考える事・考えない事

18歳の頃から、この商売に入って以来、次々と非常に優秀な

親方に師事させて頂いたおかげで、仕事に対する理論も、緻密な

戦略も、分析力も事あるごとに、教えて頂きました。


食材一つを使うにしても、適材適所。


じっくりと考えて、計算し尽くした使い方で、同時に残した時の

綺麗な形造りも含めた、使い方・残し方をきっちりと教えて

頂いたのは、武内の中では大きな・大きな財産です。



もちろん、坐唯杏で過去にいた若い者にも伝え、現在いる者にも

これから、どんどん伝えて行くべき料理人の、本当に礎になる

部分なんですが、


実際には、これがなかなか難しい事です。



多々ある情報を、整理して素材に置き換え、無駄なく、しかも

最適な方法で調理する。

 

 

これが自然と出てくる様になれば、熟練の職人と言う訳です。

 

 

若い頃に、考え方をご指導頂き、実際の自分の仕事に照らし

合わせて、毎日・毎日、素材と向き合い、実践する事で、より

緻密な組み立て方が可能になります。

 

 

 

もちろん、最初は考えても・考えても、親方には遠く及ばない

拙い使い方、残し方しか出来ません。

 

 

しかも、100人からのお客様が一気に来店する様な営業の中では

頭の中もパニックになって、実力が発揮できないのが当たり前です。

 

 

それが、毎日の実践を繰り返すうちに、ある日突然、、自分の

中で何かが変わります。

 

 

きっかけは色々あります。

 

 

ペチャンコになって、罵声を浴びる時もあれば、自己嫌悪の中から

固い決心、覚悟が出来る時もあります。

 

 

とは言え、実際の修行中の頃には、普通に簡単に行きつく

結論にも、なかなか思い及ばない。

 

 

それが、今日のお題・・・考える事と考えない事です。

 

 

実際の仕込みの中で、全く頭を使わなくても出来る状態まで

頭の中で組み立てておくのです。

 

 

ある日を境に、持った覚悟で仕事以外の時間に、いかに仕事に

対して、リアルに考えられるか。

 

 

いかに、詳細な部分まで、

 

 

いかに、全ての状況に対応したシュミレーションが出来るかで、

営業の時の効率が、ガラッと変わります。

 

 

 

これは、スポーツの試合の時も一緒です。

 

 

練習の時や、練習試合の時にいかにリアルに状況や、対応を

組み立てられるかが、本番の試合のカギになります。

 

 

 

と言う事で、営業に入る前・・

 

 

包丁を研いで、研ぎ終わった時には仕事の8割は終わっている、

そんな事も料理の世界では良く耳にします。

 

 

 

それは単に、物理的に包丁が切れる様になったと言う事ではなく、

その日の素材の量、状態、先使い、後使いなどをきっちりと

組み立てて、頭の中にインプットして、本番には迷わず手が動く

状態にまで、自分の準備が出来たと言う事なんです。

 

 

本番が始まる前に、トコトン考えて、考えて、考え抜いて本番を迎え、

そして何も考えずに、実践・実行していく。

 

 

これこそが、長く厨房にいて身に付いた習慣です。

 

 

実際の営業中には、迷わず体が勝手に動く状態を、営業前に

造る事こそ、「考えた」と言う事です。