<<会席料理>>


<コース料理の献立の立て方>


ご家庭なら、スーパーの安売りの時に、なんとなくぼやっとした

献立をイメージしながら、何日分かを買いだめして、その材料で

やりくりする。


そんなパターンが多い事と思います。


我々の場合は、やはり出物の素材がある時は、即時に単品メニューに、または、お通し、ランチにする・・・などなど。


使い道を特定しつつ、仕入れにあたります。


仕込みを済ませ、冷凍でストックするものもあれば、即座にメニューに入れて、お客様にオススメしていく素材も少なくありません。




また、ある素材を普段は使わない用途に、敢えて使うのを検討するのも楽しい仕事と言えます。


  

たとえば、松葉蟹が安い・・となれば、単品メニューでオススメするより、お通しで使えないか?とか。 

 

鱧やアユ、天然真鯛や、鰤、アン肝、白子、イクラ・・・など。

 

普段は使えない様な季節の食材、高級食材でランチが組めないか?と言う事を検討し、実践していくと、ランチメニューに季節感や高級感が生まれます。

 

ですが、ここまでの事は楽しい仕事です。


遊び心を持って、課せられた課題の中を自由な発想で楽しめる、

我々の仕事の中では快感の仕事です。


さて本題、ここ一番の時のコース料理の献立。


実は1番、悩ましいです。

 

 

 もっとも坐唯杏らしい料理で、しかも坐唯杏のお酒と合わせて

抜群の調和を感じて頂けて、最高に心に残るお食事を!

 

 

となると、最初の導入から始まって・・・


山場をどこにするか? 

 

そこまでの伏線をいかに持っていくか? 


起伏、駆け引き、転回、加速・減速・・・と趣向を凝らしつつ、

 

収束は、どういう路線でいくか? 



などなど。

 

 

考える事は山ほどある中で、素材と調理法を組み合わせていきます。

 

 もちろん使う調味料、香り…スパイスやハーブに酸味や、苦味の

アクセントを、いかに散りばめるかという事を考えつつ、


旬のもの、走りのもの、そして名残のものを当てはめて考えていきます。

 

 また、スポットで入ったお買い得食材みたいなものが有れば、それも

上手に組み合わせて、コースとしてまとめます。

 

 

特に坐唯杏では、コース料理にはコスパを発揮したい所なので、こう言う

素材をどう上手く使うかが、献立の完成度の分かれ道になる事が多いです。

 

 

と言う事で、紙に素材を書き出し、料理名を書き出し、コースで出す順番ごとに、

埋めていきます。

 

 

そして自分が1番旨い!と思う仕立て方で一品をを並べて、全体のバランスを

調節して献立が完成します。

 

 しかし、


ご家庭では、たとえば茄子の味噌炒めと茄子の味噌汁なんて言う献立が

普通に登場すると思いますが、プロの料理人が立てる献立ではNGです。

 

 調味料の重複や、仕立て方の重複は、プロであれば未熟さの露呈です。

 

 本当に細部の細部に至るまでを、神経を配り一つのコースが完成します。

 

味わい、色目、食感、香り、海川山里の素材の出自、形や、場合によっては

栄養価に至るまでを、考え尽くし・・・


ようやく完成するのが、ひとつのコースです。


「1番悩ましい」・・・と言う理由がご理解いただけたでしょうか。


とは言え、その考え抜いたコースで喜んで頂けたときの達成感も、実は・・


<ひとしお> なんです。



 


会席コースと、懐石料理、これは似て非なるものと、以前の通信で

お伝えしました。


クーポンをご利用になる客さまで「これが懐石料理か」などと

ご指摘を受ける場合もありましたが、坐唯杏の料理を懐石と表現した事は実は一度もありません。


と言うのも、武内なんかは会席と懐石の違いをハッキリ認識してますから間違っても「懐石」とは書けません。



お客さまの方で認識が出来ずに、会席=懐石になってしまい、しかも懐石料理に抱くイメージ、しかも、そのお客さまの個人的なイメージだけで判断なさる。


これには、もう反論の余地もなく、基準が違うので話のすれ違いにも

至りません。



でも、それさえも克服してこそ、日本の食分化の繁栄があると思います。



日本人が、そんな事さえ理解せず、海外での和食ブームから日本料理に興味を持ってくださった外国人の方に、質問をされた時など、答えようが無いと思うわけです。




そのうち、日本料理を1番知らない国が日本、なんて事にもなりかねない、

そんな危機感も持っていたりします。



懐石料理と言うと、以前も書きましたが料理の始まった早々から、飯、

椀、向付と言われる刺身や和え物などが供されます。



対して、会席の場合はご飯物は最後、中には凌ぎと言って、軽い食事に

似た物がコースの途中で出される場合もありますが、基本的には

食事が最後に来ます。



いずれにせよ、共通するものはお酒です。



お酒なくして、会席も懐石もありえません。



今では亜流としてお酒無しでの茶懐石なども、あるようですが

基本、もてなしの席にはお酒ありきです。



それが、最近の傾向で言えば、お茶や、酷い時にはカクテル系の

甘い香りの強い飲み物や、ジュース、コーラなどで食事をしようと

言うのが、そもそも出発点が違ってきてます。



でも、それさえも対応しようと言う、気持ちも全く無いわけでは

ありません。



だいたいにおいて、日本人の飲食店の姿勢にはホスピタリティが

溢れてますから。



とは言え、それを知って敢えて利用なさる方もいれば、いまや当然と

ばかりに、ジュースに合わせて次々と料理を出せ、と言わんばかりの

方もいらっしゃます。



基本的には、お客さまには非は無いと思っていますので、最大限

合わせて、そのお客さまのスタイルでお楽しみ頂けるように努力しますが

初来店で、その店のパターンも分からずに、自分のペースやスタイルを

押し通そうとする姿勢には、若干違和感も感じます。




はは、愚痴っぽくなってすみません。



まぁ、こんな事を書いていますが、徐々にそのお客さんのペースに

合わせて、坐唯杏側で調整する方法を、スタッフが共有できてきました。



冒頭のお客さんに変化が出て来たと言うのも、我々の対応が追いついて

来た事の現われかもしれません。



でも、会席と懐石の違いは、日本人なら誰でもが知っていて頂きたい事では

あります。




わずかに、我々や他の店でも、主張している店はあるようですが。



とにかく、大事なことは日本の食文化に対してお客さん側も、知識を

持って頂きたいし、飲食店側も、お客さんのスタイルやパターンを

見極め、満足して頂ける形でサービスを提供する事と思っています。



まぁ、我々から唯一お客さんに望む事があるとすれば、最初に食事のスタイルや

所用時間の予定などをお伝え願えたら、嬉しいですね。



コースの半ばになってから、時間が無い・・なんて言うのが1番、

焦りますからね。



と言う事で、本日は会席コースを楽しむ上での、出発点みたいな事を

書いてみましたが、読み返してみても実は、言いたい事が伝わっている

気がしません ><



なんか、こう言う事もきちんと説明しようと思うと、何日も文章を

練らないと、厳しいですね。