柿膾(かきなます)

樂旬堂・坐唯杏の御節では、膾には「柿膾(かきなます)」を採用してます。

 

 

練馬産の三浦大根と、千葉県産の京人参、さらに干し柿を使います。

 

 

この膾と言う仕事は、とにかく包丁技術が、ものをいいます。

 

 

技術の高さと言う点では、さほど高い技術は必要ないのかも知れませんが

同じ長さ、同じ幅、同じ厚みに延々と切りつける根気の仕事です。

 

 

 

これがじれて、切り損じみたない物が混じると一気に仕上がりが悪くなりまして、更には、同じ人間が見本を作り、その大きさに合わせて精神統一をしつつ切り付けをしないと、少しずつ大きさが変わってくると言う孤独の仕事(笑でもあります。

 

 

大きな店だと何人かで担当しますが、何人か集まると必ず大きさにずれが出てきます。

 

 

独りが集中して取り組むのが、結局は効率の良い仕事と言うわけです。

 

 

さて、大根と人参を切るだけの事ですが、切り方があります。

 

 

 

一般には2種類の切り方がありまして、厚い桂向きにした物を一定の幅で切りつける方法と、四角く切り出した物を短冊に包丁していく方法です。

 

 

樂旬堂・坐唯杏では、毎年短冊に包丁する方法を採用しています。

 

 

と言うのは厚めの千切りに包丁するのはスライサーの様な道具で切りつけた物と仕上がりが似てくるからです。

 

 もちろんスライサーの様な道具で切るのと、和包丁の切れる包丁で切った物とは歯応えが全く違いますから、食べればあからさまに違いますが、短冊で包丁した物の食感は、更に違いが分かりやすいです。

 

 

大根、人参は薄く皮を剥いて四角く同じ高さ、同じ幅、奥行きに切り出します。

 

 

これを「木取る(きどる)」と、我々の用語では言いますが、木取った大根を

同じ厚みの色紙に包丁して、更に刻んでいきます。

 

 

だから最初の木取る時が勝負です。

 

 

ピシッと同じ高さ、同じ大きさに木取る仕事が出来ると後の刻みが楽になります。

 

 

とは言え、これがなかなか難しい仕事でして。

 

 

微調整を繰り返していくと決して同じ大きさにはなりません。

 

 

物を真っ直ぐに、狙ったままの角度で切りつける・・と言う基本の動作が、これほど

難しいものかと驚くはずです。

 

 

という事で、きっちりと同じ大きさに切りつけた大根と人参を昆布を利かせた

塩水につけてしんなりさせたら、きつく絞り甘酢に漬け変える。

 

 

そして最後に市田柿の千切りを混ぜ込んだら柿膾の完成です。

 

 

甘味と酸味の程よい調和、歯応えの一品。

 

おせち料理には無くてはならない一品は、こうして出来上がります。