ブリヌタ

 朝晩の冷え込みが、冬の寒気を感じる頃になると、色々な魚に脂が乗って来ます。


そんな季節の代表的な魚を使った一品をご紹介しましょう。


水分は熱の伝導性が高いけど、脂分は低い。


水温が冷たくなるにつれ、身体の中で自然の断熱材が出来る

わけです。


それが冬になると魚に脂が乗ってくる大きな理由です。



そして、その代表格が、「鰤(ブリ)」です。



鹿児島県の沖で対馬海流と、黒潮に分かれた鰤は日本海側を

北上する群れと、太平洋側を北上する群れに分かれます。

 

 

日本海側の鰤が、クローズアップされがちですが太平洋側の

鰤も充分、味わいが良いのです。

 

 

武内が修業時代、過ごした土佐料理の老舗でも鰤を使った

酒の肴に絶好の一品があります。

 

 

それがブリヌタです。

 

 

湯通しした鰤のサクを刺身に造って、酢味噌を掛けた一品でして、

酢味噌で食べる刺身としては、希少な一品だと感じています。

 

 

鯉の洗いや、貝類、茹でたサメなどが、酢味噌で食べる刺身の、

最も一般的なものですが、海の魚で、しかも醤油で食べて美味しい魚を

酢味噌で食べること自体、少々珍しく感じる事でしょう。

 

 

とは言え、この一品を口にすると、その疑問は吹き飛びます。

 

 

抜群の調和と、豊富な味わい。

 

 

鰤と言う魚を、存分に味わうに相応しい仕立て方と、改めて納得して

頂けるに違いないからです。

 

 

やはり郷土料理と言うジャンルには、長年にわたって培ってきた

生活や自然の素材に密着した、ノウハウが詰め込まれています。

 

 

ただし、鰤の湯霜造りに酢味噌を掛けただけでは、この調和は

生まれません。

 

 

何が、この一品の土台を支えているかと言うと、酢味噌の仕立て方に

あります。

 

 

まずは土佐料理の大きな特徴である柑橘系の酢です。

 

「ゆのす」と呼ばれる柚子の搾り汁を豊富に使った香りの高い酢味噌を

仕立てます。

 

 

その上で、またトンデモナイ、香味野菜を加えています。

 

 

その香味野菜とは・・・「ニンニク」。

 

 

ニンニクと言っても玉のニンニクではなく、葉ニンニクを加えたのです。

 

 

ニンニクの葉を細かく刻んで、擂鉢で丹念に摺って、そこに酢味噌を

加えます。

 

 

緑色の綺麗な酢味噌が出来上がりますが、酢の作用で色が飛びます。

 

 

この色の鮮やかなうちに、鰤の刺身にかけて供するわけです。

 

 

この酢味噌は生シラス・・・土佐ではドロメと呼びますが、ドロメやノレソレにも

良く使われる酢味噌です。

 

 

生姜醤油や、生姜とチリ酢、普通の酢味噌では感じられないインパクトが

ニンニク酢味噌では大いに楽しめるのです。

 

 

機会がありましたら、是非1度、お召し上がりください。