土佐・鯨たたき

 土佐流の鯨たたきを提供する前、


実は「牛たたき」を提供していました。


今でこそ、生肉の危険性を声高に主張していますが、矛盾を感じることと思います。



とは言え、実は厚労省の指針、保健所からの指導でも現在、奨励されている生肉の提供法がありまして、塊肉を使用し表面を加熱殺菌する方法で許可されています。



しかも、たたきの場合はチリ酢に浸して提供するため酢のもつ静菌作用がありますから、現在の提供法と比較しても問題無い方法で提供していました。




とは言え、法的には認められている馬肉にしても、

牛肉にしても僅かながら危険性は認められるわけでして、

樂旬堂・坐唯杏では敢えて危険を冒す必要は無い。

 

 

そう結論付けています。

 

 

そこで「鯨のたたき」へとシフトしたのですが、牛のたたきと比べても味わい的には遜色はありません。

 

 

と言うか、武内の嗜好では、むしろ鯨の味わいに軍配を上げます。

 

 



もちろん、鯨にしても牛にしても、その肉しだいで味わいは変わります。

 

 

一般論として牛と鯨を比較すると・・と言う話で、全ての状況に適用される

訳ではありませんが、上質な鯨肉を炙ってやや厚みをもたせたへぎ造り・・

刺身に造り食べると、

 

 

肉を生で食べる・・と言う充実感が溢れてきます。

 

 

土佐流の流儀では、素材に塩を利かせる。

 

 

鰹たたきの場合なら、刺身に造って塩を振りますが鯨の場合は炙る前に

塩・胡椒を振ります。

 

 

少し揉みこむ様に馴染ませると、炙った時に塩が落ちません。

 

 

直火の強火で、表面を強く炙ります。

 

 

表面から、2~3mmのところまで火が入り白くなるのが目安。

 

 

しかも肉の表面には香ばしい焼き色、焦げ目をつける様に炙るといっそう

味わいは増します。

 

 

その炙った身を、やや厚みを持たせてへいで刺身に造ります。

 

 

厚みを持たせるとは言え、魚のように厚く作ると噛み切る事に気を取られ、

味わいは落ちます。

 

 

何度もお伝えしていますが、刺身と言うのは旨い切り身を造る技術。

 

 

これはたたきの場合でも、全く同じことです。

 

 

ひと口で食べられて、丁度良いサイズ、快い食感と素材の味わいが広がる切り身。

 

 

個人の感性でも、多少変わりますが、これが刺身の目指すところです。

 

 

そして、切り身の見た目も重要。

 

 

日本料理は、やはりその美しさでも評価されていますから、盛り付けも一切

気を抜けません。

 

 

そして土佐流のたたきの場合は、チリ酢と呼ばれる柑橘の絞り汁、柚子の果汁を

たっぷりと加えたポン酢醤油を掛けて提供します。

 

 

添えるのは、何と言ってもニンニクのスライス。

 

 

他にも葱や貝割れ、生姜や玉葱のスライスを添える事もありますが、シンプルに

楽しむならニンニクだけ、と言うのも潔い選択だと思います。

 

 

という事で、鯨のたたき。

 

 

なかなか味わう機会がない、希少な素材となってしまいましたが、行かれた店で

鯨のメニューを見かけたら、ぜひぜひ!!!

 

 

ご注文ください。

 

 

今の若い人たちは、鯨が普通に出回っていた頃を知らない世代です。

 

 

鯨の味わいを伝えていく事。

 

 

我々に課せられた、重要な使命ですから。