御節重詰 Ⅰ

どんな仕事でも行程表と言うか、設計書は必要です。


我々の仕事では、設計書と言えば献立です。



料理人は「献立」を見れば、大方の見当がついて、細かな打ち合わせも献立上から進めていきます。



でも御節の場合には品数も多いですし、仕上げる日程、進行状況を

細かくチェックして、ひとつひとつ確認していかないと、大きな

失敗に繋がります。


特に坐唯杏の御節の場合は、おそらく品数的には他所の御節の

2倍・3倍はあるでしょう。



その全ての進行状況を把握するには、しっかりした設計書が無くては

絶対に漏れが出てきますし、最後の詰めの時に同時に全てを仕上げる

事は、不可能です。

 

 

 

坐唯杏の行程表では、まずは全ての献立と、すべての材料、そして

日付ごとの進み具合が、細かく指定してあります。

 

 

前日に用意するもの、当日に進む行程、そして翌日分の発注リスト、

要は、その三点の繰り返しなんですが、これが無かったら、

全く話になりません。

 

 

 

特に12月と言う事で、営業も忙しくて営業分の発注や仕込みを

同時に抱えながらの進行ですから、体力的にも精神的にも極限まで

追い詰められている感じになります。

 

 

その中で、行程表の最後に見える、御節完成の壮観な光景こそが、我々の

力の源なのです。

 

 

詰めた御節は、お客様の分はもちろん、スタッフの分もあります。

 

 

お客様と同じ御節を食べながら、元旦を迎えています。

 

 

お客様のご家庭でも、ご家族で我々の詰めた御節を前にして

新年の挨拶から、幸せな団欒を迎えておられる・・そんな事を

想像しながら、我々も御節を広げているわけです。

 

 

家族には、この料理は自分が担当した・・なんて会話もあると

思います。

 

 

これが大変なんだ・・なんて言う苦労話もあるかと思います。

 

 

でも、全ての苦労が吹き飛んで、大きな仕事をやり終えた充実感に

包まれながらの正月は格別です。

 

 

 御節の行程表、それは単なるリストであり、設計図なんですが、

その向こうに見えるもの。

 

 

その光景こそが、本当の意味での行程表かもしれません。