【解説】 黒鯛の三枚おろし

水洗いした黒鯛を、頭を落とすところから三枚に卸し、節に分けるまでを

撮影してあります。



「水洗い」と言うのは、単に流水で洗う事じゃないです。



基本では頭つきのまま鰓を外して、内臓を出し、血合いのところを丹念に

かき出して、中を流水で洗う事です。



水洗いが、最初に習う仕事ですね。



その後が向板(むこういた)や脇板の仕事として、三枚に卸すのが

魚の仕事のステップです。



頭を外すのも、兜として使う前提があるので、頭のほうに身を付けて

真っ直ぐに落としてます。



これが刺身にしか使わないという前提なら、V字型に切り込んで

頭を落とすんですね。



この動画では、ちょっと扱いが荒い気もしますが、活けの白身は身が

割れないのでスピード重視するのもあります。



とは言え、まぁ若かりし頃の武内の仕事と言うところでしょうか。



逆に鰆やハガツオであんな仕事をしたら、一発で身が割れます。



素材によりけりの扱いと言う事も、頭に入れておいて下さい。



さて、三枚に卸すところですが、片側から一気に卸します。



大名卸と言う手法ですが、鯵や鰯を大名で卸すときとは、全く

意味が違います。



骨に身が残っても、もったいなくない・・そんな意味での「大名」と

片側から一気に卸すので、いちいち返したりしないと言う意味での

「大名」と言うわけです。



だから鯛や縞鯵、イナダや、、まぁその他にも片側から一気に卸せる

魚なら、大名で卸します。



その方が断然、早いからです。



1日に、何枚も何枚も卸してきた経験と身に付けてきた技術が

こう言う所で生かされます。



また腹の薄い部分をアラに落としていますが、コメントには色々

書いてありますね。



「刺身に出来るのにもったいない」・・なんて言うのが、まぁ素人さんの

感覚だと思います。



でも、魚というのは適材適所で使い分けていく方が、実は無駄がありません。


例えば、あの腹の部分を全部刺身用にしてしまうと、身がついた腹の骨が

でます。



そんな中途半端な部分ではアラとしての価値も半減します。



あそこは思い切ってドンと落としてアラとして1貫、2貫に使うほうが

価値のある売り方が出来るんですね。



もちろん、店によってアラなんか一品料理として殆ど出ない、例えば

回転すしの店なんかは、あそこを刺身用にして良い部分と抱き合わせて

二貫で使います。



結局は薄い部分ですから真ん中の良い部分と比べると見た目も劣ります。


まぁ、そんな意味であの部分をドンと落としているわけです。



また、あそこを指摘するなら、実は腹の骨を掻き取る時もアラで1貫に

使えるように身をつけて削いでいます。



決して良いアラではありませんが、出汁にしてしまうにはもったいない、

と言うところです。



こういう考え方はクエを卸すのを勉強したときに学びました。



高い魚ですから、骨とて無駄に出来ない。



如何に価値のある骨にするかが、ポイントです。



だから、鯛の時でも中骨まで使うことを計算に入れたら、わざと浮かして

中骨に身をつける様に卸して障子焼にする、なんて言う手法もありますよ。



あっ障子焼と言うのは中骨の焼き物ですね。



骨の間から透けて見える障子に例えて、この名があります。



風流な名づけですよね。



あっ、そうそう、「包丁が切れないのでは」と言う指摘もありましたね。



実は1週間ぐらい研がない状態で卸しました。



武内としては、残念なぐらい力が入ってて見苦しいです (笑



まぁ、それでもあの程度には卸せます。



あの頃は、松宮に教えてた頃かな。


殆ど、魚には触って無い頃の動画でした。



と言う事で、あの動画から確認して欲しかったのは、魚の向きや

手順です。



例えば節に取る時には、必ず頭のほうから尾に向けて包丁を使います。


逆だと身が割れやすくなるんですね。


活けの白身ではなかなか、そんな事は無いんですが、これも習慣として

覚えておきたい事です。



細かい事は、まだまだありますが、一般の方の疑問にお答えして

おきました。



もっと、詳しく知りたい・・なんて方は、個人的にレッスンしましょう (笑