鯖の焼出汁

 鯖と言う魚ですが、そのまま塩焼きにするのは、あまり得策ではありません。


鮮度の良い鯖でも、身が緩いのが、その理由です。


坐唯杏で使う〆鯖の鯖のように、朝〆で生きている魚を使ったとしても、塩を当てて凝縮した身の方が格段に旨味が増します。


鮮度の良い生鯖を三枚に卸し、骨を抜いたら薄塩を当てて、浸透圧を利用した脱水シートに挟みます。



以前はスーパーなんかでも見かけましたが、最近は一切見なくなりました。


業務用では、昭和電工さんが出している「ピチットシート」と言う便利な

アイテムがありますが、ご家庭でやられるとしたら高吸収で紙製の物を

使用されたら良いです。



こう言う物を使えば、冷蔵庫に入れつつ脱水できるのが利点です。



陰干しや風干しは、常温である程度の時間を置かなくてはいけないので

鯖のような魚には、少し怖さがあります。



さて、塩焼きの時なら軽く脱水して水分を絞った鯖を、もう一回塩を 当てて焼きます。


薄塩から、さらに塩を振るという二段階の塩が、味わいに深みを出します。


今回の焼だしでは、薄塩のまま焼きます。 食い味は出汁の味わいという事です。



焼いている間に出汁を仕立てます。


豆腐の揚げだしの豆腐を鯖に変えて、揚げる工程を焼きに変える。


そんなイメージで仕上げます。



蕎麦つゆや、天つゆ程度の味わいにして、大根おろしや葱、柚子を載せたら 完成です。



季節の青菜を茹でたものや、キノコの素揚げ、牛蒡や蓮根の千切りを油で

炒めて添えたら、120点。



料理屋の仕事ですね。 じわっと広がる、脂の乗った鯖の旨味を、

優しい出汁の味わいで食べるのは 実に豊かな気分にさせてくれます。



鯖に限らず、色々な魚で応用できる手法ですが、中でも鯖の焼きだしは格別です。