アラ煮 Ⅱ

 アラ煮の実際の炊き方を、手順を追って書いてみます。


アラ煮Ⅰでのポイントを、整理すると、


・火が通った瞬間に煮汁が煮詰まり丁度良い濃度になるタイミングで仕上げる

・鍋の大きさ、煮汁(素材)の量、火の強さのバランスが大切

・終始、強火で一気に炊き上げる

・最初のアクは絶対に取り去る

・牛蒡は必須

・鱗の掃除は完璧に

・最後の仕上がりに酒か味醂を加え照りを出す



以上のことを、頭に入れつつ始めてみましょう。


まずは、アラを用意します。


今の時季、比較的ブリ系の魚が手に入りやすいと思います。


スーパーの鮮魚売り場でも、アラを見かける事があります。


頭やカマなど、大きな魚ですから身が豊富です。


とは言え、ブリ系の肴は鱗が細かいので掃除しにくいと言う

デメリットもあります。


養殖の真鯛も、よく見かけます。


真鯛のほうが鱗の掃除はしやすいです。



さて、アラは最初に水洗い。 

 

血が付いていたり、汚い水が出ている事がありますから、まずは洗います。

  

その後、湯通しします。

 

 塩を加えた湯で、しっかりと表面に火が入るよう湯通ししてください。

 

 

本来の表面を熱で固めて旨味の流出を防ぐと言う意味だけなら、一瞬で構いませんが、しっかりと湯通しすると鱗の掃除が楽です。

 

 

沸騰させた湯にアラを漬けて、深呼吸・1回程度の時間です。

 

 

すぐさま引き上げて、水に落とします。

 

 

その時にしっかりと鱗を取り除きます。

 

 

特に鰭の影になっている部分や、細かい鱗がびっしりと付いている部分があります。

 

 


丹念に、丹念に、鱗を外して水で流し去ってください。

 

 

そのアラを水が切れるようにしておいて、全部鱗を取り終わったら鍋に

並べます。

 

 

アラは重ねません。

 

 底一面に、一段だけ並べたら、水を加えます。

  

アラ煮には出汁を使いません。

  

水で充分に旨味が出ます。

  

水の量は、アラの高さの半分ほどです。

牛蒡は最初から加えてしまいましょう。

 

 

下煮も必要ありません。

 

生のまま適当に切った牛蒡を鍋の端に寄せて入れておいてください。

 

 ここに酒、味醂、砂糖を加えます。

 

 全て入れきって材料の高さの7~8分にくるように・・

 

 割合たっぷりと酒と味醂を加えてください。

 

 砂糖も、結構多目です。

  

そして全開で火をつけます。

 

 全開と言っても、鍋の周囲に火が当たる様では鍋肌が焦げてきます。

 

 鍋の底に収まるぐらいで、もっとも強い火を調整します。

 

逆にコンロの火口よりも大きな鍋を使えば、全開でも周囲に火が回りません。

 

 

大きくて浅い鍋を使うようにすると炊きやすいかもしれません。

  

武内が自宅でアラ煮を炊く時は、フライパンを使ったりします。

  

底が平らで、面積があって炊きやすいのですが、フライパンだと鍋の

高さがなく、煮汁が吹き上がってきた時に吹きこぼれやすいのが難点です。

 

 

そして忘れてはならないのがアクを掬う事。

 

 この最初に沸騰する時のアクが最大のポイントかもしれません。

  

きっちりと出てきた大きなアクを掬いきってください。

  

そして、ここで落し蓋を使います。

 

 

落し蓋がなければ、ホイルを使うのが良いです。 

 

鍋の大きさに合わせて、煮汁が吹き上がり落し蓋の中で対流が起こるように

すると、素材全体にむらなく熱と調味料が行き届きます。

 

 さて、醤油を入れる前に砂糖と味醂、酒で炊いておくのは表面に醤油の味が

沁み込むのを遅らせる効果があります。

 

 砂糖の甘味と醤油の塩分では、塩分が先に浸透します。

 

 だからワンクッション、醤油を遅らせて加える方が味わいの印象が柔らかく

なります。

 

 ここから醤油を加えるのですが、加える醤油はたまり醤油です。

  

このときの醤油を普通の濃口醤油で仕上げようとすると、大量の砂糖が

必要な上に、濃度を出すと塩分が濃くなり過ぎる、

 

 

要するに、かなり難しい調和を取らなくてはいけなくなります。

 

 たまり醤油は濃度があって、塩分が少ない醤油ですからアラ煮には

絶好の調味料です。

  

醤油は2~3回に分けて加えるようにしましょう。

  

炊き始めて仕上がるまで、ゆっくりと時間を使っても15分程度です。

 

 

3~4分おきに3回ぐらいに分けると良いと思います。

 

 

醤油を加えるたびに味を見ます。

 

 こう言うときの味見は、煮汁を飲んではいけません。

 

 

濃厚な味わいの煮汁に仕上がっていきますから、こんな濃度の味を

何回も見ると舌がバカになります。

 

 煮汁をお玉で掬ったら、指の先に煮汁をつけて舐めるようにします。

 

 

これで充分、味が分かるように訓練すると肉じゃがやすき焼きの様な

味わいの煮物には、重宝するスキルです。

 

 さて、一貫して強火のままですから10分も炊いていれば

 

 

かなりの濃度になってきます。

  

ここからは目が離せません。

  

少し目を離した隙に、煮汁がなくなって焦げてしまう。

 

 そんな失敗をすると取り返しの付かない事になります。

 

 

鍋を傾けながら、煮汁をお玉に汲み取って素材の上に掛けまわしながら

素材の顔を出している部分にも煮汁が回るようにします。

 

 

仕上げに近くなったら、落し蓋も外してしまいましょう。

 

 だんだん、泡の大きさが変わってきます。

 

 最大で大きくなったと見たら、そこで酒か味醂を投入します。

 

一瞬で泡の大きさが細かい泡に変わります。

 

 この時も煮汁を掬い取っては素材の上に掛けまわすのを忘れずに。

 

 綺麗な照りが、全体的に素材に乗ってきたら味を見て、味醂またはたまり醤油で

加減します。

 

 

そしてひと煮立ちで完成です。

 

 

箸でひとつずつ器に盛り付けて、煮汁を上から掛けて牛蒡を添えて。

 

 あれば木の芽など添えたら、最高の味わいを堪能できると思います。

 

 ずいぶん長くなりましたが、ぜひぜひ! 挑戦なさってください。