クエの話

 先日、某テレビ局からクエの取材の打診がありました。

 

相当、焦っていたようで連休が始まってから、最中で撮影を含む取材がしたいとの事。

 

やんわりとお断りして、武内の修行先を紹介しておきました。

 

 

残念ながら、市場の休みの時に簡単に仕入れられるほど気軽な素材ではありません。

 

 

もちろん、仕入れルートも持っていますし、他の「クエ」をなんたるか理解していない店や職人に掛かるよりは、武内はクエの奥深い部分まで紹介できると思います。

 

 

 以前、押上にあった「ごでんや」で天然クエの会を開催した時、

押しかけ調理をやった事があります。

 

 

ごでんやのオーナーは上京した直後から交流があり、料理人としての力量も知っていましたから、ここは出番だとしゃしゃり出た訳です。

 

 

クエ鍋やクエの生チリを出す店は、十数年前に比べれば画期的に

増えました。 

 

とは言え、こんなバラシ方をしたら大変だったろうな・・とか、ここの身をこんな取り方をしたら無駄になって原価が上がるだろうと、色々な店のクエを見て、心配になる事があります。

 

 

 クエ料理は土佐料理の中でも、一種特殊な技術です。 

 

本当に大昔、武内がまだ厨房の世界に入る前などはkgあたり数百円と言うありふれた、ごく普通の家庭で食べる魚でした。

 

 それが「幻の魚」などと、宣伝されて一気に価格は暴騰。

 

 数年前までは、kgあたり1万円以上もする超高級魚となったわけです。

  

そうなると、誰でもが扱える魚ではなくなり、その技術を伝える機会も

激減したと言う事情があります。

 

 クエと言っても、ただの魚。

 

 

普通に卸して、捌いて、アラを叩いて鍋にしたり刺身にしたりすれば

良いだけの事・・・と言う、職人も多いですが専門的な勉強をしたか、

していないかは、我々から見たら一目瞭然。

 

 

早く、綺麗に、そして経済的に1本のクエを使い切るには、やはり精通

している職人で無いと分からない事が多いのです。

 

 

とは言え、普段からメニューに置かず口先だけで何を言っても駄目な

事は承知しつつなんですが、

 

 

本クエ、真クエとなると今でもkgあたり6~7000円はする高級魚です。

 

 

なかなか、思い切った仕入れには至りません。

 

 

しかもクエの本領を発揮するのは10kgを超えたものからです。

 

 

築地あたりでも7~8kg程度の真クエは、よく見かけるようになりましたが、

あの魚体では、まだまだです。

 

 

本物を知ると、偽者が許せなくなりますが、実はクエには交雑種みたいな

固体もありまして、見かけはキジハタ、アズキハタの様ですが、捌いて見ると

真クエに本当に近い魚もいます。

 

 

高知では、真クエ以外のクエでも「マスグエ」「モンクエ」とか言う言い方を

して真クエ以外でも「クエ」という名を使う事があります。

 

 

その裏には、こう言う事情があるのです。

 

 

種が違えば、価格は半値以下になります。

 

 

それでも同等の味わいがあれば、それはラッキー。

 

 

偽者は許せない・・と言いつつ、上質な偽者を探す武内もいます。

 

 

そういう所も仕入れの面白いところではあります。