京芋の山椒焼

煮物に使う芋類と言えば、真っ先に里芋を思い浮かべますが、最も味わいが良いと言えば、やはり「海老芋」です。

 

高価な芋で、食感・味わいともに、最上の風格、存在感を感じます。

 

言い方は悪いけど、その対極にある芋が「京芋」という認識です。

 

京芋は筍芋とも呼ばれ、サイズが太くて長いので型で抜く仕事などには和食の世界でも重宝されてきました。

 

ネットリした食感と言うよりは良く言えばホクホク、悪く言うと水分が少なくボソボソした食感を感じる時もあり、芋の中では完成度の高い料理にするには、ひと工夫・ふた工夫が必要な食材です。

 

 

は、なぜ今日のお題、「京芋の山椒焼」に使うかと言えば、この一品には、今日芋の食感がピッタリと調和するからでして。 

 

いったん含め煮にした京芋を温めておいて、天火の焼台で表面の水分を飛ばす様に素焼きしてから、三度のタレ付けをして照焼に仕上げます。 

 

含め煮の完成形は、煮汁と素材の中心が同じ味わいになる様炊き上げる事。 

 

優しい出汁の味わいが浸透した、悪く言えばボソついた食感が芋の味わいに適度なアクセントとして主張してきます。

 

 

そこへ絡みつく甘辛の醤油ダレの濃厚な味わいが更に風味を高め、最後に振りかける山椒が、とどめを刺します。

 

鰻屋出身の武内としては、こう言う時のタレ焼には、かなり神経を遣います。

 

1度目のタレで色を付け、二度目のタレで味をつけ、三度目のタレで

照りを付ける。

  

口で言うのは簡単ですが、何千枚、何万枚も鰻の蒲焼を焼いてきた

経験があってこその仕事があります。

 

若い頃の経験は、年を取っても決して忘れない物です。 

 

含め煮とタレ焼、簡単そうで最も奥の深い二種類の調理を絶妙に組み合わせたレシピ、 

 

この京芋と言う素材に、それぞれの調理がピースをはめるパズルの様に上手に噛みあいます。 

 

と言う事で京芋の山椒焼。

 

八百屋でも、ごくたまに見かける事がありますが、もし手に入る様なら、こんなレシピを是非1度、お試しください。