鱧の磯辺揚げ

刺身に椀物、焼物、煮物と活用する鱧ですが、もちろん揚物に仕立てても抜群の旨味が堪能できます。

 

特に日本の揚物、天ぷらと言う仕立て方は素材の良し悪しが露骨に現れます。

 

豊富な食材、鮮度の良い食材を使う事が出来る日本料理の中にあっては、最も日本料理らしい仕立て方と言えます。

 

と言うのは、やはり繊細な衣の中で蒸された形で火が通る事。

 

それが、素材の味わいがストレートに伝わる大きな理由です。

 

とは言え、揚物ですから油に直に近い触れ方をして、こんがりと揚げる手法と、衣の中で蒸されて加熱される手法を混在させる事で更に味わいが上がります。

 

 

魚は皮目に旨味も多いのですが、その処理を間違うと魚臭さや生臭さが残ると言うデメリットがあります。

 

旨味を最大限に生かすには、水分をいかに抜くか。

 

こんがりとパリッと揚げられるかが、鱧の揚物の極意でもあります。

 

穴子の天ぷらでも解説させて頂きましたが、衣のボールの縁に皮目をさらっと滑らせて余分な衣を落としつつ、熱した油に鱧の切り身を落とします。

 

身の方からは、衣を通した優しい火の伝わり方をさせて、皮目からは

直接的な強い火の入れ方をすると、理想的な揚げ具合が実現できます。

 

 

山椒塩や、梅干を卵黄で伸ばして湯煎にかけて、パラパラに仕上げた梅香煎をまぶして食べるのも良いですが、衣の中にもみ海苔を忍ばせて天ぷらに揚げた磯辺揚げに仕立てるのも実に風味があって良い物です。

 

柑橘の絞り汁をキュッと掛けて、粗塩で味わう磯辺揚げ。

 

力強い鱧の旨味があるからこそ、他の風味にはものともしない素材自体の自己主張があります。

 

鱧の揚物。

 

ぜひ、どこかで見かけたら味わってみてください。

 

 

 

チェーンの居酒屋さんでは、湯引きして冷凍したものを揚物に

仕立てている店もありますが、活け締めの鱧をきっちりと骨切りして

揚物に仕立てている、お店なら・・・という話ですが。