柿と小蕪の風呂吹き

小蕪と柿を蒸し器で蒸して、桜味噌の甘味噌を掛ける一品、それが、この料理ですが、そこには少々・・小細工もあります。

 

 

 

まずは生のまま、蒸し器で火を入れると幾ら形や大きさを揃えても火の入り具合に差が出ます。

 

 

 

小蕪を先に下茹でします。

 

 

 

そして柿が熱々になる寸前に蒸し器に入れて、同時に丁度良い蒸具合で熱々となる様に逆算して仕上げます。

 

 

 

 

もちろん、その時に練り味噌にも火を入れて熱々で揃えます。

 

こういう料理は、温度がご馳走です。

 

熱々の小蕪、柿をふうふう吹いて、自分好みの温度に冷ましたらゆっくりと口の中に入れる。

 

その儀式があると無いとでは、満足感に天と地ほどの差が出ると言う訳です。

 

そして掛ける味噌は桜味噌でなくとも、白味噌の練り味噌に良く摺った胡麻を合わせた味噌。

 

 

我々の言葉では利休味噌と言いますが、この味噌で仕立てる料理人もいます。

 

ただ、柿の季節と言う事でしんみりと味に深みがある方がより調和するのではないかと言うのが、武内の好みです。

 

桜味噌は、あまり知られていませんが白味噌と八丁味噌を合わせた物です。

 

商品名で桜味噌として売られているので、単体の味噌だと勘違いしている料理人も少なくありません。

 

白味噌と八丁味噌を、料理人ごとに・・また、使う料理ごとに割合を変えて

仕込む、そんな事が一昔前の和食の厨房では当たり前でした。

 

と言う事で、旬堂・坐唯杏でも小蕪と柿に使う時には八丁味噌を減らして

8割がたは白味噌と言う桜味噌を仕立てています。

 

その合わせ味噌に酒と味醂、卵黄を加えて火にかけて練ります。

 

この作業を、昔は何時間も鍋の前で練り続けた物ですが、最近の傾向としては

味噌の風味が飛ばない様に、酒と味醂を先に煮切って、味噌と火に掛けて沸いたら

終わり・・・と言うのも有力な手法となっています。

 

と言う事で、小蕪を下茹でし柿を蒸し器に入れながら、あらかじめ仕立てて

置いた桜味噌の練り味噌を温めつつ、頃合いを見計らって小蕪を柿の横にいれて、

熱々になったら、器に盛り付け練り味噌を掛ける。

 

天盛にはけしの実が合います。

 

武内の感覚では、秋の頃には1度は提供したい一品なのですが、どうも人気が

ありません。

 

おそらくは、その味わいが良く知られていない、仕立て方が一般的ではない、

組み合わせのせいだと思います。

 

もっと、こんな一品が広く知られる様にならないといけない。

 

そんな使命感も持っています。