鮎の料理に百珍有れど・・・

良くお伝えする名言、

 

「鮎の料理に百珍あれど、塩焼きをもって最高とする」

 

さんざん、鮎の料理を食べたけど、やはり鮎と言う魚は塩焼きが旨い・・・と言う、含蓄のある言葉です・・・が。

 

こんな言葉を、ただただ広めてしまった武内にも責任があるかも

しれませんが、 

 

「お前ら、絶対に鮎の百珍なんか、知らないだろ」・・・なんて言う職人や、飲食店の広報、ホール担当者が、ただ上っ面の言葉だけを捉えて、この言葉を口にするのをよく見かけます。

 

例えば、向付にする鮎の刺身系の料理だけでも、

 

背越しに始まり、

 

・酢味噌の鱠 ・糸作り ・蓼和え ・真砂造り ・ウルカ和え ・酢橘〆 ・香母酢〆 ・木の芽造り ・昆布締め ・海苔和え ・穂紫蘇和え ・白酢和え ・利休和え ・洗い ・糸洗い ・卯の花寿司 ・山吹造り ・砧巻き ・生チリ ・焼霜造り ・千草巻き ・翁造り ・生姜〆 ・天城和え ・酢洗い ・湯引き ・・・ 

 

などなど、さらっと思いつくだけでも、2030は出てきます。 

 

 

 

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脱力のスゴ技 <鱧の骨切り>

6月1日より、鱧を始めます。

 

おそらく今年も、たくさんの鱧を扱うことでしょう。

 

我々のような酒亭としては、また単なる居酒屋としても、毎年・・段違いな数をこなしていると思います。

 

1日の客数が100名から上の修行時代と、大して変わらない量を坐唯杏では扱っていますから。

 

東京で鱧と言えば、坐唯杏。

 

気軽な価格で、本物を味わう店としては、そんなイメージが定着したのでは・・・なんて、おこがましい事も考えていますが、鱧と言う魚は、本当に難しい魚であります。

 

もう何年も前に、これだけの仕上がりを見せれば、相当な所だろう、などと思い上がった事を考えていた時期もあります。

 

 

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集中すべき事 <職人の仕事>

人間でなければ、出来無い仕事と言うと、やはり素材との会話、これに尽きるかなと思います。

 

例えば、少し鮮度が落ちていて、身が緩くなっている魚なんかだと、いつもの一定量の調味料で煮物に仕上げると、身が崩れて盛り付け出来ない事があります。

 

炊く前に、素材を見極め、酒の量を減らし、味醂の量を増やすとこう言う身の緩い魚でも、身が崩れる事無く仕上げられます。

 

それも、長い経験でどう言う魚の状態が、どういう仕上がりになるかを判断出来なければ調整は出来ません。

 

他には、やはり刺身で身の弾力が強い、その日の活け締めでしたら、薄く薄く造ります。

 

よく、若い者に1人前の刺身は何切れ?と訊かれますが、基本では7貫ですが・・・実は決めていません。

 

 

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完成図から設計図 <料理の感性>

たくさんの人間と関わって来た中で、やはり、こいつは感性が良いなぁ、って言うヤツがいます。

 

また逆も、たくさんいます。

 

そう言う武内も、センスと言う部分では、全く自信がないです。

 

本当にセンスの良いヤツっていうのも確かにいまして、刺身で椿やバラの花を作る仕事があるんですが、何気なく巻いて作っただけなのに、びしっと決まってる。

 

昔、剥き物・・サツマイモで亀や鳥を彫る仕事を習った時には絵心のない奴には教えても無駄だと、キッパリ言い放たれました。

 

確かに、武内が亀を彫ると、違う生き物になってしまいます (笑

 

でも、全く才能がないかと言うと、違う部分では他の人間には負けない部分もあったので、一長一短、何かしら取り柄と言うものもあるものです。

 

 

 

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高等技術 <竹細工>

「竹細工」などと言うと、竹で作った笛や、竹とんぼなどを思い浮かべられると思いますが、そんなたいそうな物でもありません。

 

ですが、土佐流・活け造りを習った際には、竹細工の仕事かと思うぐらい、専用の竹串や、竹ひごの様な小物を作って、土台となる頭付の中骨に化粧を施しました。

 

魚の頭を左に向けて、腹を手前に置いたときに上になる方の身は、中骨に穴の開かないように、腹骨の上をきれいなカーブになるように卸し、裏側の身は、腹側の骨まで身の方につけて無駄のない様に卸します。

 

その中骨を鰓と内臓を掃除して、腹の中まできっちりと水洗いしてから竹細工の出番です。

 

 

 

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伝言の連鎖 <必殺技>

「必殺技」なんて、ふざけたタイトルで、申し訳ありません。

 

内容は至って、真面目です。 

 

武内が若い頃、師匠から言われ続けた言葉に、 

 

「誰にも負けない事を、ひとつ身につけろ」 

 

・・・と言う言葉が有りました。 

 

それは、魚の仕事でも、煮物の仕事でも、もっと限定して何か季節的な一品でも良くて、この仕事をやらせたら、誰にも負けない、そんな仕事を一つ作れ、と言う事でありました。

 

 

若い頃は、それこそ、包丁の仕事に燃えていましたから、自分の生きる道は、包丁を扱わせたら1番になること、そう決めていました。

  

特にスピードに関しては、同世代の人間が多くいたので、良い環境で切磋琢磨できたことは非常に幸運でした。

  

しかし、厨房の中でのポジション換えで煮物の仕事に回されて一気に興味は煮物へと移りました。

 

 与えられた環境を楽しんでしまうのは、昔からだった様で、よりピュアな旨味の料理、段取り良く、クールに仕事をこなす先輩の仕事には大いに刺激を頂いて、煮物の仕事に没頭しました。 

 

 

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和食の職人仕事 <山葵論争>

ふたり連れのお客様が、いらっしゃいました。

 

刺身の盛合せをご注文になり、お席に運ばれてくると付けてあった山葵を片方のお客様が全て、醤油に溶いてしまわれました。

 

残ったお客様の分を、追加でご注文になっています。

 

運ばれてきた山葵を、片方のお客様に渡すと大量の山葵が溶かれた醤油に刺身をどっぷりと漬けて召し上がっていました。

 

ここで論争が起きました。

 

刺身についている山葵は、切り身の上に載せて食べる。

 

醤油に溶いて食べない事を、片方のお客様が主張しています。

 

 

 

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料理人 <シフト引継ぎのコツ>

シフト制の職場には、長い事・・働いていたので、勤務のコツみたいなものはある程度は、掴んでいます。

 

大体、基本線では同じ仕事をする仲間ですから、大方の仕事は予測がつくとしても細かな運び方、素材の仕舞の付け方や、残し方には差があります。

 

その差を埋めつつ、意図した使い方や残し方をしてもらうには、素材で会話する事です。

 

日持ちのする物、残したいものをすぐに使えない状態で置いて、最初に使って欲しい物ドンドンはかして欲しい物を、あからさまに先使いの状態にして誘導する。

 

 

 

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全然気にしません <かき揚げの仕事>

今回のコースで、1番のネックになった一品。

 

それが「かき揚げ」です。

 

立ち食い蕎麦や、多くの飲食店で「かき揚げ」を目にする機会は多いと思います。

 

でも、我々・・職人の間では実は高等な技術を要する、難易度の高い仕事です。

 

認識としては、一般の方とは大きく異なる事かと思いますが、かき揚げを綺麗に揚げられたら、天ぷらの職人としての第一関門はクリアーかもしれません。

 

そういう自分は、天ぷらの職人をしていた経験はないのですが、子供の頃から実はカウンターの天ぷら屋には、よく連れて行かれました。

 

お好みの天ぷらを注文して、揚げたてを楽しむ、あのスタイルに感動しました。

 

子供の頃の大きな楽しみのひとつとして、記憶に強く残っています。

 

その、体験から和食の世界に入っても天ぷらと言う仕事には興味があり、様々な人の文献にも目を通して、学んできたつもりですし、何軒かの有名なお店の天ぷらも味わいました。

 

 

 

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感謝の選択 <基本の仕事>

我々の仕事には厳しいお約束が、多々あります。

 

日本料理と言う伝統的な仕事に就いたのですから、その伝統を受け継ぐことに誇りを感じますし、生き甲斐や、使命感を強く感じます。

 

ですが、日本料理の仕事で仕上げる一品と、他の職種の仕事で同じ一品を仕立てる場合があります。

 

例えば刺身ひとつとっても、日本料理の基本と、魚屋さんの仕事では全く違う原則の上に成り立っていて、さらには漁師さんが造る刺身も、また違います。

 

料理屋とひと口で言っても、正式な日本料理の手法で刺身を造る店は、全体から見れば希少な存在と言えるのです。

 

そして、本人は日本料理と言う認識で仕事をしていても、きちんと基礎から学んだ者からすれば、それは全く受け入れがたい仕事をしている場合も少なくありません。

 

 

 

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どうぞヨロシク <マグロの奉書巻>

地中海産の本マグロを仕入れました。

 

今回のマグロは、実は大きなブロックではなくサクを取った後の端を集めたものです。

 

だからしっかりとしたサクにはならず、綺麗な形の切り身は造れません。

 

そう言う時の仕事として、錦紙玉子で巻いたり、海苔で巻いたりする仕事があります。

 

磯部巻、錦紙巻・・・ですが、奉書巻は文字通り巻紙の奉書に見立てた物です。

 

だから白い和紙に見えなくてはいけません。

 

色々な素材で、奉書巻を仕立てる事がありますが、最もオーソドックスなのが大根です。

 

大根を桂に剥いて、マグロを巻き切り身に造る。

 

 

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サワラぬ神に・・・ <身割れのお話>

さて、本日の話題は「身割れ」と言うことですが、魚を扱う上で最低限、気をつけなくてはいけないのが、この身割れです。

 

骨が入っている・・と言うのは論外として、案外・・この身割れに無頓着な職人もいて、その価値観の共有には苦労もあります。

 

身の割れた魚は、これはもう、大変な苦労をしますし、商品としても使い物にならない時もあり、大変な損失となります。

 

身の割れやすい魚といえば、野締めの鯛や鰆、きつね(ハガツオ)なんかも、相当に手ごわい魚です。 

 

特に、鰆は上手に卸さないと、それはもうスダレの様になって、到底切り身になりません。

 

その手ごわさを、表した厨房の言葉に「鰆ぬ神に祟りなし」と言うのもあります。

 

 

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仕事は細部で出来ている <大葉の掃除>

「大葉の掃除」・・・と言うと、我々が刺身やカツオのたたきで使う

青紫蘇の葉の掃除方法です。

 

掃除と言うと違和感があるかもしれませんが、我々の世界では不要な部分を切り取り、すぐに使える状態にする事を「掃除」と言います。

 

つまりは、青紫蘇の茎の部分を切り落とし、更には使いやすい様に脇に出た部分を揃えて、見栄えの良い綺麗な形に整形する事です。

 

加えて、茎の部分を切り落とし、葉の部分だけで切り口がピタッと揃えてあれば後々の仕事が、格段にスピードアップします。

 

我々の修行時代は、常に100人前を、いかに早く、いかに美しく盛り付けるかを徹底してやってきました。

 

 

 

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駆け引きをヒモ解く <クエ仕入れのノウハウ>

ひところに比べて、ずいぶんと値段が下がったクエですが、それでもまだまだ高価な素材、高級食材と言う分類からは、決して外れない魚です。

 

築地の仲買も、わざわざ危険を冒してまで無理して仕入れる魚ではありませんが、仲買の大元から、押し付けられることがあります。

 

大体の場合は、押し付けられた魚は相場よりも安め、お得な価格で取引される事が多いのですが、クエのような高級食材だと、限りがあります。 

 

とは言え、仲買も押し付けられた品を引き受けないと、欲しい魚が優先的に回してもらえないことも考えられるので、交換条件のような形で引き受けます。

 

さて、その仕入れたクエですが高価な価格で仕入れましたから、なるべくなら高く売りたいと言うのは商売の上では、当たり前の事です。

 

そう言う時には、決して場内の店先に並べる様な事はしません。

 

得意先に口頭でオススメするわけです。

 

店先に並べると、売れ残りを専門に引き取る魚屋や、拾い買いする料理屋に買い叩かれる事があるからです。

 

 

 

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選択肢、拡大しましょ <昆布締めの仕事>

土佐・室戸より直送の魚を使い始めて、樂旬堂・坐唯杏の料理が激変しました。

 

丁度良い市場の規模で調達の幅が、坐唯杏の規模にもマッチしていたのが、ここまでお取引が増えた大きな理由です。

 

さて、その中でも、やはりこの魚・・「ヤガラ」は抜群に人気が出ました。

 

そのままの刺身でお召し上がり頂いているのですが、多くの料理人は刺身にするなら、昆布締めに仕立てる事が多いでしょう。 

 

ヤガラに限らず、昆布締めの方が身質に合う、そう言う魚は多々あります。

 

その特徴としては、身質がやや緩い。

 

食感を高めると言う意味で、昆布締めと言う手法を使うのが目的です。

 

 

 

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簡単・確実 <手書きインプット勉強法>

先日より、自らの事を才能が無いと認識して、その上で出来る努力についてお伝えしましたが、反論を頂戴しました。

 

「才能が無いとして諦め、その事を言い訳に使うのは卑怯極まりない」

 

確かに、言葉足らずだったかもしれません。

 

才能云々は、置いておいてまずできる事、武内がしてきた事について、お伝えしましょう。

 

「簡単かつ確実な勉強法」です。

 

 

 

 

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非凡な平凡 <素材との対話>

「素材との対話」と簡単に言いますが、多くの経験や約束事の多い和食の世界で素材を見て、何に仕立てるかを決めて、その仕立て方も無限にある中でひとつの料理を完成させることは、そうそう簡単な事ではありません。

 

以前、ホリエモンさんが何年もかけて修行をする人間はバカだ・・だったか、 (原文のままかは自信が無いですが、こんな意味で受け取りました) 仰っていた事がありましたが、本気で基礎から料理の道を極めようとすれば自ずと、何年もかけた一生を費やす勉強だと言う事は武内の認識です。

 

ですが、世の中には「天才」と呼ばれる人種がいます。

 

武内も修行時代に、そう言う人種と仕事をする機会がありました。

 

左利きの人間が、右手で包丁を使って武内よりも速く正確に切付を進めていくのを目の当たりにして、完全に自信を喪失した事もあります。

 

 

 

 

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漆黒の艶・クライマックス <お多福豆>

お多福豆は、大きな蚕豆・・<一寸蚕豆>と言う豆をじっくりと時間を

掛けて炊きます。

 

この大きな豆は、その昔は日本でも栽培されていましたが、今では・・ほぼ、輸入物に頼っている状況です。

 

世界各国での蚕豆の生産量がダントツに多いのは、やはり中国なのですが上質な豆を探すとヨーロッパ産が優れています。

 

我々が使う豆もポルトガル産の一寸蚕豆を使用します。

 

この豆、実は非常に炊くのが難しい豆です。

 

築地市場の豆屋さん、塩田さんのご主人によれば、お多福豆を炊くのにこの一寸蚕豆を仕入れていくのは都内では3軒の店しかないとの事。

 

 

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技術職の心構え

厨房の世界の仕事と言えば、もう何度もお伝えしていますが、どんなに勉強したとしても、知ってる事よりも知らないことの方が多い世界です。

 

つまりは、どんなに極めたと思っても上には上が必ずいる。

 

頂上を極めた途端に、新たな頂上が現れる。

 

そんな無限の空間を、いかに自分の行きたい所へ行くかを楽しむのが、調理と言う技術職です。

 

 

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中骨のお話

武内がアップしているyoutubeの動画に、どっかの職人の端くれなのかな、アラを大きく落とすのが、もったいないとか、その部分で刺身が1人前、造れるとか・・

 

まぁ、素人に近いというか、経営的な考えが無いと言うか、

 

非常に対応に困ります。

 

まぁ、仕方ないので無視する事にしていますが、匿名での書き込みで批判的な事だけを書いてくる人間は、それだけの人間でしかありません。

 

ネットの世界を、いまだに便所の落書きのように使う輩の多いのは、

悲しい事です。

 

 

 

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美味しい刺身とは

良い刺身とは何か。

 

もちろん、美味しい刺身ですが、その上、さらに要素があります。

 

刺身の技術とは、美味しい切り身を造る技術です。

 

その為に、目利きを勉強し、素材との対話の中から、その素材に最も適した1番良い切り身を切り付ける技術、

 

それが刺身の技術です。

 

もちろん、美味しい・・の中には「美しい」と言う要素も大きな割合で

含まれる条件です。

 

刺身の造り方の中には、美しさと同時に手際の良さや速さ、仕上がりまでのスピードに特化したやり方もあります。

 

 

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「小川〆」と言う仕事

「小川」と名の付く仕事は、和食の世界には数多くあります。

 

語源としては、近くの小川に散歩に行く程度の時間で仕上がる、短時間で出来る仕事と言う意味です。

 

大抵の場合は、酢で締める仕事に使われる事が多いのですが、素材をミンチ状にして塩と酢で締める手法が主に小川締めと呼ばれます。

 

例えば、イカや赤貝などを刺身用に掃除して、包丁で叩いてしまいます。

 

裏技と言うか、本音を書くと綺麗な刺身にならない部分、イカなら耳や刺身の端切れを使い、赤貝なら紐や、切目を入れ損ねた身などを

叩いてしまいます。

 

 

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チリ酢のお話

チリ酢、聞きなれない言葉かも知れませんが、土佐料理のたたきに

掛ける、ポン酢醤油の土佐流の呼び名です。

 

チリと言うと、ちり鍋などで、聞く機会もあるかと思いますが、火を通したものを酢で食べる様な料理をチリと呼びます。

 

だから、ポン酢で食べる薄造りなどのお刺身を「生チリ」と呼んだりも

します。

 

高知の亀泉の蔵元さんが、時たま・・ぶらっと立ち寄って下さって、鰹のたたきとお酒を召し上がりながら、色々とお話させて頂きます。

 

坐唯杏としては、取り扱いのない銘柄にも関わらず、土佐料理

出身の武内とは懇意にさせて頂いてるわけなんですが、

 

そう言う時に、土佐の人が良く使う言葉を聴く機会があります。 

 

「酢が効いちゃぁせん」 

 

土佐の人は、酸っぱい料理が好きな人が多いです。 

 

冷奴にも、チリ酢をかけて召し上がるし、;焼物、蒸し物、炒め物など

それこそ生活の中で自然に、しかも頻繁に使われます。 

 

そして土佐の人が、この言葉を発する時に酢と表現するのは、殆どの場合、柚子の絞り汁の事です。 

 

 

 

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精進の寿司

樂旬堂・坐唯杏でも、今まで精進寿司は数多く、仕立ててきました。

 

代表的な物は「蒟蒻(こんにゃく)寿司」「春菜(しゅんさい)寿司」です。

 

蒟蒻寿司は、今までにも何回もご紹介してきましたが、以下のページに詳しいので、ぜひ!お時間がありましたらご覧ください。

 

蒟蒻寿司

 

そして春菜寿司は、春の山菜を使ったチラシ寿司です。

 

筍や蕨(わらび)、ぜんまいや独活(うど)などを下味をつけて、酢蓮や椎茸の甘煮を添えて形や色の変化をつけつつ、錦糸玉子と盛り付けます。

 

 

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素材ごとの出汁

上等な昆布を使い、本枯れの鰹節をかき立てで使った1番出汁、

たしかに圧倒的な美しさを感じる、最高級の仕事です。

 

とは言え、その最高級に匹敵する味わいを持つ素材も、和食の

仕事には、あまたあります。

 

例えば、今の時季・・天然物の桜鯛の中骨やアラに塩を当てて

2~3時間寝かしてから仕立てる潮出汁。

 

夏場の暑い盛りに、鱧の骨を炙り、そこから引いた鱧出汁。

 

鮎や北寄貝を焼いて干した後、じっくりと煮出した味わいの汁はひと口吸えば忽然となるほどの、高いレベルの味わいです。

 

鰹節、昆布の完成度は高い、この事実には何の疑問もありませんが、素材によって、適した方法で正しい仕立て方をすれば、高いレベルの味わいが、実現する。

 

我々、プロの中でも忘れている者がいるかもしれませんが、ご家庭でのお惣菜の仕事にこそ、生かして頂きたい手法です。

 

鮮度の良い魚のアラを、塩を当ててしばらく置き、水からゆっくりと

煮出して、淡口醤油で味わいを調えれば、それだけで・・・

 

かなりの美味を堪能できます。

 

 

 

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鍋仕事の原点=原点の鍋

独り暮らしをはじめた当時、揃えた調理器具といえば土鍋ひとつと

中華鍋ひとつでした。

 

殆どの料理は、この中華鍋で調理しました。

 

高校時代に中華料理屋でアルバイトしていた事もあり、自分で作れる料理と言えば、炒め物や旨煮系の中華料理しかありませんでした。

 

得意だったのは麻婆豆腐。

 

この一品だけは、何度も何度も作ったので手の込んだものから簡単なものまでレパートリーをいくつも持っていましたが、後は・・・

 

雑炊ぐらいのものです。

 

 

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味噌仕立ての澄まし汁~鯖の味噌煮

鯖の味噌煮を仕立てる時は、薄めの味噌出汁で長時間煮込んで、

最後に味噌の風味を生かすために、追加の味噌を溶き入れ味を

調えます。

 

この手順を知っておかないと、これからのお話は理解できません。

 

つまりは、長時間煮込んでしまうために、最初に溶いた味噌の風味は飛んでしまいます。

 

だから、味噌の成分さえ残っていれば、大方のバランスは取れる。

 

この時の出汁に、澄まし汁を仕立てた後の出汁を利用するのです。

 

味噌汁なのに澄まし汁?

 

 

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【古典料理】 鶏の燻製焼

鶏の燻製焼きと言う一品ですが、これが実に可愛いウソに思えてなりません。

 

古い献立ですから、当時の職人の方たちは極めて本気で、この名を

使っていたと思われますが、現在の常識から考えたら失笑の範疇かもしれません。

 

「燻製」の名を使っておいて、全く燻製とは関係のないレシピです。

 

ウスターソースと醤油の合わせダレに漬け込んだ鶏肉を、このタレを

掛けながら焼いた物です。

 

ウスターソースの風味が、あたかも燻製の様だ・・と言う意味らしいですが、もう既に多くの方がご存知の様に燻煙にかけた料理とは、全く風味が違います。

 

 

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満足飯

このご飯・・・

活きの良い安い魚が手に入った時、沢山造って楽しむ事を辻翁が薦めておられます。

 

実にシンプルで、読んだだけで旨そうと感じるのは、武内が人生最後の晩餐には、卵掛けご飯を選ぶぐらいの卵ご飯ファンだからかもしれません。

 

白身の魚、鯛や平目、鰈など・・なら、細い糸造りにします。

 

背の青い魚、鯵や鯖などは大きめの角造りにします。

 

濃口醤油:6、たまり醤油:2、味醂:2の漬け汁に煎り立て、粗摺りの黒胡麻を加え、白身魚なら1時間、青魚なら2時間ほど漬け込み、

 

 

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「火へん」の漢字

「火偏の漢字」

 

当通信でも、しばしば煮物の作り方の中で「炊く」と言う言葉を使いますが、一般の方には少し違和感があるかもしれません。

 

炊く・・と言うと飯を炊くと言う場合に限られた言い回しが一般的です。

 

ですが漢字の成り立ちから追いかけていくと「炊く」の本当の意味では、もちろん、飯を炊くと言う意味も含まれていますが、火を用いて料理をする事と懐石傳書の中では説明されています。

 

煮ると言う漢字も、全ての煮物に使われるのが一般的ですが、この「にる」と読む漢字だけで4種類、紹介されていまして、

 

 

煮る、烹る、煎る、熟る・・・と言うのが、その煮方によって区別されています。

 

煮る・・は、一般に使う言葉ですが、本来の意味は調味をせずに、ただにえたす事と言う説明です。

 

烹る・・は、調味をしてにる事。

 

煎る・・は、汁の乾くまでにつめる。

 

熟る・・は、十分ににる事。

 

 

 

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栄螺(サザエ)の刺身の造り方

貝の刺身は、どんな場合でも生きている物を使います。

 

回転寿司の店が使う、冷凍のホッキ貝なども刺身用として、売られていますが、加工する時はもちろん生きている状態での加工です。

 

刺身用にきちんと掃除して、並べて瞬間冷凍する。

 

加工技術は、日に日に進んでいますから、昔に比べたら大変な進歩で良い状態を保っているのは、ご存知の事と思います。

 

とは言え、やはり生きている物を、その場で刺身に造るのとでは、

味わいは段違いでして、

 

その場、その場の瞬間の仕事として、料理人の腕が試される仕事です。

 

 

 

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速い包丁使いのコツ

先日、包丁の仕事を記事でお伝えしました。

 

その際に、胡瓜一切れ、漬物を一切れ切れば・・・その職人の過去に経験した仕事が分かる。

 

その人の職人人生が垣間見えるとお伝えしました。

 

それは大げさだろう、流石に胡瓜一切れで職人の腕が見抜けて堪るか!・・・みたいな、ご意見もメッセージで頂きました。

 

ハイ、少し大げさではありましたが、決して全てが過大な表現でも

ありません。

 

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「膾(なます)」のお話

「膾」と言うと、多くの人は御節料理、正月に出てくる大根と人参の紅白膾を思い浮かべる事と思います。

 

ですが、膾とはそんな画一的な単純な料理名ではありません。

 

我々が得意とする土佐たたき以外にも、鯵のたたき・鰯のたたきと「たたき」と呼ばれる料理がありますが、出刃包丁で細かく叩いた、あの「たたき」も正式な名前は「沖膾」と言いまして、現在の日本料理界にも、実は根強く残る料理法です。

 

本来、膾とは「生」と「醋(酢)」が合わさって出来た言葉で日本料理の中では、最も古い料理法のひとつです。

 

醸造酢においては、酒の醸造とともに発達したと言われてますが果実酢・柑橘酢においては歴史は更に遡る事ができます。

 

 

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海鮮丼のお話

樂旬堂・坐唯杏の提供する「海鮮丼」は、さほど素人さんにはウケません。

 

・・と言うのは、刺身の種類が1種類で、色々な魚の味わいを楽しむと言うメニューではないし、その彩りも実に地味だと思います。

 

この根源にあるのが、冒頭にあった、素人ウケする品を提供したいか、それとも・・・と言う部分です。

 

本当に美味しい切り身を、適切な大きさ・厚さで適量ご飯に載せて提供する事を、1番のお約束として海鮮丼を仕立てています。

 

色々な店で、海鮮丼は提供されています。

 

中には丼からはみ出すほどの大きさの切り身を、これでもか!と乗せた品を提供する店もあります。

 

でも、刺身の旨さと言うのは、素材の種類や状態から丁度よい切り身を造り出す技術です。

 

 

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フォームのお話

最近は週に一度のテニスも、ようやく自分の打ちたい球が打てる時も

出てきました。

 

ブランクを経て、上級に所属していたものの、初級のコースから入りなおして、1年弱ほど経ちましたが何とか・・

 

上級のコースに移る許可も出ました。

 

武内がテニスをするときに、まず1番に考える事はボールを捉えて打ち返す際の型です。

 

スポーツで早く上達したければ、型をきちんと決める事。

 

これは鉄則です。

 

これは、調理の仕事・・特に包丁の仕事でも同じです。

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時間の空いた料理人

時間が出来た時、料理人がまず最初に考えるのは掃除です。

 

普段出来なかった所を綺麗にする事。

 

綺麗な職場が美しい仕事、早い仕事を生みます。

 

当然のことながら、いつも綺麗にしておくのが1番ではありますが、毎日の仕事をこなしながら、ひっくり返すような掃除はなかなか手が回りません。

 

これが時間のある時の最優先課題ですが、次に考えるのは普段は出来ない廃材の仕事や、ありふれた食材を使ってひと手間を掛ける事。

 

例えば、普段は捨てている野菜の皮や端屑を使って何か出来ない物か、魚ならば、鱗や鰓、内臓を使っての珍味・肴を考える訳です。

 

こう言う時にこそ、料理人の引き出しの多さが問われます。

 

武内などは、幸いな事に古い親方にも師事しておりましたから、物が無い時期、貧しい時代の料理人の工夫も沢山、教えて頂きました。

 

物が豊かになって、廃材を使う料理など料理人も、一般のお客さんも見向きもしなくなった時代を経て、今・・・

 

また、そんな仕事にも多くの方が興味を感じてくれてます。

 

 

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1本の魚の使い方

日本料理は「水」の料理・・・と、何度となくお伝えしていますが、さらに、観念的な部分で強く感じる事は「感謝」の料理と言えると思います。

 

豊かな自然に囲まれた環境、四季のある季節感、そして作物や自然の恵みに対する深い感謝の気持ちが根底にあり、その表現方法の一つとして日本料理は発展してきた。

 

日本料理は感謝の料理・・と言う事に、異論を唱える人は、我々の世界、業界には、殆どいません。

 

 

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地方市場の可能性

市場は漁船がつけられる港の岸壁にあります。

 

岸壁に舟が着くと、ウィンチで魚の網を移動して大きな篭に魚をあけていきます。

 

網で獲れた魚ですから、その内容は多種多彩。

 

色々な種類の魚が混獲されていて、しかもサイズも多種多様。

 

水揚された魚は、すぐさま魚種やサイズで仕分けされまして、セリ場へと運ばれます。

 

その魚を近くに行って確認すると、武内でさえ、初めて見る魚種・サイズの魚をたくさん発見しました。

 

例えば、真アジなどは一般的に出回っているのは、大きなものでも5~600gの物しか滅多に見る事が出来ませんが、中には1kgを越すサイズもありまして、大きなものだと2kg近いとか。

 

須崎の鮮魚商・丸貴水産さんでは、この鯵の試食用もご用意して下さっていて、1kgオーバーの鯵は初めて見る事が出来ました。

 

その素晴らしい味わいを経験出来たのは貴重な体験です。

 

ただし、この鯵はキログラム当たりの単価も桁が違うお値段です。

 

ですが、その希少性や、価値から言えば妥当です。

 

 

 

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カキ氷のお話

本日のお題は、「かき氷」と言ってもシロップを掛けて食べる奴では

ありません。

 

我々の仕事の中でかき氷と言えば、刺身の盛り込みの時に下に敷く氷の事が殆どです。

 

活け締めのビンビンの白身をかき氷の上に盛り付けると、洗いの様に縮れてきまして、食感が良くなり、甘味も増す。

 

刺身の魚と言うと、腹を開けて水洗いをしたら、トコトン水気を拭き取り、まな板、布巾、包丁にも水気は吸いこんでいるけど、余分な水気がつかない様に、それは厳重に気を遣います。

 

びしょびしょのまな板で、魚を扱ってたら、その時点でアウト。

 

 

 

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料理人へ贈る言葉

旨い料理を造る、実はそう難しい事ではないのかもしれません。

 

本当に一点集中で、瞬発力をフルに発揮して、その一品だけを最高のレベルにする。

 

料理人であれば、誰しも勉強してきた「旨い料理を造る」と言うノウハウを総動員すれば、誰もが上には上があると言う一品を作る事が出来るのではと感じます。

 

ですが、或る店の或る一品、それも評価の高い人気の一品となると

その一品よりも旨いとか、不味いと言うのは次元の低い問題です。

 

武内の若い頃、ある師匠の言葉にその真理を突いた一言があります。

 

「料理人の仕事は経営者を儲けさせる事だ」

 

極端な言葉ですが、この一言が未だに胸に突き刺さっています。

 

 

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蔵書のススメ

専門的な料理の仕立て方など、ふと思いついてネットで検索する時がありますが、出て来る情報は拙い物が非常に多いです。

 

あからさまに、間違った手法を伝えている物もあり、まだまだ日本料理でのネット関連の成熟度には、疑問が残ります。

 

対して、やはり本気で調べ物をする時には、自宅の蔵書を使います。

 

昭和30年代の専門誌や、その年代に準ずる専門書には目から鱗と言う発見も多く、本当に重宝します。

 

器具や、設備の発達と共に失われてきた、昔ながらのレシピを学ぶ事でその調理に於ける本質の部分が理解できます。

 

 

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仕入れ・その両輪

練馬区から池袋への出勤の途中、多くの食材仕入れの車やバイクと遭遇します。

 

と言うのは、要町のあたりに「ビック築地」と言う食材屋さんがありまして、飲食店の方が気軽に仕入れるには丁度良い価格と、豊富な品揃えのスーパーマーケットがあるからです。

 

鮮度もなかなか良いものを置いていますし、その日の相場から安くなった物や、止め物になった物などを独自の判断できちんと仕入れて、総じて、安くて良いものを置いていると言う印象です。

 

樂旬堂・坐唯杏の場合は、こういった食材屋さんから直に仕入れる事は殆どありません。

 

発注の忘れや、急な予定が出来た場合に緊急避難的には利用する事もありますが、築地の仲買いを通して茶屋に集めた食材を配送して貰うシステムです。

 

とは言え、毎日の仕入れにこう言った食材屋で直に目で見て、価格とのバランス感覚を養い、独自の判断基準や、提供する食材のボーダーラインを確認するのは大切な事です。

 

ただし、こう言った食材屋を利用する場合・・・我々の仕入れでも同じなのですが、食材屋のペースに載せられて余りにも価格・価格と追いかけ過ぎになる事が多々あります。

 

 

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メニュー作成のトラップ

或る例があります。

 

とても儲かる食材があります。

 

1円で仕入れて、1000円で売れる素材です。

 

でも、この素材を仕入れるのに歩いてしか行けない場所に

片道3日間、かけて行かなくてはいけません。

 

そして1回に仕入れる最大の量が10人前だとします。

 

この素材でメニューを提供しますか?

 

そう問われれば、間違いなく多くの経営者や料理人は「NO!」と、

言います。

 

 

 

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ミスの予測・・・そのコツ

人に仕事を任せる時や、自分の仕事でも、なんとなく嫌な予感が

する時があります。

 

何人かの仕事の時は、完成形が共有できているか? 

 

その仕事の意図が理解できているか?・・なんて言う、ぼやっとした

イメージで捉える事を一致させるのが難しく、絵や図で説明したり、

例え話を使ったりと、工夫する訳です。

 

 

自分独りの仕事の時は、工程ごとに自分の予測と実際の仕事が

一致しているかに集中します。

 

 

これは経験を重ねるに従って、段々予測の精度が上がってきますから失敗することも、させる事も少なくなってきます。

 

 

ですが、経験を重ねる重ね方にも、コツがある…と言うのが、本日の

お題です。

 

 

全てのシーンを記憶していくのは、普通の人間にはかなり困難ですが、ハイライトのシーンを、局所ごとに記憶していく。

 

 

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隠し包丁

隠し包丁とは見えない所に包丁で切れ目を入れて内部を確認したり

食べやすくする、または内部の邪魔なものを取り去る仕事です。 

 

例えば魚を丸で1匹、焼魚にする時に裏側から包丁を入れて

内蔵を出しますが、 

 

あれが典型的な隠し包丁です。 

 

大昔、昭和30年代頃の、専門誌を見ると、鮎の様なでも内蔵を

抜いて焼魚にしていた記録があります。 

 

今からは考えられない仕事ですが、当時は流通も良くなかったでしょうし、内蔵付きが、そのまま美味に繋がらない事も多かったのでは、

 

 

 

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低温調理

和食の世界での低温調理の考え方は、しっかりと加熱されて雑菌などの心配は無いけれど、たんぱく質が凝固する温度に達していない温度帯で調理する。 

 

つまり生の食感を残し、加熱調理をすることにあります。 

 

白身魚や帆立などの貝類、肉類などに、この手法が使われます。 

 

とは言え、この加熱が中途半端だと、むしろ危険な温度帯で食材を放置する事になり、かえって危険な食べ物になりますからしっかりと勉強して、正しい知識をもって調理する事が肝心です。 

 

そして余談ではありますが、最も基本的な低温調理というと何を思い浮かべますか?

 

 

 

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掃除上手への道

厨房を清潔に保つには、細やかな神経や「清潔」を常に意識する高い意識、清掃まで手が回るように段取りを組み実行する行動力が必要です。 

 

口で言うのはたやすいですが、それでも毎日の仕事を繰り返すうちに手が回らないところが出てきて、徐々に大きな仕事にしてしまうのが常です。 

 

これはご家庭でも同じことでしょうし、飲食店に限らず・・・どんな職場でも起こりうる現象です。 

 

厨房の我々は、それでも気持ちを奮い立たせて、日々の清掃に取り組まねばいけません。 

 

でも、これにも限界があります。

 

 

 

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仕事前の仕事

仕事前の仕事…と言うと、意味が通りませんが

我々の仕事と言うと、ご注文が入ってから注文の品を仕上げて、

ホールに渡し、お客様にお出しする。 

 

その一品を仕上げるところを、いかに早く美しく良い状態でお出しするかが厨房の仕事の全てです。 

 

その為に、冷蔵庫内の管理や、機材や環境の整備をして、

最後の仕上げをするに相応しい工程までを、事前に済ませておく。 

 

日々の勉強や、精神面での鍛錬、チーム内でのコミュニケーション術なども、その為に必要なピースだと思います。 

 

そして、ご注文が入る時には、様々な事態や状況を想定してご注文の調理に集中する段取りを付ける事が、本日のテーマです。 

 

では具体的に何をするかと言えば、とにかくその場になったら考えずに済むシステムを作る事です。

 

 

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急ぎの仕事(食材編)

野菜を仕入れても、魚を仕入れても、まず!最初に何をするかで

その素材の持ち味が変わって来ます。 

 

例えば樂旬堂・坐唯杏の「不味かったら、お酒要りません」と謳う

〆鯖で言えば、出来るだけ早く三枚に卸して、ベタ塩と呼ばれる

強い塩を当てます。 

 

まずはここまで進んでおかないと、アレルギー物質が増えて来たり、

身が緩くなったり、最悪の場合だと分解酵素の多い魚ですから生食に耐えない状況になります。 

 

野菜も、そういう部分では繊細な食材が多いです。

 

菜物でしたら、一刻も早く茹でてしまう、塩漬けにして呼吸を止め

栄養の損失や、水分の発散を止めなくてはいけません。

 

 

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フードプロセッサーのお話

フードプロセッサーなど、いまさら・・・

 

と言う感覚の方も、いらっしゃると思いますが、最初は実に感動しました。 

 

修行時代、力仕事系・時間仕事形は、ほぼ武内が受け持っていた時代がありました。

 

 

その中でも、やはり胡麻豆腐を延々と練る仕事や、豆腐の羽二重漉しをするのは時間も体力も使う仕事でしたが、この機器を使い始めて、恐ろしく時間は短縮し、しかも仕上がりが良くなりました。 

 

豆腐の羽二重漉しは裏漉しの上にガーゼを貼り付けて、水気を

絞った豆腐を10丁ばかり宮島で漉します。

 

 

 

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CAS(セルアライブシステム)

「CAS」は細胞蘇生システムの略でして、瞬時に冷凍する為に

細胞の破壊を抑える画期的な冷凍方法として世界特許にも

なっている冷凍技術です。

 

 

その原理は、微弱な磁気を素材に当てる事で、水の分子を

振動させて、-10℃近くになっても凍らない状態を作ります。

 

 

普通の冷凍庫で、徐々に温度を下げていくと、周囲から温度が

下がり、毛細管運動で水の移動が起こり、水分が初めに凍り

始めますが、

 

CASでは周囲と内部が均一に温度が下がるために水の移動が

起きないうちに凍らせることが出来ると言う物です。

 

 

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まな板のお話

和食の料理人に限らず、使っているまな板を見れば、その職場や

職人の腕前や、感性がほぼ分かります。

 

やはり駆け出しの未熟な者の使うまな板は、メンテナンスが出来て

いませんし、その使い方で腕の良し悪しが露骨に出ます。

 

武内が刺身場を退いて、若い者に任す様になってから、急速に

まな板の状態が悪くなりました。

 

それでも、メンテナンスが習慣になっている者だと、さほど悪くなる

度合いが低いのですが、使い方も悪い・メンテナンスも出来ないと

なると、まな板は悪くなる一方です。

 

まな板の状態が悪いと言うのは、第一に平面でないと言う事です。

 

包丁と真っ直ぐに沿わないまな板は、正直使えません。

 

包丁の研ぎ方も関係しますが、包丁とまな板はセットで、しっくりと

沿う様に常にメンテナンスする事が非常に大切です。

 

 

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味見のテクニック

アラ煮の煮汁を味見して頂く時に、小皿に煮汁を小分けして

指につけた煮汁を舐める事をオススメしましたが、

 

 

これは、アンマリだなと言う事でスプーンを後から、慌てて

お出ししました。

 

 

とは言え、実はこの指につけた煮汁を舐める味見こそが、

アラ煮の様な料理には適しています。

 

お玉に煮汁を少し取り、指先に煮汁をつける・・そして舐めると言う

パターンを体得すると、アラ煮を炊くときの能率が格段に上がります。

 

我々の仕事では日に、何十人前・・・修行時代には、それこそ百人前以上のアラ煮、兜煮を炊いていましたから、感覚的には大げさなのかもしれませんが、5~6台のガス台に鍋をかけて一気に仕上げる時のスピード感を、少しでも知っているとご家庭での煮物にも必ずメリットがあると確信してます。

 

 

 

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しかくさんかく(視覚・サンプル・確認)

我々の若い頃に、新ポジションに就くと言う事は、すなわち

出世でした。

 

段階を踏んで、上のポジション・上のポジションへと進みますが

基本的なレベルをクリアーしていない者には、絶対に回って来ません。

 

 

では、その基本とは何かと言うと、やはり最初は包丁のキレと

段取りの要領です。

 

 

包丁のキレ…と敢えて、カタカナを使いましたが、単純に「切れ」

とは違います。

 

 

 

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仕事前の仕事

仕事前の仕事…と言うと、意味が通りませんが

我々の仕事と言うと、ご注文が入ってから注文の品を仕上げて、

ホールに渡し、お客様にお出しする。

 

 

その一品を仕上げるところを、いかに早く美しく良い状態でお出しするかが厨房の仕事の全てです。

 

 

その為に、冷蔵庫内の管理や、機材や環境の整備をして、

最後の仕上げをするに相応しい工程までを、事前に済ませておく。

 

 

日々の勉強や、精神面での鍛錬、チーム内でのコミュニケーション術なども、その為に必要なピースだと思います。

 

 

 

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<くびれ>の科学

恋人の写真を見て、男性と女性、脳のどの部分が反応するかを

実験した調査結果があります。

 

 

その実験によると、女性は好きな男性を見て記憶を司る部分が

強く反応するのに対して、男性は視覚を司る部分が反応するとの

事でした。

 

 

これは女性が、本能で良い父親、夫になるパターンを記憶から

判断するのに対して、男性は良い母親になる体型を無意識で

選ぶ事に原因があるとの事です。

 

 女性は、適齢期になるとホルモンが分泌されて、自然と女性らしい

体つき、つまり「くびれ」が大きくなる。

 

 

 

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食材の断捨離

魚や野菜、可食部分と言うのは案外少ないものです。

 

 

魚に関しては廃棄率が45%と言うのが標準とされていますが、

魚種により、多少の違いがありまして鰤や鯛なら兜焼・兜煮として、

頭が使えるので、廃棄率はぐっと下がります。

 

 

同じ様に、骨せんべいで中骨・腹骨が使える物や、活〆の魚なら

内臓関係も塩辛に使えたりしますので、1本の魚を実に有効に

使える手法と言うのが、和食の仕事には多々あります。

 

 

 

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ふぐ刺身(鉄刺)Ⅰ

河豚の刺身を「鉄刺」と書いて「てっさ」と呼んだりします。

 

物騒な話ですが、それは当たれば死ぬと言うフグの毒の怖さを鉄砲ともじった命名です。

 

とは言え、最近の飲食業界の傾向では、きっちりと除毒してあれば河豚の免許を持たない者でも扱えるようになりました。

 

そして、大抵の場合は「磨き河豚」と呼ばれる、内臓を抜いた可食部位だけになった物を仕入れます。

 

その方が歩留まりが良く、流通している量が豊富なのです。

 

 

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考える事・考えない事

18歳の頃から、この商売に入って以来、次々と非常に優秀な

親方に師事させて頂いたおかげで、仕事に対する理論も、緻密な

戦略も、分析力も事あるごとに、教えて頂きました。


食材一つを使うにしても、適材適所。


じっくりと考えて、計算し尽くした使い方で、同時に残した時の

綺麗な形造りも含めた、使い方・残し方をきっちりと教えて

頂いたのは、武内の中では大きな・大きな財産です。



もちろん、坐唯杏で過去にいた若い者にも伝え、現在いる者にも

これから、どんどん伝えて行くべき料理人の、本当に礎になる

部分なんですが、


実際には、これがなかなか難しい事です。



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包丁の長さ

ある日の料理教室で、参加者中で唯一の男性の方から出たご質問がありました。

 

それは「包丁の長さ」です。

 

 ご家庭でお刺身を作る時、その他魚の料理を作られるときに使う包丁の長さは、どの程度のものを選ぶと良いでしょう?

 

このご質問に、まずはプロとしての意見をお伝えしました。

 

プロとして、1番使いやすいサイズで言うと刺身を作るときなら、「尺」というサイズがもっとも適していると思います。

 

 

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生肉の暴力

日本料理研究会の会報を読みながら、勉強していました。

 

非常に疑問の残る献立が掲載されていまして、その献立を紹介するにあたってのレベルの低さ、意識の薄さに落胆しました。

 

雉子(キジ)の刺身、画像で見る限り生に近い砂肝や、笹身を生で使用する献立です。

 

<画像は雉肉ではありません>

 

雉子(キジ)を刺身に使うこと自体、大きな問題ではないかもしれません。

 

雉子の養殖場で、菌の管理も、寄生虫の管理もしっかりと出来てさえいれば、安全なのかもしれません。

 

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飲食店の広告術

飲食店の鉄則。


美味い・不味いは繁盛とは無関係。


悲しいかな、これは事実です。


現に美味い店として評価されていた店から、潰れていくことさえ珍しくありません。


しっかりと原価を掛けて、良い仕事をして、さらに良心的な価格で飲み食いできる。



そんな店が繁盛しないわけが無い・・・と、誰もが思いますが現実は違います。



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修行時代など不要です

ネットの記事で見かけましたが、ホリエモンさんが寿司の職人に修行など不要、飯炊き3年、握り8年などと言うのは安月給で若い労働力をこき使う為にこじつけたウソ。


しっかり集中して勉強すれば、もっと短期間で旨い寿司が出来る・・・みたいな記事が出ていました。


ちょっと詳細は違うかもしれませんが、大方はこんな意味のコメントです。


全く同感です。
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仕入れの妙

先日も、取引先の一軒から急遽、連絡が入りましてアナゴを10kgほど仕入れました。

 

鰻の高騰に引っ張られてアナゴも相場が上がってからというもの、実に仕入れや使い方には苦労します。

 

少しの無駄も、出せない・・・そういう仕入れは、おのずとスタッフや取引先への要求も厳しくなります。

 

10本仕入れるうちに、ハズレが出ると店使いは止めて賄に回すよう指示するのですが、高い仕入れ値だと判断が鈍る。

 

ついつい、そういう判断が甘くなったりします。

 

それがある程度の余裕のある仕入れだと、サイズ別に分けて適材適所、より適した素材を、適した一品に仕上げる事が出来ます。

 

東長崎時代、小さな店の時は、それこそ毎日・・・築地に通い、良いもので半端になったもの、売れ残ったものを拾う仕入れをしていました。

 

仲買も、バカじゃないから絶対に悪いものを、敢えて残すような真似はしません。

 

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刺身盛合せ

 赤身と白身と、背の青い魚・・鰤やイナダ、それに坐唯杏渾身の〆鯖を盛り込んで、一皿に凝縮しました。


それはまさに味わいの饗宴。


活け締めの白身魚に季節の赤身、鰹、マグロ、メジマグロ。


そこには〆鯖も添えられる。


師匠から習った刺身の売り方は、切って出すだけの刺身は利益率は低くしろ。


この刺身が造れる様になるまで何年もかかって、厳しい修行時代を過ごした割には、シビアなお言葉です。

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生食・豚レバー

自分の店を守るのは、自分です

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「飽き」の科学Ⅰ


「飽き」は、なかなか難しいテーマですが、和食の味わいは

飽きにくいと言われています。



四季の中で、季節季節によって素材が変われば、仕立て方も

暑い時、寒い時では、全然変わりますから。



季節感の無い外国の料理に比べたら、1年を通じてその時、

その時を存分に楽しめるノウハウが、和食には集約されています。




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刺身を造る時の考え方



刺身を教える時に、本当に細かい事をごちゃごちゃ伝える前に

必ず、言う事があります。



それは、食べて美味しい切り身を造る技術だという事です。



はは、当たり前のことなんですが、実は食べて美味しいよりも

盛り付けやすい切り身になってたり、切りやすい切り方で造る事を

考えるあまり、本末転倒する事も少なくありません。




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刺身の仕事


煮方をずっと担当しているリュウから、刺身の仕事を

教えて欲しいと言う要望がありまして、昨日から少しずつ教えて

います。



今まで、坐唯杏の刺身場を担当した人間は何人もいましたが

他所の店から入ってきて、刺身を引かせても、なかなか思う様な

仕事はできません。



忙しくなって焦ってくると、殆ど刺身の山なんてものが無くなり

素人が造った様な刺身を平然と出そうとする感性には、正直

まいりましたが、今の包丁技術の指導なんて、多くの店は

そんな所なんでしょうね。



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【解説】 黒鯛の三枚おろし

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料理人の責任

 

お堅いタイトルで、恐縮ですが、言わんとする事はとてもシンプルです。

 

旨い料理があれば、不味い料理があって、不味い料理となってしまったら、原因は何か?

 

それは全て料理人の責任以外の何物でもない、と言う話です。

 

例えば、仕入れた肉が筋ばかりで、脂も殆ど無いような、肉だったとしましょう。

 

 

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煮物の扱い

小ぶりなワカサギに生姜の繊切りを加えて時雨煮に

仕上げましたが、大学生のアルバイト君に、タッパに移して

おくのを頼みました。



ちょっと目を放した隙に、穴あきの金のお玉を突っ込んで、

ばさばさ鍋から掬ってるんですね。



慌てて止めて、本来は箸で一本ずつタッパに並べていくものだと

教えましたよ。



以前の武内なら、たぶんいきなり引っ叩いて怒鳴りつけてる所

かもしれません。



少しだけオトナになった武内としては、静かだけど強い口調で

諭しましたが、能率やスピードを重視する現在の料理界の

風潮としてはナンセンスな仕事かもしれません。



おそらくは崩さないように、敷きザルでも使って、そのまま何かに

移すような事を考えなくてはならないのでしょうが、ある部分で、

それだけではない事も、誰もがわかっています。



里芋を炊いて、タッパに移す時には金のお玉を使ったら

傷が付きます。



必ず木のお玉を使って、1個ずつ優しく移し、最後に出汁を

移して表面にはキッチンペーパーを掛けておいたり、何らかの

ケアが必要です。



またタッパを使うときには、必ず煮汁を少しとってタッパの中を

濯ぎます。


ちょっとしたケアで、味わいや煮汁の変化が最小に抑えられる事を

知っているからです。



でも、こう言う小技も昔からの先人の知恵であり、上の者から

下の者に伝えられてきた事です。



現在のように大手のチェーンがセントラルキッチンで調理した

物を真空パックに詰めて各店舗に配送し、スチームコンベクションで

温めて盛り付ける・だけ。



なんて言う調理が、今後も加速していけば、煮物の扱いはおろか、

先人が積み重ねてきた、多くのノウハウが伝わらなくなります。



ワカサギの時雨煮も里芋の含め煮にも、その物を造る以外にも

繊細な仕事が多くあります。



下働きの頃に、いかに基本を身に付け、駆使して伝えていくか。


今の我々に掛かっている気がします。



柔らかい素材を1個ずつガーゼに包み、それから炊いていく、

そんな仕事もあれば、竹のザルにガーゼに包んだ豆を決めて

そのまま、煮崩れない様に炊いていく仕事なんかもあります。


秋刀魚や鰯を骨まで柔らかく炊いたり、子持ち鮎なんかを口に

入れたとたんに、ほろっと崩れるぐらいに炊いたりと、食べやすさ

イコール、扱いの難しさ、と言うところが煮物の難しいところです。




本日のお題は「煮物の扱い」をお届けしましたが、忙しさに

かまけて、ついつい雑になる事は、自分にも大いにあります。



でも、1番の基本は何かと言うところでは、しっかりした丁寧な

仕事を教えていかなくてはいけませんよね。


刻み物の仕事

同一の形に連続して切っていく包丁の使い方を、総じて

「刻み物」なんて言う、言い方をします。



蕎麦屋のネギ、お味噌汁に入れる大根や、オニオンスライス、

炒め物のキャベツや人参などなど、幅の広い言い回しですが、

特に薬味のネギなどは、プロの視点で言えば、決して簡単な

仕事ではありません。



和食の人間が、不細工に包丁したネギを、「蕎麦屋のネギ」

なんて卑下した言い方をする時がありますが、蕎麦屋のネギは

蕎麦屋のネギで、優れた技術を持つ職人が刻むと素晴らしい物で

あったりします。



何が素晴らしいかと言うと、切り口がスパッと切れていて、

厚みが均一、その上、スピーディで手際よく切り、晒されて

きちんと繊維が立った状態で薬味皿に盛られてくるのです。



和食の人間は、こういう薬味の時に薄ければ薄いほど優れた

技術のような認識がありますが、適切な厚みで揃っている事の方が

重要です。



では、そう言う刻み物をする為の条件。



第一は、何と言っても包丁の切れ。


よく先輩が言ってました。



分葱(わけぎ)を打つときに包丁を研ぎ始めて、研ぎ終わった頃、

分葱を打つ仕事の8割が終わった。


良く切れる包丁を用意する事で、刻み物の8割が完了、、、まぁ、

そんなわけは無いのですが、決して大げさではなく、そのぐらい

切れる包丁と言う条件は重要です。



でも、素人さんには、その辺は限界がありますよね。



では一般の人が、気をつけなくてはいけない事は、包丁を前後に

使う事です。


よく思い浮かべる、朝の風景でまな板に包丁がとんとんと音を立てて

使う場面が出てきますが、あれは少し違います。


包丁を前後に使って、まな板で止めるイメージですね。


包丁と言うものは、必要な長さで作られています。



刃先から刃元まで全部使って、刃を滑らせて素材に負担を

掛けないようにまな板で止めて、最後の一枚まで、しっかり切りきる。


そういう使い方が理想です。


1番、避けたいのは包丁を下に押し付けて切るという使い方。


葱などのナイーブな素材は、こういう使い方をすると、簡単に

潰れてしまいます。



刃と言うものは、押し付けても切れない、刃を当てて押すか引くか。



この考え方が基本中の基本なんです。


だから、他の素材の時も、例えば炒め物のキャベツを切る時でも

下に押し付けるのではなく、前後に使うだけで切り口が鮮やかになって

炒め物の仕上がりも良くなるんですよね。



そして、ここから先は高等技術ですが、前後の真っ直ぐな動きに

加えて円の動きを加えていく。



つまり前後の直線の動きから、弧の動きになるんです。



そういう使い方の集大成が、刺身です。



刃の長い柳包丁を使って、刃先がやや上を向いた状態から、

弧の動きに沿って、包丁がまな板と平行になるぐらいに手前に引き、

まな板で止める動きです。



そんな所までをマスターするには、やはり刻み物が重要だと

言う事です。



まぁ、何でも基本には、ちゃんと理由があるという事ですね。


得意な仕事


「得意な仕事」なんて言ったら、また自慢話か。



そんな声も聞こえてきそうですが、武内の師匠からの言葉に

「何でも出来る職人になるな」と言うものがありました。



何でも出来る奴は、何にも出来ない奴。



これだけは、人に負けないと言う仕事を、何か一つ持て、

そういう意味です。



師匠とは色々な話をしました。



皿鉢場と刺身場で並んで、仕事をしていた頃が長かったからです。



その色々な話の中でも、今でも印象に残っている言葉の一つが

「何でも出来る職人になるな」という言葉です。



板前の仕事なんていうものは、必ず上には上がいる。



これで1番、と思っても必ず上が現れるものだ、だが

何か一つ、一点勝負して勝てるものを作れ。



そんな言葉をかけられて育ってきたんですが、そういう意味では

武内はダメな弟子です。



結局、現在に至るまで何か一つ・が作れていません。



日本料理を真剣に勉強して、日本酒との相性を極めようとしていた

頃もありましたが、酒と肴の調和なんて言う物は、それぞれの人の

感性で全く違ってきちゃうんですよね。



修行時代から厳しく指導された魚の仕事は、おそらく高級料亭に

行っても通用する、基本を踏まえた仕事だと思います。



煮物や焼物に関しても、満席で100名~200名も入る高級店で

修行できたのは、貴重な経験でした。



でも、結局は師匠の言う様に上には上がいます。



本当に旨いもの・と言うと何だろう・・・なんて、原点に近い様な

事をぼやっと考える時もありまして、



イタリア蒸しのような、遊び心を発揮した料理も、武内の仕事の

本線とは言いがたい所もありますが、確かに、自分の持ち味だとも

思います。



・・・と、つまりは未だに、自分のことさえ、ちゃんと分かっていません ><



坐唯杏の料理、武内の料理の良いところって何なんでしょうね。



あれっ、最後は疑問形では話が終われません。



そんな自分にも、檄を飛ばす意味では、坐唯杏に来て働く

人間たちには、師匠と同じ事を言っていまして。



オレが色々な仕事を伝える。



その中から、これだけは負けない、超得意な仕事を作れ。



独立するなら一点勝負、これだけは負けない一品をオレの

献立から持って行け、そしてその一品を磨き上げるんだ・・・



なんて偉そうな事を言ってます。


さて、まとまりの無い話に終始してしまいましたが、



坐唯杏が、これだけは負けない仕事、武内が絶対に譲らない

仕事を未だ、追い求めています。


長い探し物の旅になってしまいましたが、まだまだ続くようです。