走り・アン肝ポン酢

今、目の前ではアン肝の掃除が行われています。

 

冷たい水に漬けて、血を抜きながら、さらに薄皮や内臓の破片、血の筋を丹念に、丹念に取り除きます。

 

血の筋を取り除きながら、深く入り込んだ血管からもしっかりと血を抜きます。

 

薄皮の裏に入りこんだ血管は針で突きながら、中の血を抜きますよ。

 

そうやって純粋な肝部分のみに掃除したら、塩を回します。

 

やや強めの振り塩を当てて、ザルとボールをセットにして、余分な水分を落とします。

 

塩が回ると、若干締まった感じになってきます。

 

肝の脂分や、個体の大きさ、鮮度や、その日の気温なんかによっても微妙に塩の回り方が変わります。

 

 

 

そこを、きっちりとピンポイントで、この締まり具合…という所を目指すわけです。 

 

ある程度は毎日の勘が、物を言う仕事でして、 

 

これをきっちり毎日同じ時間にして・・なんてやると、むしろ仕上がりが変わってきます。 

 

塩の回り具合、蒸し加減が、アン肝の命です。 

 

もちろん、素材の優劣は有りますが、料理人が手を掛けられる部分においては、最高の仕事をする場面です。 

 

塩が回ったら、酒で洗い流します。

 

 

そのアン肝をきっちりと水分を拭き取り、昔なら経木に巻いて

蒸していましたが、現在の主流はホイルですね。

 

 

中の脂は、吸収されませんが整形にはとても便利です。

 

 

また経木も、今では匂いが付く事を嫌って、使わない職人も

増えていますね。

 

 

イカの刺身なんかを、経木を使って保存したら、一発で

匂いが吸着しますから。 

 

さて、後は蒸し加減。 

 

あまり強い火にしないで、優しい蒸気で蒸すのが良いとされてます。 

 

強い蒸気だと、温度が上がり過ぎて周囲が蒸し過ぎになるからです。 

 

優しい蒸気で、時間をかけて・・と言っても30分ぐらいでしょうか。 

 

芯まできっちりと火が入りながら、それでいて均一に、また

優しい締まり具合になるべく、火加減を調節しながら蒸します。 

 

途中、本当は蒸し器の蓋を開けたくないんですが転がして

綺麗な円柱状に固める事を推奨する職人もいますが、 

 

どちらかと言うと蒸しあがって冷ます時に、転がしながら

円柱状に整形するのが正解かと思います。 

  

これで、アン肝の仕込みは完成です。 

 

ホイルの端を、少し剥いて、その部分を切らない様に・・

巻いたホイルごとカットします。 

 

全部、ホイルを剥き切ってからカットすると崩れやすいですし、

扱いが煩雑になります。 

 

ホイルごとカットした方が綺麗に上がりますが、最初の少し

剥くひと手間をいれないと、かえって後から面倒な事となります。 

 

全て切り終わってから、最初に剥いた部分を摘まんでホイルを

剥くと、一つ一つ、ホイルを外さなくても綺麗に全部、一気に

剥けます。 

 

こんな事が、プロとしてのひと手間ではありますが、ご家庭でも

充分に応用が利く手法だと思います。 

  

カットしたアン肝を器に盛り付け、ポン酢醤油を脇から注いだら、

もみじおろしと青葱の小口切りを上から留めて・・。 

 

若布や蛇腹の胡瓜を添えたら、料理屋っぽくなりますが、

あとはお好みで、お選びください。 

 

本日はアン肝の仕立て方を、簡単にお伝えしました。 

 

実は細かな事を書き始めたら、もっともっとあるんですが、

少し手慣れた方なら、この説明でも充分に美味しい物が

作れます。 

 

手に入りにくい素材かもしれませんが、売ってる所には

売ってます。 

 

ぜひ、何かの機会にお試しください。

 

 


家庭用・アン肝の仕立て方

アン肝、言わずと知れたアンコウの肝です。

 

アンコウは「鮟鱇」なんていう漢字を書きますね。

 

深い海に潜んでいては、目の前に垂らしている提灯に小魚が集まったところを、大きな口で丸呑みにします。

 

貪欲で食欲の旺盛な魚です。

 

さて、その肝ですが、やはり他の魚と比べたら肝の大きさが違います。

 

魚体に対しての肝の割合が非常に大きい、人間にもあれほど大きな肝臓が備わっていれば、もっとお酒が呑めるかも・・・なんて言うのは素人考えでしょうね。

 

アンコウ以外で、あれほど美味しそうな肝を持ってる魚は、まず居ない・と書きたいところですが、

 

実はアンコウよりも美味しそうな肝、もちろん見た目だけのお話ですが、持っている魚がいます。

 

それは武内の知る限りでの話ですが、河豚。

 

河豚の肝は、本当に美味しそうな肝ですね。

 

でも、残念ながら未だに味を見るには至っておりません。

 

さて、そのアン肝ですが、お皿に盛り付けられるまでを、簡単に説明すると、水で良く洗い流しながら、薄皮の下や細胞の中を通っている血の筋を掃除します。

 

血が残っていると、臭みや雑味の原因になります。 

 

掃除が終わったら、やや強めの塩を振りかけて、しばらく置きます。

 

時間にして小一時間と言うところです。

 

大きなものなら、塩を振る前に適当な大きさに切り分けてから塩を

当てた方がベターです。

 

塩が回ったら、酒をふりかけ10分ほど置いて、ホイルで形を整えながら両端をしっかり留めて、円筒状に巻きます。

 

 

 

それを、太さにもよりますが、30分から4・50分、蒸し器で蒸します。 

 

蒸しあがったら、冷ます時に転がして形がいびつにならないようにケアしながら、冷やし固めると言うわけです。 

 

他にも巻スで巻いて、砂糖と醤油の出汁で、野菜のクズを入れて炊いてしまう方法もありますが、一般的ではないです。

 

でも、野菜クズの中に牛蒡などを入れておくとフラボノイドの効果で臭みなどが和らぐと思いますので、効果的なレシピです。 

 

さっくりとアン肝の処理の仕方を説明しましたが、ご家庭ではなかなか難しいですかね。 

 

もし仮に、簡単に手に入って、作れたとしてもあんまりオススメはしません、だって、我々の仕事がなくなりますからね(笑

 

 

 


アン肝の蒸し加減

 

また、アン肝かぁ。なんて声も聞こえてきそうですが、最近、アン肝の処理をしていて、アン肝にとって、とても大事なことに、あらためて気づきました。

 

まぁ、昔からけっこう気にしていた事なんですが、ある仮説をたてて検証してみたら、これが思いのほか、上手くいって・・・

 

もったいぶらないで、結論から書きますと、肝を蒸す時の火加減、これが仕上がりに絶大な影響を及ぼすと言う事です。

 

 

 

 

 

ある程度の強さの火でしっかりと火が入るようにと、けっこう時間を長めにとって蒸していましたが、アン肝にスが入った様にぶつぶつした穴が開き、食感が著しく悪くなる時があります。 

 

もちろん、火の強さはその時の蒸気の出方を見ながら調整しつつ、時間は30分強で仕上げていました。 

 

ところが、30分と言う蒸し時間の長さは、ある程度の火・以下で全く問題なく火が入るんですね。 

 

だから、火加減を極力押さえて、弱火の優しい蒸気で蒸してみたんです。 

 

そうすると、アン肝の食感の悪さが全く消えました。 

 

シコシコした歯ごたえ・と言うには若干、違いますが、そんな表現を

使いたくなる様な劇的な変化でした。

 

 

もちろん、肝の鮮度や質にも大きく左右されるのでありますが、

極力、優しい火の入れ方で中心までしっかり火を通し、火の通った

瞬間に火を消して、余熱でじんわりと全体的に熱を回す。

 

 

 

そうしておいてから自然に冷まして、冷蔵庫にしまい、脂分が固まる

まで寝かして終了。 

 

しっとりと火が入ったアン肝は、旨味の出方も充分で、食感も艶かしいほどの魅力に溢れています。 

 

まぁ、ご家庭でアン肝を蒸す機会があるかは、別にして今回は蒸す時のポイントを書かせてもらいました。 

 

当通信は、同業の方も多く見ているので、情報の共有。 

 

ぜひ、役に立てて下さいね。