的に親方の意図しないものが出来あがったり

する訳でして・・。

 

 

これが厳しい職場と、緩い職場の決定的な違いでもあります。

 

 

最近の厨房の世界では「視覚」の部分で、見て覚える・・なんて言うのは

少なくなっています。

 

直接、親方が見本を見せて教える、説明してサンプルを作らせると

実に優しい世界になっていますが、確かに成長は早いです。

 

 

時代によって変わるシステムとも思われますが、「しかくさんかく」・・

 

 

ぜひ、覚えておいて下さい。