零余子(むかご)蕎麦がき

蕎麦切りにする時は、水回しをして水分を含んだ状態で伸ばし、麺線に切り分けます。

 

 

 

この工程を、一切省き・・水分を加えると同時に加熱する蕎麦がきの方が蕎麦粉の素性が明らかに仕上がりに影響する。

 

 

 

理に適った分析であり、食べた時の実感も相応する味わいを堪能できます。

 

 

 

蕎麦粉をストレートに味わうなら蕎麦がき。

 

 

 

 

この言葉に異論を唱える蕎麦職人さんは滅多にいません。

 

そんな事で、新蕎麦の季節・・産地に近い道の駅や、産直の販売所に行くと抜群の蕎麦粉が手に入る時があります。

 

我々の様なプロなら、極上の蕎麦粉を仕入れるルートを持っていますが、その質に準ずる蕎麦粉も、手に入る機会は一昔前に比べたら、格段に増えたと言う事です。

 

そう言った極上の蕎麦粉、腕自慢の方ならすぐさま、蕎麦切りとして友人・知人・家族に振る舞う事も出来ますが、なかなか簡単に蕎麦を打つには至らない方が多いのが実情でしょう。

 

そう言う時こそ、蕎麦がきの出番です。

 

湯で練って、小判型やつみれ状に整え、沸いた湯に落として火を通す。

 

 

そんなレシピでも良いですが、武内がオススメしたいのは湯に直接、蕎麦粉を加えつつ加熱するやり方です。

 

小さな泡だて器を使って鍋の中で加熱しながら練り上げる事で、湯に漬けない分より濃厚な蕎麦粉の味わいを堪能できます。

 

蕎麦粉によって湯との割合は変わって来ますが、かき混ぜながら湯の半量ほどの蕎麦粉を投入し、粘りが出てだまが無くなった辺り・・・

 

時間にして4・50秒から1分少々火に掛けて貰えれば、上等な蕎麦粉なら間違いなく良い粘りが出てきて、しっとりと落ち着いた蕎麦がきが練り上がります。

 

この蕎麦がきに大根おろしと醤油でも良いですし、蕎麦ツユと山葵などを用意しても蕎麦粉さえ良ければ、名店で味わうかの様な極上の蕎麦がきが楽しめます。

 

 

そして、肴になる一品として以前、武内がオススメしていたのが零余子を加えた蕎麦がきです。

 

零余子の鄙びた味わいと、蕎麦粉の素朴かつ上品な味わいが極上の調和を楽しませてくれる一品です。

 

零余子は昆布出汁に塩を加えて直炊きしておきます。

 

ゆっくりと加熱して芯まで柔らかく炊いたら、そのまま昆布出汁に漬けたまま冷ましておきます。

 

その零余子を蕎麦がきの練り上がりにパラパラと加えます。

 

それで、ひと練りしたら完成です。

 

以前は、こう言った組み合わせの妙や、調和の料理・・つまり掛け算・足し算の一品に惹かれて、色々と考案したものですが、実は最近は削ぎ落とせるものは無いか。

 

 

そんな思考が最初に来るようになりまして、自然とこういう一品がメニューから消えたのですが、ごくたまに仕立てるとやはり・・・良い時があります。

 

他にも鍋料理で寄せ鍋と言うと、和食の職人の感覚では1番安っぽい仕立て方。

 

そんな感覚もあるのですが、鍋の中が宝石箱・玉手箱の様に色々な逸材が入っているのも、たまには楽しいものです。

 

組み合わせの妙、調和の逸品。

 

楽しみたくなったら、その時はぜひ!