太刀魚のかいさま寿司

「太刀魚のかいさま寿司」と言う棒寿司が土佐料理にあります。

 

武内の修行時代は、秋の頃には太刀魚を三枚に卸しまして塩と酢で締めて、よくこの寿司を仕立てました。

 

かいさま・・と言う言葉は、土佐の方言で「さかさま」の事です。

 

つまりは裏返しにして、棒寿司に仕立てるので、この名があります。

 

 

 

太刀魚は、卸す前にたわしを使って、丹念に銀の皮を洗います。

 

銀色の皮目から白っぽい地肌が見えてきます。 

 

銀の部分、全てを洗い流したら頭を落とし、腹を開けて水洗い。 

 

細い所を切り落とし、三枚に卸します。 

 

綺麗に骨を取り除き、ベタ塩を当てて、さらに塩と同じ時間、酢に漬けます。 

 

そして水気をよく拭き取ったら、皮目ではなく、身側を上に向けて

棒寿司に仕立てます。 

 

巻きすを使って、角がしっかりと立つように。

 

にぎり寿司と違って、しっかりとした締め加減で寿司飯を固めます。

 

口の中に入ると、唾液が浸透して、やっとほぐれる。 

 

そんな押し加減です。

 

ですから寿司飯も、甘味も酸味も強い、はっきりした味わいが良く合います。 

 

そして寿司飯の中には、煎った胡麻や生姜の微塵切り、紫蘇の繊切を

加えます。 

 

秋の寿司には、菊の花を散らすのも綺麗ですが、土佐料理には

あまり登場しない手法です。 

 

そして、醤油を付けず、添えてある柑橘・・酢橘や柚子、仏手柑などを搾って

そのまま食べます。 

 

土佐の寿司には柑橘が、きっちりと効いてます。

 

この柑橘の効き具合が甘いと、「酢がきいちゃぁせん」と言う、

土佐独特のけなし言葉があるほど。 

 

土佐の料理は、柑橘の酢の文化と言う一面もあります。