海老しんじょう・蓑揚げ

 蓑揚げは、見立て料理なので武内としては、さほど作る機会は少ないのですが、時たま・・

 

こういう仕事もある・・程度には、仕立ててみたりします。

 

茶蕎麦を1cmほどに揃えて切り、海老しんじょうにまぶして揚げる。

 

食感の妙、心地良い弾力の中から、力強い海老の味わいが顔を出す。

 

 

こういう場合の海老は、すり身状にして使うのが一般的ですが、

繊維が壊れれば壊れるほど、味わいは薄くなる。

 

中華料理には、面白い手法があって、あの幅の広い中華の包丁で

潰して団子や、餃子、シュウマイを作ります。

 

ならばと言う事で、武内も真似をしてみました。

 

包丁の腹を使って潰し、粗く叩いてすり身と合わせる。

 

油と卵黄を乳化させて卵の素、細かい微塵に刻んで水に晒してから

きっちりと絞り、空煎りして辛味を飛ばした玉葱を適度に混ぜ込み、

団子に合わせて、小麦粉、卵白の順にくぐらせ茶蕎麦を付ける。

 

低温から、周囲の茶蕎麦がパリッと揚がり、火が通った瞬間を

見極めて、油から引き揚げます。

 

揚げたての時に、薄く塩を振っても良いですが、この一品には唐墨の

粉をまぶしてみました。 

 

より酒が進む、楽しい肴が出来上がりました。 

 

少しでも酒が旨く呑める一品に、手を掛けるのは美しい行為です (笑

 

 

 

 

海老しんじょう自体は、和食の仕事の中ではよく使われる一品です。

 

海老の摺り身に微塵の玉葱を加えたり、卵黄と油を入荷させた卵の素と呼ばれる繋ぎを加えたりと、職人により様々な工夫をして仕上げる一品です。

 

その海老しんじょうに、素麺や茶蕎麦を短くカットして、縦方向に揃えつつミノムシに似せて貼り付け、油で揚げる。

 

それが、蓑揚げです。

 

解釈としては、こう言う事なのでなるべく蓑に見える

様に仕上げるのが丁寧な仕事ですが、あまりにも

リアルだと、それはそれで引く方もいらっしゃいます。

 

何事もほどほどと言う所を理解しないと本末転倒。

 

季節感を感じる前に気味悪く感じる方がいては、何

にもなりません。

 

と言う事で、名前だけはそのままに「蓑揚げ」を使って

も最近では、さほどその蓑の付け方には制約がなくな

っています。

 

さて蓑揚げの中身、海老しんじょうは先ほども申しまし

た通り、幾通りもの手法がありますが、要は海老の摺り

身をまとめた物です。

 

この摺り身に下衣、つまりは粉を打って卵白をくぐらせ

てから素麺や茶蕎麦をフライの時のパン粉の様に付け

ます。

 

手で握りつつ、軽く形を整えて揃える様にしてやると形

は馴染みます。

 

また変わった所では、ジャガ芋の繊切を軽く揚げた物を

まぶすと、これがまた抜群の味わいになります。

 

その他、牛蒡や蓮根、里芋などを使う職人もいますが、

手のかかる仕事です。

 

パリッと揚げた蓑の中から旨味の溢れる海老の摺り身が

出てくると、食べた時の驚きは、なかなかインパクトがあり

ます。

 

と言う事で、本日は季節の一品「蓑揚げ」をご紹介しました。

 

ご家庭で真似をされるのであれば、鶏のミンチでもご自分

で叩いた海老の身でも中身にはさほど拘らず、付ける衣の

食感を楽しんでみてはいかがでしょう。

 

面白い肴になると思います。