成長の場 <姿造りの卸し方>

アジの姿造りと言うと、ゼイゴも鱗も、そのまま。

 

頭付でざっと卸して、皮を引いたら適当な大きさに切り付けるだけ。

 

そんな造り方が、巷では当然の様に行われていますが、武内は全く賛同できません。

 

と言うのは、やはり皮を引いた時にまな板が鱗だらけになるのは許せるものではありませんし、仕事として非常に汚く感じます。

 

ゼイゴを頭の後ろの方まで丁寧に取り去り、鱗も丹念に取り除いて、それから仕事に取りかかります。

 

当然と言えば、当然の事なのですが活造り風の魚屋仕事が、和食の料理人の中にも蔓延しています。

 

そして姿造りと言うと、土佐流の造り方では下身を腹骨に突き抜けて卸し、上身は腹骨の上を傷つけない様に、三枚に卸してから中骨の水洗いに進むのが基本です。

 

 

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脱力のスゴ技 <鱧の骨切り>

6月1日より、鱧を始めます。

 

おそらく今年も、たくさんの鱧を扱うことでしょう。

 

我々のような酒亭としては、また単なる居酒屋としても、毎年・・段違いな数をこなしていると思います。

 

1日の客数が100名から上の修行時代と、大して変わらない量を坐唯杏では扱っていますから。

 

東京で鱧と言えば、坐唯杏。

 

気軽な価格で、本物を味わう店としては、そんなイメージが定着したのでは・・・なんて、おこがましい事も考えていますが、鱧と言う魚は、本当に難しい魚であります。

 

もう何年も前に、これだけの仕上がりを見せれば、相当な所だろう、などと思い上がった事を考えていた時期もあります。

 

 

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円滑の技 <鯛兜の梨割り>

梨割り・・と言う言葉にも馴染みが無いと思いますが、動画の解説にも入れたように、果物の梨を半割りにする動作に喩えてこの名があります。

 

でも実際は、果物の梨を割るほど簡単にはいきません。

 

天然真鯛、しかも4kg超の兜だと、骨も半端じゃなく硬いです。

 

出刃を口から入れ始め、割り進めていきますが、かなり年季を要する仕事の一つではあります。

 

でも、これもある時期からすっと、力が抜けてくる時があります。

 

動画を見ると、ガチガチに力が入っているように見えますが、これは武内の未熟なところ。

 

実は自分では、そんなに力が入っていると言う気持ちはありませんし、慣れない者が、この仕事をやる時とでは、全く違います。

 

動画を見ると、少しずつ割り進めています。

 

 

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業界の品質、高めたい <包丁・切りつけの向き>

魚の切り身を切りつける時の向きや、皮目での包丁の使い方・・・

 

 

独立前に、少しだけ勤めたホテルの厨房でも、全くこの基本は理解されていませんでした。

 

 

 

今の時代、促成の教育で料理人を仕上げる物ですから、当たり前の基本がスコンと抜けてるのを、良く見かけます。

 

 

 

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左手が微妙です <包丁の研ぎ方Ⅲ>

先日、仕事の合間にいつも刺身に使っている柳刃を研ぎました。

 

実は乾杯倶楽部会員(樂旬堂・坐唯杏の優待会員クラブ)の方には、無料包丁研ぎサービスを行っています。

 

ちょくちょく、御利用なされる方もいらっしゃいまして、好評のサービスとなっていますが、職人としては当然、自分で研ぐのが前提になります。

 

一般の方には、包丁を研ぐ技術よりも、切れる包丁を直にお渡しするのが親切だと思いますが、坐唯杏で仕事をするアルバイトやホールのスタッフでも、本当なら教えていきたい所ではあります。

 

さて、そんな包丁研ぎの技術ではありますが、とにかく重要なのが研ぎしろの角度を変えない事です。

 

和包丁にいたっては、研ぐ部分が明確に分かりますよね。

 

その部分を砥石にぴたっと当てて、浮かさない事。

 

早く研いでやろう・なんて思って刃先だけを砥石に当てたら、刃はどんどん鈍角になり、いわゆる丸ッ刃になります。

 

切れ味は鈍るし、持続性も落ちますね。

 

しかし、ある程度持続性が落ちても、それ以上は落ちにくいと言う利点もあったりします。

 

 

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悪循環を抜ける道 <丸っ刃の包丁>

久しぶりにスタッフに使わせている武内の包丁を見ると、全く刃がついていません。

 

よく、こんな状態で仕事が出来るなぁ・・とも思いつつ、これが年季の差だという事も、あらためて理解できた訳です。

 

はは、全く刃が・・とは言え、家庭の包丁なんかよりは格段には切れますが、武内が理想とする状況からは、程遠いと言う所です。

 

まぁ、そんな包丁だったんで、砥ぐように指示をしましたが、結局は自分で砥ぎました。

 

きちんと砥げたら、おそらく最初から砥いでますからね。

 

まずは、理想とする状態を見せようと言う所です。

 

早く砥ぐ事を考えると、知らず知らずのうちに刃が丸くなってます。

 

と言うのは、刃先だけに力が入って、砥ぎしろ全体を砥がなくなってしまうからなんですね。

 

 

刃先だけを砥ぐと、瞬間的には切れる様になりますが、徐々に切れは落ちて行って、最後は全然刃がつかないと言う所に来ます。

 

もう、この辺に来ると悪循環で、砥いでも砥いでも刃がつかないから余計に丸く砥ぐようになります。

 

砥ぎしろ全体がピタッと砥石に当たる様に固定して、角度を変えずにきちっと砥いでいくと、最初は全くカエリが出てきません。

 

 

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愛しの砥石のコンディション <包丁の研ぎ方Ⅱ>

 

先日、包丁の研ぎ方で、きっちりと研ぎしろに砥石を当てて、浮かない様にしつつ、左手の指で押さえたところが研げていくと言う事をお伝えしました。

 

そして、研ぎしろが平面で無く、球面に近くなるにしたがって、丸っ刃となる。

 

これが悪い状態と言う事もお伝えしました。

 

 

これが、いくらきちんと押さえていても、浮かない様にしても丸ッ刃になってしまう事があります。

 

それはどういう時か? ・・について、お伝えしようと思います。

 

お分かりになりますか?

 

それは、砥石が丸い時です。

 

 

 

 

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未来へ、基礎いっぱい。 <包丁の研ぎ方Ⅰ>

先日、お客様との会話の中での疑問が印象的でした。

 

それは「包丁をどこまで研いだら良いのか分からない」、と言う事。

 

まず包丁を研ぐ際の行程を、大まかに言うと研ぎしろの部分に砥石を当てて、刃先にカエリが出てきたら、カエリを取り去って終了です。

 

行程で言えば、これだけの事なので、まずピタっと研ぎしろの部分が砥石に当たるようにします。

 

研ぎしろとは和包丁で言うと刃先に向かって数センチ幅で斜めになっている部分。

 

分かりづらいですね。

 

画像に斜線を入れてみました。

 

 

 

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気持ちと身体で準備中 <包丁を使う時>

武内が包丁を使う時に、若い者にうるさく言う事。

 

それは右手を包丁から離さないと言う事です。

 

これは、もう意識とか、知識以前の習慣、無意識レベルで習得して貰いたい事ですが、

 

逆にうるさく言わないけど、重要な事が<力を抜く>事です。

 

リラックスして、ぼやっと素材を見ながら大きく包丁を使い、一気に切り進める。

 

魚を卸す時などは、慣れない時期にはゆっくりで良いですが、包丁を骨の上で滑らせながら無理な力を入れずに正確に、そして自然に包丁を使う事。

 

 

 

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鱧の骨切り物語 <包丁を使う感覚>

魚の中には、季節的には全然早いけど、敢えて早めに始める素材があります。

 

その代表格とも言えるのが「鱧(はも)」です。

 

なんせ前年の秋から、鱧には触りませんから、少し勘を取り戻すのが

必要なのです。

 

30年、ウナギを割いている職人が1日休むと、勘が狂う・・なんて言ってましたから、和食の季節ごとの仕事には、こういうリハビリ期間も必要な事かもしれません。

 

 

さて、鱧と言えば骨切りですが、この時に1番、大切な事が包丁を使う感覚です。

 

 

 

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面で造る <和包丁の使い方>

力を抜いて滑らせる様に、包丁を使う。

 

こんなフレーズが武内の説明には、頻繁に出てきます。

 

実際、武内と一緒に仕事をして、こう言う感じで使う…って言うのを肌で感じると、理解も早いんですが、なかなか言葉だけの説明では伝わらない事も多いかと思います。

 

それでも、また書くわけなんですが、もし、ご興味がありましたら、坐唯杏の店内で実演させて頂きます。

 

 

さて、和食の包丁使いの基本となるのは、刃の面の所です。

 

右利きの人間なら包丁を持つと、刃の右側が斜めになっていてここが研ぎしろとなります。

 

 

方や、左側は真っ直ぐの平らな面で、殆ど砥石は当てません…、と言うのは半分は本当で、半分はウソです。

 

研ぎしろをしっかり研いで、裏側にカエリが出てきた所を裏研ぎするわけですが、この真っ直ぐな面を包丁を使う時には基準にします。

 

片側だけを研いで、刃を付ける片刃の包丁は全て、そういう使い方が基本です。

 

 

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オトナの少年シェフへ <和包丁のお話>

和食の包丁は片刃と呼ばれる、刃の付け方をしています。

 

この片刃と言うのが、より鋭角に研げるので、和包丁の切れ味が鋭いと言う理由です。

 

片側から、研ぎしろを崩さないように、慎重に研ぎまして刃の先にカエリが出てきたら、裏研ぎをして刃を付ける。

 

書いてしまうと簡単な事なんですが、実際に研いで見ると、これがなかなか至難の業です。

 

それでも、何回も研いでいるうちには、上手になってきます。

 

だから、最初は柔らかい鋼の、研いだらすぐに刃がつく包丁の方が使いやすいです。

 

 

 

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賢い1本目 <包丁のお話>

先日、もう何年振りだったか・・

 

包丁を買いました。

 

と言っても、プロが使うにしては入門編の様なひと振りなんですが、霞(かすみ)の青鋼と言う、少しだけ良い鋼の物です。

 

霞の鋼と言うと、包丁の中では本焼きの下に位置付けされますから

どちらかと言うと、安っぽく見られがちです。

 

焼入れした鋼の部分に、焼入れしていない鉄を合わせて2枚の金属で仕上げます。

 

1枚に合わせた2枚の金属ですから、刃の部分に刃紋と言われる模様が浮き出ています。 

 

日本刀なんかで、刃の部分に波を打った模様がありますが、あれですね。

 

本焼きには、基本的に刃紋はありません。 

 

刃全体が鋼なので、紋になる合わせが無いからですね。

 

さて、霞と言う分類にも白鋼と青鋼がありまして、白鋼は柔らかく欠けやすい。

 

つまりすぐに砥げるけど、刃が落ちるのも早い。

 

そんな鋼であります。

 

 

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日課は未来進行形 <包丁の手入れ>

包丁の手入れと言うと、堅苦しく考えがちですが、何も構える事では

ありません。

 

と言うのは、毎日のケア、たったそれだけの事だからです。

 

坐唯杏・開店以来、数々の若い者に毎日の手入れが、大事だと説いてきましたが、身に付いた者は、ごく僅かでした。 

 

プロの料理人の中でも、毎日、包丁を磨く者がどれだけいるかと言うと、1割にも満たないのでは、なんて言う気もします。 

 

まぁ、それだけ毎日の日課にする仕事と言うものは、続けるのが難しい事なのかもしれません。

 

 

 

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覚悟と工夫で切る・切る・切る <御節の包丁仕事>

御節重詰の仕事をするにあたって、包丁の仕事は大変重要なウェイトを占める仕事です。

 

例えば紅白の蒲鉾、市松の蒲鉾などは同じ幅、真っ直ぐに切り付けないと全く一体感が生まれません。

 

店の中では、最も経験があり技術の優れた者が担当しないと、いざ詰めると言う時になって、泣く事になります。

 

そこそこの技術がある者が切れば、さほど難しくないと感じる方が多い事と思います。

 

とは言え、シンプルな切り付け仕事の方が、その差は歴然です。

 

駆け出しの若い者に、蒲鉾などは絶対に切らせてくれないのが和食の世界です。

 

 

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包丁の質・鋼のお話

和包丁の鋼の種類には、何種類かあります。

 

しかも、最近は合金系の鋼が何種類も出てきたので、カタカナ系の名前まで含めると、実は武内も全てを把握していないほど。

 

しかもカタカナ系の鋼の特性まで・・を言ったら、全然知識がないに等しいかもしれません。

 

ですが、ステンレス系の錆びない鋼。

 

質は格段に上がりました。

 

我々が若い頃には、ステンレスがこれからの主流だとばかりに、包丁屋にも薦められたのですが、当時の使い勝手を言うとあまり良いとは言えませんでした。

 

 

 

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包丁の使い方・柄の位置編

前回は、主に包丁を持ったときの立ち方やまな板に対しての角度、腕の角度をお伝えしました。

 

そして軽く、包丁の握り方をお伝えしましたが、料理研究家の方は指三本で軽く握ると言う握り方を推奨しておられましたが、実際のところは・・

 

切る素材や切り方によって、握り方は変わります。

 

指三本で軽く握る・・と言うのは野菜の切り付けをする上では間違いではありませんがこの握り方で、たとえば鯛の兜を割る・・なんて言う仕事・・・つまり硬い素材を力を入れて切るのは無理です。

 

「くそ握り」・・・は、言葉が悪いですが五本の指でがっちりと握って、弧を描く様にまな板に包丁の元を、まな板にぶち当てるのを終点に、刃先から全体を使って骨の中を滑らせる様に割っていくのが正解です。

 

全然、理解できないと思いますが、おそらくプロの人間で、、包丁使いに手慣れた者方なら、これで理解できます。

 

そして前回の握り方、刃を親指と人差し指の第二関節で挟んで持つ・・と言うのも、和食の薄刃を使う事が多い人間なら、感覚的に理解している事です。

 

そして、この握り方を書いている時に思い出したのは、握り方に加えて握る位置も大切だと言う事です。

 

 

 

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包丁の使い方・立ち位置編

包丁を持つ姿勢、まな板と包丁の角度、人とまな板の角度。

 

理想的な角度で仕事をするのが、疲れず綺麗に早く仕事をする第一歩です。

 

正しい姿勢が自然に出来るようになるのが、我々の修行時代でも最初の関門だったかもしれません。

 

とは言え、我々の若い頃は姿勢について云々、細かい所まで指摘してくれる先輩や親方は、ほぼ皆無。

 

先輩が立つ姿を真似して、親方の包丁の使い方に憧れて、仕事を

覚えてきた記憶しかありません。

 

これが理論的に後輩や若い者を教えられない言い訳です。(笑

 

 

 

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包丁の使い方・大前提三点

包丁の使い方を教える時の大前提は、

 

・元から先まで大きく包丁を使う事。

 

・力を抜いて、軽いタッチで使う事。

 

・刃を前後に動かす滑らせる動作が大事。

 

と何度も伝える様にしています。

 

一つ目の元から先まで・・・と言うのは、簡単に理解できると思いますが、二つ目の軽いタッチと言うのは、なかなか頭にすっと入らないようで、

 

手本を見せて、真似してごらんと言っても上手に体現できない人間が多いです。

 

 

 

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包丁仕事・・・初歩の初歩

何度も・何度もお伝えしてきた事なので、「またか・・・」の、感想をお持ちの方も多い事でしょうが、

 

それでも敢えて、お伝えしましょう。

 

それほど、この習慣は大切な事!

 

そして、その割には多くの料理人が頭では分かっていても、ついつい、疎かにしがちな事だからです。

 

包丁の仕事を、教える時に必ず最初に言う事。

 

それは・・・「右手で素材を触らない事」。

 

数年前、テレビの小学生料理王になったコゴマちゃんに

甘鯛の卸し方を教えた事がありました。

 

 

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包丁の長さ

ある日の料理教室で、参加者中で唯一の男性の方から出たご質問がありました。

 

それは「包丁の長さ」です。

 

 ご家庭でお刺身を作る時、その他魚の料理を作られるときに使う包丁の長さは、どの程度のものを選ぶと良いでしょう?

 

このご質問に、まずはプロとしての意見をお伝えしました。

 

プロとして、1番使いやすいサイズで言うと刺身を作るときなら、「尺」というサイズがもっとも適していると思います。

 

 

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