海鼠(なまこ)の友和え

 これからの時季、寒くなってくると味わいを増す食材。

 

それが海鼠です。

 

海の鼠(ネズミ)でナマコです。

 

ナマコは居酒屋さんのメニューなどでは、「生子」と書くところも多いです。

 

坐唯杏でも多くの場合は、「生子酢」と言う表記でメニューに載せています。

 

 

さて、このナマコですが腸を出して綺麗に洗ったら、生のままスライスします。

 

けっこう、このスライスが曲者でして、あんなに腰の無い様に見えてなかなかの弾力があり、切れる包丁でスパスパ切らないと大量の時間を費やします。

 

武内の師匠の若い頃は、このナマコを胡瓜を切る様にスパスパ切る職人もいたとかで、武内の中では伝説に近い話を若い者にも伝えていたりします。

 

 さて、スライスしたナマコを番茶を煮出した汁に塩を一つまみ加え、70度くらいに温めて、湯通しします。

 

お茶を使うと、硬くならないとか言われています。

 

また沸騰するくらいの温度で湯通しすると、ナマコが縮んでしまい食感が悪くなります。

 

この工程を「茶振り」と言いまして、生の蛸を処理する時やナマコを

処理する時には、良く使われる手法です。

 

 

茶振りしたナマコは、すぐに氷水に落とします。

 

そして笊に揚げたら、合わせ酢に漬けこみます。

 

普通の土佐酢よりも若干、薄めに仕立てた酢に鷹の爪を加えて、

漬け込むのを「吸い酢に漬ける」と言います。

  

ここまで処理しておけば、三杯酢、二杯酢、チリ酢と・・どんな酢でも

提供が早いし、日持ちも良くなり確実な仕事と言う訳です。

 

 

そして、本日紹介するのはこの吸い酢に漬けたナマコにこのわたを

掛けて供する一品です。

 

 海鼠(ナマコ)に海鼠腸(このわた)ですから、ナマコの友和えと言う訳です。

  

元は同じ食材から別々に仕立てたものを使い一品に合わせる訳ですから

もちろん、その味わいは抜群の調和で、しかも別に仕立てた事でそれぞれに

違う旨味が出てきて、更にその旨味が相乗作用で何倍もの旨味を生みます。

 

 

この<ナマコの友和え>が、絶好の酒の肴となります。

 

それでなくとも、このわたは日本の三大珍味と言われるほどの貴重で

しかも美味と言われる珍味です。

 

 

その旨味に、さらに相乗効果が作用しますから、ちょこっと舐めただけでも

爆発的な旨味を感じる事になります。

 

 寒気が増して、ナマコの仕入れが始まったら、こんなメニューを・・・

 

実は、坐唯杏ではメニュー表に載せません。

 

 高価な珍味ですから、価値が分る方だけに隠しメニューとして、

毎年・・提供しています。

 

 もし、ご興味ありましたら、こっそりご注文下さい。

 

 お酒を呑み過ぎても良い…という日が、オススメです。